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【V.LEAGUE女子 '18/19】 決勝① 東レvs久光

Title : 久光強し。 セーフモードvs不完全燃焼。 それでもこの実力差か...


こんにちは。ちょっぴりだけお久しぶり、戸隠です。

🇯🇵V.LEAGUEの注目だったNECがファイナル8で敗退して以来は国内試合を観るモチベが上がらずにいたのですが、国内最高峰のリーグの決勝となればね、やっぱりいち日本人のファンならば無視するわけには行きますまいですね。(たとえサムく感じられようとも←)


さて。今日は #V .LEAGUE の女子。決勝戦第1試合久光 vs 東レです。
何気に🇯🇵日本国内の試合をレビューをするのは初めてでして、端々で刺々しい言葉使ってしまいそうですが、どうぞご容赦いただきたいと思います。

※久光製薬スプリングスのチーム公式HP ⇨ http://www.springs.jp
※東レアローズ(女子)のチーム公式HP ⇨ https://www.toray-arrows.jp/women/


試合の前に1つ。個人的な両チームに対してのイメージを先に書いておきますね。今季はこの両チームをながら見しかしていなくてほんと勝手な想像でしかない無いので、各チームのサポーター様さまとは食い違うとは思いますが、

久光は、サーブと単発のレシーブ(ディガーの位置どり)に秀でていて、アタッカー個人の技とブロックの高さもあるために、ラリーにするとかなり有利な展開に持ち込めるといったS以外の個人技頼みチーム。(専門職人をかき集めたような欧州クラブ色がある)
東レは、サーブとレシーブやパスといった基本技術はさほど秀でていないが、アタッカーの火力は十分。そしてそれらを利用し、S関を起点とする展開力で勝負するチーム。(チームワークと組立で勝負しようとするところに日本っぽさがある)

同じ項目でどっちが上みたいな対立構造にできなくてすみません。
とりあえず私が思っている両チームのイメージはそんな感じです。

それではさっそく試合に入っていきましょう。


【試合レビュー】

まずスタメンローテ。

久光 S5スタート (L 戸江)

       岩坂        野本       古藤       
      新鍋        石井       アキンラデウォ 
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 
クラン       関        井上
大野        中田       黒後

東レ S3スタート (L 水杉・中島)

この試合両チームとも終始ローテは変わりませんでした。
東レはいつもと同じS3から。久光はS5から。
マッチアップとしては、🇦🇿クランが前衛の攻撃時に🇺🇸アキンラデウォを3回ぶつけたいという意図だったのだと思います。まあ岩坂では......ですからね。東レは🇦🇿クラン前衛時の決定力頼みになることが多いために、そこを高いブロックで抑える。ドシャットできずともワンタッチを確実に取っていくと。準決勝までの東レの戦いを見ての判断でしょうね。
個人的には、MB🇺🇸アキンラデウォを黒後にぶつけて仕留める確率を上げるのか、🇦🇿クランをマークしに行くのかが気になってました。ただまあやはり🇦🇿クランvs🇺🇸アキンラデウォを優先した結果に落ち着きましたね。岩坂も日本人アタッカーに対しては、移動は遅いけど2段に対してはまあ間に合うし真ん中に対してはそもそも移動が少なくて済むのであまり問題にならないんですが、🇦🇿クランの相手、しかも前衛で2段上げられても決めまくってくるアタッカーに対する壁となればまあ岩坂<アキンラデウォだよねとなりますわな。
結果論ですがこれよくハマってたと思います。

試合は久光、岩坂のサーブから。


第1set:久光サーブ》

さぁ。どこから書いたらいいものか(笑)

とりあえず双方とも決勝戦独特の緊張感というものは感じていたようでした。ふわっと浮かしたのを上げられる関が低いセット連発したり、古藤のアキンラデウォへのブロードへのセットが伸び過ぎたり。
ただずっと飲まれっぱなしではなく、久光(古藤)の方が早くそれを抜け出したのも試合展開に影響したでしょうね。この辺は経験がものいう領域ですから仕方ないと言えば仕方ないのですが。

次に、サーブについて。
久光のサーブは基本全て選手でしたね。
序盤だけBAを消す/乱す目的で黒後を徹底的に狙う。S1でOP中田を狙って前衛レフト(レフトゾーンからの攻撃)を消して連続得点を奪ったあたりから狙いを中田に変更し、以後徹底して彼女の周りを突いてきます。この辺の対応変更はベンチの指示かな? 
15-11あたりの映像で、Lがほぼライト側半分すべてを受け持ち、黒後がかなり中田側に寄せて、中田はほんの狭いレセプ範囲しかないのが確認できましたが、それでも久光は正確に中田を突いてきてましたね。最近🇮🇹Monzaで見たなぁ〜これ。(詳しくは前記事参照)
その甲斐もあって🇦🇿クラン祭りは抑えることができ、レセプションアタックでも黒後が1発で決まることが少なかったですね。強いサーブという武器で相手の弱点を徹底的に突き続ける。これができていたからこそ主導権を握れましたね。そしてサイドにボールを集めさせ、高いブロックで囲んでワンタッチを取り、自慢のサイドの技術で点を稼ぐと。その再現度も高かったです。

一方の東レなんですが、こちらは正直ちょっとよくわからなかったです。
一応石井周りに狙いを定めていたとは思うのですが、終盤でいきなり野本に向かって打ったりと...私には意図がわからないサーブがちょくちょくあり...。序盤のS2で前に落としてMBの動線と前衛OHを引き摺り出す一石二鳥サーブは最初だけで以降のS2では中途半端だったし。精度が落ちた ≒ ミスったという解釈でいいのかな。
東レ側としては崩れやすいデータのある&おもな点稼ぎ選手石井をまずは選択肢から消して、(あまり高さでは脅威ではない)新鍋に打たせてなんとか拾っていこうという意図だったのかなと想像します。
残念ながら、ふつ〜に耐えられてしまった。もしくは🇦🇿クランに託した決め球を簡単に拾われてしまってどんどん切り返されてしまいましたがね。


続いて、このSetの見どころ。結構いっぱいメモしたのですが、とりあえずおもなものだけ時系列順にいきますね。


❶ まず1番目は7-4のラリー中、新鍋の真ん中からのバックアタックもどきです👀。いや、結局合わずに打てなかったですけど、これもし打って決まってたら天変地異級の出来事ですよこれ。東京五輪での表彰台の芽が復活したんじゃないの?ってくらいの。(←大げさ)まあでも結果はお察しです。
東レS1、久光S3。
クランの前衛ライト攻撃がブロックに弾き返されて何とか繋ぐ東レ。黒後がオーバーでハイセットを前衛レフトの中田に託しますが、アキンラデウォのブロックをかわす山なりのクロススパイクとなって強打にはならず、後衛レフトの久光L戸江に拾われてしまいます。このディグが高い放物線の軌道を描き、AL前方1mのスロットA付近に落ちてきました。ここで、S古藤はレフトの野本、ライト(ブロード)のアキンラデウォを敢えて使わずに真ん中BAの新鍋を選択したんですね。
結果的にこのセットはAL前方1mの、石井であれば幅跳び的助走を活かしてめっちゃ強打のBAができたであろう位置=新鍋がヒットするには前過ぎる位置に上がってしまったためにミートせず、チャンスボールとしてS関に返球する形になりましたが、この久光のトランジションはごく当たり前のように点にできなければならないケースだと思いました。

このラリー、中田のスパイクに対するディフェンスで久光のブロッカー以外の選手は構えた位置から全く動いていません。すなわち1stを触った戸江とブロック降りたてのアキンラデウォ以外のアタッカーは自分が構えたところから守備で一歩も動かなくていいところから攻撃に転じることができたわけです。
ですから野本はすぐさまレフトにちゃんと開いてます。そしてブロックから降りた足でサイドステップでAL後ろまで素早く下がって野本と完全にシンクロしてブロード助走に入るアキンラデウォ一方で、レフトに上がると既に思い込んでフォローに行こうとしてる途中で、古藤の動きを見て「え、これ私に来るやつ?」みたいに察して方向転換して急遽の2nd Tempo的バックアタックに入る新鍋...。打てずに返して🇦🇿クランにドカン。はぁ......。
そもそも打とうなんて意識がないからこういうことになるわけですね。何となく来るかもな雰囲気感じてるからもっととっととレフトまで寄らなかった説もありますが。
いつもなら野本か石井がバックセンターに入ってるので彼女らにBA任せとけばいいんでしょうけど、S3なので後衛OH石井は後衛ライト、後衛センターをOPが守る布陣になるわけで、しかもSが前衛なんだからBAが必要になるかもしれないことくらいはわかってるはず。(この直前のラリーで石井が後衛ライトでディグって転んでるので入れ替わる時間がなかったこともあるが)
古藤も新鍋BAを選択した理由は、単にレフト野本とのマッチアップが🇦🇿クランだったことか、もしくは大野が久光陣ライト側に寄ってたことで真ん中にブロックの穴があったのが見えてたからでしょう。だから例え新鍋にBA打たせるというイレギュラーなことだとしても、真ん中を使おうとしても不思議はない。
なのに当の新鍋がいつまでも「私はOPだけど守備担当だから」みたいな姿勢でいるから攻撃が成立しない。結果的にチャンスボールを無駄にして失点に繋がってる(相手にサイドアウトを取られてS1ローテを切られてる)んですよ。恐らく何百万人ものバレーファンが思ってることでしょうけど、彼女がBAを打たないことがどれほど枷になっているか。

多少無理があるかもしれませんが、数的優位を以って攻撃を展開しようとする意識の高いチームの監督ならば↑これと同じ場面、サイドライン上に構えた石井に01Bick、新鍋に21Bickを打たせようとするんじゃないでしょうかね。これでSがスロA付近に動かされても、左と右にはアタッカーはいるし、真ん中はBA得意な石井に突破させられる気がしますし。でも、そういう動きも新鍋が攻撃しようとしないから取り組もうとすらできない。
この後の東レトランジション中に新鍋と石井が後衛での左右入れ替わってるので、もう1回ラリー続いたら石井BAに持ち込めたのかもしれません。でも、問題はそこじゃないですよね。自分がまだ攻撃の選択肢から外れていなかった=自分が攻撃時で必要とされたときに、決めに行こうとしていなかったのが問題なわけで。

守備型OPと言えば何となく日本のファンは同情(許容)してくれるし攻撃面の問題は煙にまけるでしょうけど、そのスタイル貫いていざ五輪で必要な時に攻撃をしないOPがチームに混ざってたらどんな結果になるか。よく考えるべきだと思います。


❷ 12-7の岩坂尻もちの場面のつなぎ。
あれ黒後のフロントゾーン狙いのフェイントに対して岩坂が両手でボールを突いてるんですが、何しようとしたんですかね?
よく自らのブロックを超えるふわっとしたボールをMB自らが高くオーバーでぽ〜〜んと自陣に上げ直すシーンは見かけますが、あれと同じことをやろうとした結果だと?? あんな低いタッチボール、どんなリベロが飛び込んできても取れないですよ。
ネットをボールが超えたあと、自分の手もネットタッチを考えなくていいところまで自陣に入っていて、しかもフルでもないスタンディングジャンプ。技術にも、う〜〜〜ん...ですが、ああいうボールの処理でいちいちゴロリンして、しかも起き上がるのに一番時間がかかるようなMBって......。
代表ねぇ......


❸ 14-10の関のツー
世界選手権2018男子大会で🇮🇷マルーフが気に入ってたバックトスツー、通称「ぴゅわっ」ですね。あの場面であれ使えるのいいですね〜。高さがないけどとりあえずやりたいから的な伯太井上掠める苦し紛れのツーよりよっぽど見応えあります。
関はこれをやるトランジション時、野本がBA打ってきてから一度も相手コートを見ていないんですね。しかしただの苦し紛れのプレーでもないと思います。
このラリーでも、この直前のラリーでも、そして試合始まってからも関は何度か3rdを前衛レフトの🇦🇿クランに託しているのですが、その度に久光レフト側でアタックラインより後ろ目にレシーブに構える石井のことを見ていたんだと思います。ですから、🇦🇿クランに打たせると思わせれば石井がオフブロックしてくれてZ4に隙ができると見越してあのツーを仕掛けたのかなと。
あのツーは1度拾われたら相当使いづらくなりますし、普通のツーよりはある程度相手のクセ(データ)が頭に無いとできないプレーだと思うんですね。
それを連続で自分たちのアタッカーの攻撃が拾われてジリ貧になりつつあるときに発揮できる関の展開力、そして強気が垣間見えた瞬間でしたね。


❹ 久光の時間差多用
↓の久光のつまんない狭いバレーにも通じますが、久光は岩坂前衛時にMB囮のレフトの切り込み時間差攻撃を多用してきていました。切り込みと言っても、レセプでやや内側に構えた石井が最初に構えたのと同じスロットをまっすぐ走ってくるので、切り込んではいないんですがね。
これを私が前に見たのはアジア大会2018の予選ですね。相手国忘れてしまいましたが、格下相手の相当な省エネモードの石井がやるプレーです。
S古藤のトスが伸びなかったのか、それとも石井が要求してたのかはわかりませんが、このあたりからもう久光手抜いてたんだなというのが伝わってきました。
決勝戦なのに。


あとは
・東レのMBブロードとOP前衛ライト攻撃のスロかぶり気味のやつが解消化=接触の危険が少なめになってた。とか
・相変わらず岩坂が動き出す時とかスプリッドステップする時に身体がなんか大げさに"びょい〜ん"って上下してる分、時間ロスって目も当てられないほどめちゃくちゃなブロックが散見された。とか
・19-15で岩坂がクイックのアングルアプローチやってきてた。とか
・久光がスロットC・スロット5, 4が存在しないかのようなせっっっっっっっっっまいこじんまりバレーやってる時間帯があって、つまんないな〜て萎えたりとか。


決勝戦の幕開けにしては、見どころに困る/見応えの薄いSetだったなというのが率直な感想です。


第2set:東レサーブ》

このSetはまあもう序盤の7連続失点がすべてでしょうね。
新鍋の強いサーブで東レが崩されまくって思うような形ができず。
🇦🇿クランの前衛スパイクに久光レシーバーがきちんとコースに入って繋いで来、ネット際で関がミスり...
そこでまあ選手交代をするわけですが、中田⇨石川はまだいいとして、井上⇨小川はどういうことだったんだろう?ネット際の処理かな?16-9で戻してるし...ちょっとわからなかったです。

その石川ですが、プレーを見た限りは攻撃にはいいもの持ってるけどレセプションはまだまだ、OHとしてはまあVリーグだったら活躍する機会は掴めそうだけど、世界相手には厳しいのかなという感想です。まだ18歳ですし、いろいろこれから身につけていくとは思いますが、石川祐希の妹という話題性につられてあっちへこっちへ引っ張られるけど実際は......みたいな選手になってしまわないことを祈ります。
今日の起用法......。決勝戦で大量リードをされた状況で出すような選手なんでしょうか? 他にマシな選手がいないからという理由ならまあ仕方ないですが。
決勝戦=後がない=何をやっても自由だという発想なのかもしれませんが、高卒したてでリーグでもほとんど出番のなかった選手にこの局面で託すって、チームメイトは納得できるのかなと。ちょっと疑問でした。

単純に東レがミスを重ねまくって自滅した=久光が封殺したsetだったんですが、まあこれだけで済ますのもアレなので、1つ。石井のブロックについて書いておきます。
14-9。東レのS4。
岩坂のサーブが東レ陣ライト側Zを守っていた石川の正面に行き、これがBパスに。S関は、サーブ開始と同時に動き出してそのままブロードに走ってきた井上に上げます。が、石井がこれを見事MBにコミットしてドシャット食らわします。
石井はこのラリーでは前衛レフトブロッカーなので、相手のライト攻撃をマークするんですが、S関にボールが到達する前=石川のレセプ1stタッチが最高到達点を過ぎた直後にはもう既にブロードへのコミットブロックのためにレフト側への移動を開始しています。
単発で見るとゲスブロックしてるようにも見えるんですが、実はそうではないんですね。

東レのローテはS4ですので、ライト攻撃として考えられるのは①MBブロード・②OPのライトBA・③Sのツー・④あとは後衛OHによる11Bickあたりでしょうか。
まず③ですが、S前衛ローテでも、レセプはBパスでネットとALのちょうど真ん中のあたりに返ってるのでツーはまずない。
次ですが、レセプをした石川がよろけるようにしてその位置から数歩後退します。そうすると🇦🇿クランが入るスロットを変えてライト攻撃をする可能性④は消えますね(ライト側に行こうとすると石川に接触してしまうので)。まあそもそもこの時は真ん中に🇺🇸アキンラデウォがいたので④の考えはなかったかもしれませんが、とにかく石井の頭の中で🇦🇿クランの攻撃は選択肢から消えたと。
同時に石川はよろけの後退で攻撃参加が遅れていますので、同時多発位置差攻撃には絡んではこない。つまり最優先でマークをしなくて良い=②は他の選択肢が消えたあとでも(自分の予想が外れてその後Sのセットを見て2度跳びしても)対応は間に合う。
石井はこの場面で、今の②④の2つを、石川がレセプで少しだけまっすぐ後退した(自分と重なるスロットで動いていた)という情報だけから理解してブロードへのコミットブロックを開始したのかなと。
ゾーンブロック戦術を採用する現代バレーでは、自分のブロックの担当Zから相手のどんな攻撃が想定されるかを網羅し、実際の現象からどんどん選択肢を削って、とる行動を絞る(選択反応課題から単純反応課題に落とし込む)ことが必須になりますが、石井は高いレベルでそれを実行できるのではないかなと。
もともとブロードに対するブロックは代表に長くいるだけあって慣れている選手だと思いますが、ここは他の日本代表サイド(古賀や黒後)に比べても動き出しが早く感じられたので、さすがに2013年から代表にいるだけあるんだなと。思わされたシーンでした。
第3setの12-11のラリー中でも、同じような選択反応→単純反応が的確に行えている場面がありますので観られる方はそちらも是非。


第3set:久光サーブ》

後がない東レなのですが、第2set序盤のリードを繰り返してなるものかということでしょうか。2set目途中起用の石川と小川をスタメンに抜擢。
しかし残念ながらそこまで安定させるには至らず、同時に関のセットがネットに近くなったりと精彩を欠き、序盤からリードされる展開に。

こうなるともうここまでやってなかった真ん中からのBAを解禁してきた久光のペースだよなぁってなるんですが、このセットは10-8のミスを皮切りに古藤の調子が狂いましたね。
その場面。久光S5で黒後のサーブがレフト側でレセプに構える前衛OH石井の正面へ行き、これがAパスになります。古藤はややスプレッド気味になった東レブロックの穴を突く&この試合の最初の方から好んで使っていた時間差攻撃......ではなく岩坂クイック囮のレフト平行51を選択するんですが、石井の方がその時間差だと思って内側の方に入ってきてたのですね。
私は最初はこれ石井がWクイックに入ってこようとしたんじゃないかと思ったのですが、見返すと、おそらく前の東レブロッカーが割れていて、しかも自分とのマッチアップは関だということで、それまでのSetでもやってきた時間差で事足りると思ってそれをやろうとしてたんでしょうね。
ところが古藤はそれまで使った時間差ではなく、いつも使っていたレフト攻撃に戻したと。この噛み合わなさが久光のリズムを狂わせて/流れを明け渡してしまいました。
特に中盤の野本のスパイクミス連発は何か気の毒になるレベルでした。最終的に点を決めて試合を終えているのでスランプみたいなのではないと思いますが、どこかコンディションに不安を抱えているような...?らしくないプレーが多かったですね...。

一方の東レは久光がミスってる間に、石川が点を積み重ねることで調子を取り戻してきました。🇦🇿クランのスパイクがなかなか決まらずに決定打に欠いていたところに新しい決め役石川を投入したことは、一時的な効果は確かにありました。
が、自らのミスで点差が離れたところで久光ベンチはTOを取って時間をつくり、チームを落ち着かせたんですね。この"間"が久光にうまいこと傾き、サーブで相手を崩してワンタッチにかけて切り返す、もしくはダイレクトのパターンに持ち込み、簡単にビハインドをチャラにします。

最後ジュースの久光の得点はほぼ東レのミス(ネットタッチ)だったので、気持ちの面でも差が出たのもあるでしょう。久光側としてはこのsetは東レのミスに助けられたのもあると思います。setを取るか取られるかの場面で初歩的なミスをするかしないかもまた実力の内なのかな〜と思いました。

このSetの見どころはおもに、石川のスパイクですかね。
なかなかパワフル。スイングが速いなのでブロッカーもタイミングを合わせづらかったのではないかと。久光の今村とかNECの山内に近いイメージを抱きましたね。


【総括・展望】

久光製薬スプリングス 3 - 0 東レアローズ

▼公式スタッツ
https://www.vleague.jp/form/b/24729

ということで、第1試合は久光のストレートでの快勝でした。
試合の印象を簡単にいうならば、東レが自滅した。逆に言えば、久光が研究した結果とった戦術=サーブ&ブロック&ディフェンスが東レを封殺した、という感じでしょうか。

この決勝の2チームの違いは何と言っても選手個人の経験差(実力差)
具体的に言うならば、サーブの精度・レセプションの能力・アタック時の技術・後衛レシーバーの位置どりの良さ(ブロッカーとの連携力)・リバウンドボールのつなぎ......などなど基礎となる技術全般について、久光が明らかに東レを上回っていたと。まあ代表ばっかりvs若手主体なので想像に難くない結果ですが...。

強いて久光の勝因を挙げるならば、狙いを正確に突き続けたサーブ🇦🇿クランを機能させなかった=石井はじめとする後衛の選手が東レのスパイクを見事なトータルディフェンスで上げ続けたことでしょうかね。
🇦🇿クランのスパイク決定率は26.7%。内バックアタックも1/6。見た事もないほど低い数字です。レセプ免除の外国人OHがこれほど抑えられては、頼るところが黒後しかない東レは厳しいでしょう。決めにいったであろう球を石井や野本がしっかり上げていた場面、結構印象的でした。
ブロックに関しても東レは3setやって0本。今日はかなりMBが振られに振られてオロオロしてた場面があった気がしますが、あれは久光の速いトスに振られたからなのかな? 何にしても東レは2枚きちんと揃えられている場面が少なかったかな。ここでも久光の勝ち。

久光としては、この試合で特に難しいこと/特別なことをやった印象は全くありません。通常運転、むしろ安全運転してたと思うくらいに普通でした。相手の特徴を研究して作戦を用意し、その通りそのまま実践したら勝てましたよという。ゲーム本来の醍醐味である試合中の組織的な駆け引きであるとかがなくとも、元いる選手の個人技を組み合わせるだけで東レチームを圧倒できてしまった。なのであれこれ仕掛けてくるとかそういうのが観られず、私を含め視聴者の中には退屈だったと感じた方もいらしたのではないでしょうか。

久光はリーグ優勝という視点で見るならば特に言うことはありません。日本のリーグで優勝するための個の能力がすでに揃いきってますから。むしろ今日のパフォーマンスをそのまま来週やっても勝てると思います。全日本代表の選手がいるという視点で眺めると言いたいことはかなりあるのですが、それは来週にとっておきます。風邪ひかないでねくらいですかね。


対して東レ。
正直、一週間で通用するまで持っていけるものは現時点ではないのかなという率直な感想です。すぐに直せる気持ちのコントロールから年単位の時間がかかる基本技術に至るまで全ての点で差がありますのでね。決勝戦独特の雰囲気はもう今日で知れたでしょうから、次回は今チームがやれる限りのことをやって王者に爪痕を残していくことに尽くそうね、くらいしかないかな。

ただそんな中でも東レにも収穫はありました。
まずは、。もともと展開力と度胸(?)に定評のあった選手ですが、今日も最後までMBを攻撃に絡ませること・BAで真ん中を意識させることは忘れませんでした。今日の試合はやはり経験差が出てしまい、大事なところで脆さがプレーに出てしまった/いつものようには行かなかった点も多かったですが、本人の特徴である"真ん中の抉じ開け""何かやってやろうというハングリーなところ"は見えていた・たとえ決勝でも発揮できることが確認できたので、このまま敗戦をバネに調整していってもらえたらなと。
あとはやっぱり黒後ですね。レセプションを引き受ける選手が変わったりでなかなか大変だったと思いますが、それでも終始心を折らずにミスっても決め直してくるあたり流石の強メンタル。今日はしっかり伸びてきたトスはきちんと決めていたしコンスタントに数字も残しているのでそこに関してはGoodだったかと。もう攻守ともにチームの軸になっていますので、このままレセプションを鍛え、あとは課題のブロックを克服していけば、五輪でも光る選手になれるかも。彼女については、次戦に向けては「疲れを抜いてください」しかありません。
この2人だけでなく若いメンバーの多い東レメンバーが、どこまで久光戦から学べるか、が今後の期待ポイントかな。


来週の決勝戦第2戦についてですが、リーグだけを考えてみるとやはり久光の優勝は固いかなと。
今日決勝の雰囲気を経験した東レがどこまで研究できるかにも懸かりますが、久光はまだ手の内を見せていない&組織的な対応すらしてきていないで今日の快勝ですので。ベンチが動き出したらもう瞬殺でしょうね。世間的にはニューヒロインが王者を食うという方がニュースバリューはありそうですが、見事に跳ね返されるというオチを予想としておきます。また野本あたりがミスりまくれば違うかもしれませんがね。


【終わりに】

さあ。長きに渡る今季のV.LEAGUE女子もあと残すところ1試合。
女王の意地か、若手の勢いか。というより経験と技術で勝る王者相手に、新人達がどんな改善を見せてくれるか/一矢報いてくれるか、ですかね。
来週もPCの前で待機して優勝決定の瞬間を見届けたいと思います。


最後に。
来週4月13日(土)の女子決勝第2試合のチケット購入リンクを貼っておきます。
このまま下のリンクから、希望の座席を選択して購入画面に進んでください(特別な登録等は必要ありません)
なお、当日券(現地会場での販売)の有無は、SNS上のVリーグ公式アカウントや開催都市のバレーボール協会等から直前になって発信されます。併せてご確認ください。
優勝決定の瞬間を現地でご覧になりたいと思った方の、少しでも助けになればと思います。

▼V.LEAGUE 女子決勝 第2試合 チケット購入画面
(Vチケ) https://vleague-ticket.jp/ticket/pc/event/release/1905746-002-001
(ぴあ) https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1905746&rlsCd=001

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〜 とがくしメモ Vol.4〜

第2setの1st TTO明ける直前。🇦🇿クランが隣に立つ関に対して何やら要求のようなことを笑顔で話してましたね。1-8と大量リードされた状況で、気まずそうにしてた関のことを元気づけようとしてたのかな?
🇦🇿クランもチームでは通訳つけてコミュニケーション取ってるようですが、たとえよくわからない言葉を話していても、鼓舞してくれるときの外国人の表情って共通してみんな素敵ですよね。🇧🇪アールブレヒトみたいにマジメ〜な感じでも、🇹🇷ネリマンのように熱い感じでも。今度はニコニコしてくれるタイプの外国人選手呼んでみたらどうでしょうか。🇨🇳曾春蕾とか!



それでは、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!(*ᴗ ˬ ᴗ)⁾⁾




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