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私たちに与えられた試練④


いざ!出産予定の県外の病院へ

2016.8.29 33週3日
いよいよ出産予定である県外の病院を受診する日がやってきました。
車で片道4時間半ほどかかります。
日帰りすることを考えると、初めての受診は移動時間の短い新幹線にしました。

住んでいる地域から新幹線に乗るためには、まずフェリーを使って駅のある市内まで向かいます。スムーズにいくと1時間ほどで着くことが出来ます。
新幹線で1時間半ほどで主要の駅に着き、在来線に乗り換え病院まではタクシーで向かいました。

予定より少し早めに到着したので、ドキドキしながら診察を待ちました。
出産する病院は、小児の心臓外科において手術の症例が多く、全国的に見ても経験値が高い病院であったことから、各地から重い心臓病の子供たちが集まっていました。

私たちは重々しい雰囲気の病院を予想していましたが、病院は移転してまだ数年ということもあり施設は新しく、こども病院というだけあって内装も院内の雰囲気も、とても明るい印象でした。
大学病院の重々しさとは違い、それだけでも私たち夫婦は救われた気持ちになりました。

予約の13時になり、産科の先生と循環器科の先生に診て頂きました。
やはり先生方からはあの病名が出てきました。
検索をして浮かび上がったあの恐ろしい病名…
もしかしたらと淡い期待も抱いていましたが、はっきりと診断がくだされてしまいました。
でもショックというよりは、ようやく診断がついてここから頑張っていかなければならないという、覚悟のような気持ちがわき上がりました。

そして、循環器の先生より今後のお話がありました。
要約するとこんな感じでした。

『自衛隊やオリンピック選手にはなれないけれど、走り回ったり体育に参加したり、健康な子どもさんと同じような生活が出来るようになることを目指しましょう。』
と、わりとポップな感じで仰いました。

息子が診断された病気は、その当時先天性心疾患の0.3%~0.5%といわれとても稀な病気でした。
大学病院では県内で2例目であることを告げられました。
胎児のうちに分かるほど重症度が高く、お腹の中で亡くなってしまう可能性もあります。
生まれてすぐに手術が必要になりますが、手術後に死亡してしまうケースも少なくない。予後は悪い。

と、どのページを見ても絶望的な言葉が並んでいました。
私たち生まれてきたあとのことを考え、途方に暮れました。

しかし出産予定の病院を初めて受診して、循環器の先生の説明を受けた印象は、まったく想像していたものと違いました。

普通の生活が出来るの?

まったく深刻そうに感じない先生の話し方と内容に、私たち夫婦は絶望の先に希望の光が見えたような気がしました。

今思えば、たくさんの症例の子どもたちを救ってきた、この病院だからこその自信なのかもしれません。
私たちは、先生を信じて頑張ろうと誓いました。
赤ちゃんは2,050g

その日は会計まで終わったのが夕方16時半ごろ…
急いで帰りの新幹線のチケットをとり、自宅に帰り着いたのは夜21時ごろでした。
8か月の大きなお腹での移動は大変ではありましたが、思ったほどに疲れていない自分がいました。
普段とても弱気な私ですがなぜかお腹に赤ちゃんを授かると、無敵になったような気持ちになります。

それは長男の時もそうでした。
自分1人ではなく、2人分の力がわいてくるのかもしれません。


県外の病院2回目の受診

2016.9.12 35週5日(日記より抜粋)

今日もあいにくの雨。
病院へ行く日はいつも雨だ。

今日は前回とは違う先生が診てくださった。
赤ちゃんは2,420g順調に成長している。
診察はすぐに終わり、9月20日からの入院が確定した。
今日は会計まで1時間ほどで終了。
移動時間8時間。
なんだかあっけないなぁ…

いよいよ入院の日が近くなり、長男の寝顔を見るのが辛くなってきた。
別れるのを思うと涙が溢れる。
長男が気付いて、
『お母さんぼくと離れ離れになるのが寂しいの?毎週会いに行くから大丈夫だよ』
と逆に慰めてくれた。
なんて頼もしいのだろうか。

まだきっと、よく分かっていないのかもしれない…
そう思うと、また切なくなった。


2016.9.16 36週2日(日記より抜粋)

いよいよ臨月に突入!
『お母さん、もうすぐ会えなくなるんだよね?』
泣かずに堪えている。
『泣きたい時は泣いていいんだよ!我慢していたら悲しい気持ちがどんどんたまって、お胸が痛くなるよ』
と言ったとたん涙がドバーッと溢れ、泣き出した。
そして私は一緒に泣こうと提案し、抱き合って泣いた。

切なかった。
寂しい思いをさせて、ごめんね…
と心の中で何度も何度も謝った。


まとめ

開いたことのなかったノートを開くと、その当時の様子が思っていた以上に細かく記されていました。
パラパラとめくってみると、白紙のページもあります。
おそらく生まれてからは、次男の世話に追われて丁寧に書く余裕がなかったのだと思います。

長男とのやりとりやその時感じたことなど素直な気持ちが記してあり、この時のことを忘れたくないと思いました。
そのため今回は、日記からそのまま文章を抜粋しました。

忘れていたこともあり、記録を残していて本当に良かったと思いました。
そういえば私は昔から、日記をつけたり手帳をつけたりするのが好きでした。
すべての記録は残せていませんが、当時に想いをはせて最後までまとめていきたいと思います。

なかなか長い道のりになりそうです^^;

さてさて次は、ようやく出産のお話へと進みます!!


つづく(●'◡'●)

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