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江戸城無血開城アンサング3

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オープニング2 咸臨丸の帰路
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【GM】
神薙 鼎、キミが福沢諭吉の若い頃の記憶を得た翌日。
解放戦線の予報士である亀崎から秘術による遠隔念話が届いた。

【亀崎】
「あ! 神薙さん、聞こえますか!?」

【カナエ】
「ピャッ!? へ、え、えええ、誰、はい?????」

【亀崎】
「私です! 東京担当の予報士、亀崎ですよ! ヴィジョン発生の予報をお伝えしに秘術で語り掛けてます!」

【カナエ】
「なな、なるほど? そうなんですね! お仕事お疲れ様です! ……ヴィジョンの発生!?」

【亀崎】
「ヤバいんですよ! 東京の中心部がすっぽり覆われるような規模です! ここでカタストロフでも起こされたら、それはもう大変なことになりますよ!」

【PC2カナエ】
「えええ~、なんですかそれぇ……。無理です要りませんクーリングオフします。電気通信事業法第26条に基づく初期契約解除を求めますぅ~~~」

【亀崎】
「ヴィジョンが怖かったら、ご家族とすぐに東京を離れてください! っていう話なんですけれども……。神薙さん、新しいメモリーとか、得ちゃったりとか……してないですよね……?」

【PC2カナエ】
誰が目の前にいるわけでもないのに何かから目をそらす。
「……エ、エチャッタリナンカシテナイデスヨー?」

【亀崎】
「ほっ、なら良かったです。ほら、神薙さんって戦うの得意じゃなさそうじゃないですかー。見てて放っとけないんで、今回のおっきな事件に巻き込まれなくてよかったなーって」

【カナエ】
「あ……あうぅ……。おっしゃる通りで、私本当に戦うのとか向いてなくって……」
心から安心したこちらを慮る声に、なけなしの罪悪感が刺激される。
「逃げれるなら逃げたい……けど。……ご、ごめんなさい~~~~~~嘘つきまじだ~~~~~え、得て、得てますメモリィ~~~~~」

【亀崎】
「ええええっ!? い、一応、役目なので先生には連絡しますね? でも、無理しないで逃げてもいいんですよ! なんか大野さんが調査に当たるらしいんで!!」

【カナエ】
スンスンと鼻をすすりながらその言葉を聞く。
「大野さん……」
あの日、自分を守って傷付いていた人。
隠れるばかりの、おびえるばかりの自分を、それでも守ってくれた人。
「う……うぅう~~~~~~~~~~」
しゃくりあげる声が大きくなる。なんなら鼻水も出ている。
チリ紙をとりだして、ぐしゃぐしゃになった顔をぬぐう。
「……………ゃ」
泣き声に比べて、その声はあまりにもか細い。
「やりますぅ…………」
語尾は殆ど消え入りそう。

【亀崎】
「ええっ!? ま、まぁ……一大事だし……人数はいた方がいいのか……うぅ、罪悪感。じゃ、じゃあ、明日あたり先生が行くと思うんで、頑張ってください!! じゃあ!!」
亀崎は逃げるように念話を終えた。

【カナエ】
「ふぁ、ふぁい~~~~~」
ぐすぐすと、鼻をすする音が響く。
「うぅう……やっぱり怖いぃぃぃ~~~」

【GM】
翌日、予報士の言っていた通り先生はやってきた。

【鶴田】
「話は聞いているよ。……覚悟は変わらないかい?」

【カナエ】
問いかけられた途端、再び涙腺が崩壊する。
「い、いやです……いやですけどぉ~~~~がんばります……」

【GM】
先生は罪悪感に押しつぶされそうな顔をしている。

【鶴田】
「敢えて、覚悟の決まった戦士として接することにしよう。神薙さん、キミの得たメモリーについて教えてくれるかな」

【カナエ】
「え、えぇと、最初に得たのが、女の子で…多分私よりも年下の子、です……。外国の子だと思うんですけど、刀が得意な子、だったんだと思います」

【鶴田】
「あぁ……言っていたね。外国の少女らしいのに、日本刀を達人のように使うと」

【カナエ】
「あ、はい……。ええと、それからこの間、得たのが……福沢諭吉。この人ってあれですよね、一万円札で、天は人の上に人を作らずっていう……」

【鶴田】
「福沢諭吉……まずいな」

【カナエ】
「ふぇ!?」

【鶴田】
「明治か幕末……。場所の一致の可能性が高まったか……。ああ、すまない。ヴィジョンは過去の一場面が今の時代に現れるわけだが――」
マモルにした、場所が一致すれば影響力が大きいという話をした。

【カナエ】
こくこく頷いて聞いていたが、涙が引っ込み青ざめる。
「そ……それって……。す、すっごく怖いことになるんじゃあ……」
見るからに震えだす。
「だ、大丈夫なんですか!? あ、大丈夫じゃないからどうにかしなきゃいけないんですけど、でも大丈夫なんですか!?」

【鶴田】
「歴史は改竄されやすくなるし、カタストロフの影響も大きくなる。大丈夫ではない」
感情の読めない声で断言した。

【カナエ】
再び涙がこぼれだす。
「う……うぅう~~~~~な、なんでこんな……」
嘆きながらも、脳裏に蘇るのはあの日の光景。
怖い。怖い怖い怖い。
自分からあの光景に突っ込んでいくなんて、正気の沙汰じゃない。
それでも。
「……止めなきゃ、もっと怖いことになるんですよね?」

【鶴田】
「そうだ。これは単なるお願いだ。キミには応える義務は無い。それでも言おう。この街を守るために……戦ってくれないか?」

【カナエ】
身体の震えは止まらない。
涙だって。
怖くて怖くて仕方がない。
それなのに。
脳裏に蘇る後ろ姿と――
顔も知らない“あの子”の笑顔が。
こくり、とカナエをうなずかせる。

【鶴田】
「ありがとう。キミの勇気に最大限の敬意を。キミはひとりではない。仲間と共に力を合わせて、乗り越えてくれ」

【カナエ】
「……ゆ、勇気なんかないです」
こんな情けない自分に、そんなものがあるはずもない。
「でも……。怖いから……怖いから頑張ります……」
きっと、大野さんや、あの日出会った女性はこんな情けない姿を見せたりしない。
それでも、それが、鼎に出せる精一杯の答えだった。

【鶴田】
「送り出すことしかできない私を許してくれ。可能な限りの援助をする。……それじゃあ、キミの無事を願っているよ」
そう言って立ち上がる。

【カナエ】
「あ、ありがとうございます。先生も、あんまり無理はしないでくださいね……?」
つられて立ち上がり、すがるように見上げる。

【鶴田】
「実際に危険に身を晒すキミたちに比べれば、私の仕事はカンタンなものさ」
敢えて明るく笑って言った。
「それじゃあ、“また会おう”」

【カナエ】
「はい。……きっと、“また”」
そう言って深々と頭を下げる。

【GM】
そして、数日後、予報通りヴィジョンは発生し、キミはフラッシュバックに見舞われる。
若き日の福沢諭吉の記憶が流れ込んできた。

―――――――――――――――――――

【GM】
キミは軍艦奉行である木村摂津守の従者としてアメリカへの使節団の一員となっていた。
無事に条約は批准され、帰路にある幕府の軍艦、咸臨丸の甲板で会いたくない人物とバッタリ出会ってしまった。
自称艦長。行きの航路では船酔いでろくに船室から出てこなかった男、勝麟太郎だ。

【勝 海舟】
「よぉ、福沢君。アメリカは凄かったな。合理主義の塊だ」

【GM】
キミは彼が嫌いだ。
仕事もまともにこなせないくせに口ばかり達者。そもそも、その口の悪いことときたら。

【勝 海舟】
「なんだよ、だんまりか? あんたは俺の部下じゃねえし、いくら俺を嫌おうと構わねえけどよ。挨拶ぐらいしたらどうだい?」

【GM】
憮然としていたキミはカッとなって言ってやった。
艦長と自称するなら、それらしい振る舞いをしろ、一蓮托生の船の中で嫌われても構わないなどという態度で良いわけがないと。
それだけ言って足早に去ろうとする背中に、こんな声が届く。

【勝 海舟】
「俺ぁ人の上に立つガラじゃねえのさ。誰か、日の本の夜明けを背負って立つような傑物はいないもんかね。福沢君、あんた、その役割担う気はねぇか?」

【GM】
バカバカしい。目の前の自分の仕事も満足にできない奴の他人任せな無責任な発言。
本当にうんざりだ。

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【GM】
意識が戻ると、キミは平屋の立ち並ぶ江戸の街に立っていた。
フラッシュバックが発生したので、フラッシュバック表のロールと浸蝕判定をお願いします。

【カナエ】
1D6 > 6

【レイ】
別人格来た!

【GM】
では、初期作成メモリーのカロンかシナリオメモリーの福沢諭吉、好きな方に一時的に乗っ取られます。

【カナエ】
ふむふむ、せっかくなのでカロンにしとこうかな。

【GM】
効果時間は任意ですので、合流したところからしばらくRPをお願いします。
続いて、浸蝕判定をどうぞ!

【カナエ】
1D100<=50 > 97 > 失敗

減少値出しまっす。

【GM】
どうぞー。

【カナエ】
1D6 > 3

【GM】
では、鼎さんのオープニングは終わり、次のシーンへといきます。

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