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江戸城無血開城アンサング2

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オープニング1 勝海舟の用心棒
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【GM】
大野 護、キミが鉄蔵という名もなき人斬りのメモリーを得た数日後、解放戦線の先生がキミの家を訪ねてきた。

【鶴田】
「やあ、その様子だと、やはりキミが新しいメモリーを得てしまったひとりのようだね」

【マモル】
「……そのようですね、相変わらず慣れない感覚ですが、“抵抗者”として戦う事を決めた以上、これは仕方のないことでしょう」
そう言いつつ先生を客間に通し、茶を点てて菓子と共に勧める。
「茶道の腕はあまり良くないのですが……よろしければ」

【鶴田】
「いただくよ。私のメモリーには茶人のものもある。こういうのはもてなす心が大事らしいよ。ところで……キミのメモリーは岡田以蔵だったか」

【マモル】
少しばかり表情を曇らせた。
「……あまり褒められた生き様ではなかったようです。剣士としての腕は確かでしたが」

【鶴田】
「今回得たメモリーはどうかな?」

【マモル】
「また侍だと思うのですが、まるで霞がかかったかの様にはっきりしていないのです」

【鶴田】
「ふむ……予報士からの連絡は来ているだろう? この人口過密な東京で大規模なヴィジョンが発生する。一大事だ」

【マモル】
その言葉を聞いた瞬間、表情の曇りは鳴りを潜め、警官として……否、抵抗者として動く覚悟を決める。
「予想される被害の程は?」
形は違えど、市民を……人々を守る事に変わりは無いのだから。

【鶴田】
「今のキミの話を聞いて、予想を改めなければならなくなった。ヴィジョンはどこでも起きる。この東京がフランス革命当時のパリになったりね。だけど、侍の記憶を得てしまったということは、舞台は少なくとも日本だろう。その中でも、江戸だった場合が最悪だ。同じ土地で発生したヴィジョンは、現実への影響力がより強くなってしまう」

【マモル】
「……だとすれば、一刻も早くその元凶を倒さねばならないでしょう。これ以上、流れる血を増やすわけにはいかない。その為に俺はこの人斬りの記憶を、力を使い……誰かの笑顔を守りたい、そう決めたのですから」

【鶴田】
「キミには感謝しかない。私が頼まなくてもヴィジョンに赴き戦ってくれる。その心をすり減らしながら……。ヴィジョン内ではその時代を生きた人物の記憶が道しるべとなる。体を乗っ取られる危険は相応にあるが、リベレーターと戦うには少しでも地の利があった方がいい。関連するメモリーを持つキミに改めてお願いしたい。これから起こるであろうヴィジョンの調査と、それを引き起こしたリベレーターの目論見を阻止することを」
先生は深々と頭を下げた。

【マモル】
「……頭を上げて下さい、先生。たとえ、その言葉が無かったとしても俺は戦っていたでしょう。“抵抗者”である以前に俺は、市民の盾である警官なのですから」

【鶴田】
「どうか気をつけて。私には言葉を掛けることしかできない。だが、何かあれば言ってくれ、可能な限りの手助けはしたい」

【マモル】
「……ありがとうございます。で、あるならば……一つお願いがあります。よろしいでしょうか?」

【鶴田】
「もちろんだとも」

【マモル】
「……いつの日か、俺は俺で無くなるかもしれません。誰かを傷つける存在に成り果てた時は……介錯を、お願いできますか?」
そう、まっすぐに先生の眼を見て、俺は俺を失ってでも戦う覚悟を伝える。

【GM】
先生は眼鏡を直す仕草をしながら、表情の見えない顔で答えた。

【鶴田】
「わかっている。何人も送ってきた、からね……」
そう言うと立ち上がる。
「すまない、長居してしまった。知っての通り、私も忙しい身だ。今日はこれで失礼するよ」

【マモル】
「はい、また会いましょう。……その時も、美味い茶が点てられるよう祈っておいて下さい」

【GM】
楽しみにしているよと言って先生は帰って行った。

それから数日。
予報の通り大規模ヴィジョンが発生する。
キミはフラッシュバックに襲われた。
鉄蔵の記憶が流れ込んでくる。

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【GM】
キミの白刃が夜闇に閃く。
血飛沫を上げて刺客は倒れた。
一刀のもとに絶命だ。
他の刺客は任務遂行は不可能と判断して逃げていった。
彼らの暗殺任務の対象、勝麟太郎は心底嫌そうな顔をして死体を眺めてからキミにこう言った。

【勝 海舟】
「鉄蔵君、キミはそれだけの胆力と剣の腕があるんだ。人斬りなんてやってないで、きちんとどこかに仕官すべきさ」

【GM】
キミは応える。
人には自分の性分に合った生き方がある。
自分が人斬りに慣れていなければ、ここに死体として転がってたのは麟太郎の方だと。
口の悪い麟太郎も、これには一本取られたといった表情でバツが悪そうにしている。

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【GM】
意識が戻ると、キミは平屋の立ち並ぶ江戸の街に立っていた。

フラッシュバックが発生したので、フラッシュバック表のロールと浸蝕判定をお願いします。

【マモル】
1D6 > 1

【GM】
では、キミにはここが江戸の日本橋付近だということがわかるでしょう。
鉄蔵は、ここにいたことがある。
続いて、浸蝕判定をどうぞ。

【PC1マモル】
1D100<=50 > 12 > 成功

【GM】
では1D6点、抵抗値を増加してください。

【PC1マモル】
1D6 > 1

【GM】
というところで、次のオープニングへと移ります。
トップバッターお疲れさまでした!

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