STEPN Official全文訳『Guilds — families or governing bodies?』

▽Guilds — families or governing bodies?

(ギルドは家族? それとも統治組織?)

 人間のトライバリズム(部族主義)という現象は、非常に興味深いものです。原始人の時代から、人類の進化は集団間の強力な競争と同盟によって特徴づけられてきました。帝国の興亡から労働組合の形成に至るまで、私たちがどう繋がるかという傾向が、世界の景観を大きく形成してきたことは明らかです。このことは、Web3の世界ではすでに明らかとなっています。

 このWeb3の世界をナビゲートするために必要な情報や知識が非常に膨大であることを考えると、コミュニティは間違いなくWeb3の基礎となるものであると言えます。

 DiscordやTwitterなどのプラットフォームを通じて、人々はホットな新情報や取引戦略を共有したり、単に人間関係を構築したりしています。

 結局のところ、人はどんなユニバース(世界)でも、自分の成功率を上げるために団結するのです。
 中世ヨーロッパでは、職人や商人はギルドに所属して商売をしていました。ギルドのルールを守る代わりに、その技術をより高めるための特典が提供されていたのです。
 例えば、ロンドンの帽子職人組合は、徒弟の訓練と賃金を提供する一方で、販売する帽子の品質に関する基準を設け、産業を保護しました。しかし、経済史の教授たちは、「総体的に、ギルドがとった行動は、主に消費者や非組合員を犠牲にして、組合員だけを保護し、富ませる効果となってしまった」と指摘しています。

 現代のゲーム界では、ギルドが定着しています。数万人の会員数を誇り、強力なリーダーシップのもと、相互の目標達成に向けて熾烈に活動する集団もあります。ギルドは時代とともに進化し、暗号ゲームにも当然のように進出しています。こういったギルドは、ゲームに素晴らしい社会的側面を加える一方で、歴史的なかつてのギルドを彷彿とさせる支配力を急成長させ、同じような失敗を繰り返すかもしれない潜在的な危険性があるのです。

▽What are guilds?

(ギルドって何?)

 ゲームのいわゆる『同盟』は、その最も純粋で初期の形態では、友情とゲームへの情熱から生まれたものでした。MMORPG では、プレイヤーは団結して広大なダンジョンを探検し、大きな宝物を探し、壮絶な戦いでドラゴンを倒したものです。やがて、これらの部隊や氏族は爆発的な成長を遂げ、組織化され、構造化されたギルドへと移行していきました(中には、ほとんど軍隊の様なものもあります)。

 ゲームにおいて、『ギルド』というシステムはプレイヤーのコミュニティ意識を向上させる素晴らしい手段です。ゲーマーは長い間ギルドに所属することを楽しんできました。信頼に足る友人たちと一緒に新天地を探検した記憶は、ほとんどのMMORPGプレイヤーにとって大切なものだと思います。『ギルド』はしばしば『クラン』や『アライアンス』と呼ばれることもあります。

 ここ数年、暗号ゲーム(ブロックチェーンゲーム)の経済、特にP2E(Play to Earn)が爆発的に普及しました。そのうちの40%は、フィリピンなどの第三世界のプレイヤーでした。月収400ドル以下の世帯のプレイヤーが、ゲームをするだけで月に200ドル稼げるとすれば、このような急速な普及を理解するのは難しいことではないでしょう。

 ゲームをプレイするために必要なNFTなどの暗号資産を購入するための初期費用は、信じられないほど高額になることがあります。多くのプレイヤーはこれを支払うことができず、代わりにギルドから借りることを選択します。このようなプレイヤーは『スカラー』と呼ばれます。つまり、ギルドに雇われたマネージャーの下で働くプレイヤーです。

 ギルドは、これらのゲームをプレイするために必要な暗号資産を購入し、リターンの一部と引き換えに『スカラー』に貸し出します。ギルドは、プレイヤーの収益の10%から30%を得ることができます。この収入で、ギルドはより多くの暗号資産を購入することができ、その結果、収益モデルを拡大することができるのです。これはフライホイール効果として知られています。

 2021年、【Yield Guild Games】は、彼らのスカラーがゲーム内トークンを合計で1360万米ドル以上生み出したと発表しました。YGGは、8つ以上のギルドが包括的に連携するメガギルドであり、10万人以上のメンバーが所属しています。これは、ギルドが市場を動かし、ゲーム内経済を成長させる能力を有していることの証左といえるでしょう。ニュースサイト【CoinYuppie】は、このような強力なギルドを、エコシステムに資金を注ぎ込み、新しいプレイヤーをゲームに呼び込む能力を指して「キングメーカー」と表現しました。

 ビデオゲームの巨人たちも、これには目をつぶっていられません。
 ユービーアイソフトというゲーム会社の戦略的イノベーションラボの副社長ニコラス・プアード氏(ユービーアイソフトのNFTベンチャー【Digits】で指揮を執っている)は、インタビューの中で、ギルドの強さを「ユーザー獲得のための新しいツール」として主張し、「良いP2Eの体験を構築することができれば、それらの優れたギルドはあなたのゲームに来て、あなたのエコシステムを後押ししてくれるはずだ」とコメントしている。
 ギルドは、そのゲームが成功するためにはすでに必須だといえるでしょう。『World of Warcraft』や『Call of Duty』などのゲームに登場するオリジナルのクランやギルドは、これらのタイトルがビデオゲーム業界で伝説的な地位を獲得するのに貢献しました。
 ユービーアイソフトがここにチャンスを見出しているのは間違いありません。トップギルドを集めることでゲームに膨大な数のプレイヤーが集まります。これは、普通のマーケティング活動よりも費用対効果の高い方法となります。他のAAA級ゲームスタジオがこの動きに注目し、追随するのは必然でしょう。


▽Do guilds present a threat to such gaming concepts?

(ギルドは、そんなゲームの概念を脅かす存在?)

 ゲームのエコシステムに対するギルドの脅威についての議論をすると、スカラーはゲームに再投資するよりも、ゲームから流動性を吸い上げる可能性が高いという強い主張があります。ゲームで使われるトークンの安定性のためには、プレイヤーがキャッシュアウトするのと同じくらいトークンを使ったり燃やしたりすることが重要なのです。ですがスカラーにとって、ゲームとは仕事です。彼らは頻繁にキャッシュアウト(現金化)する可能性が高く、ゲームへの投資という点では長期的なビジョンを持っていません。前述したような出金ばかりする者がプレーヤー層の多くを占めると、トークンが不安定になるのは必然です。ギルドが積極的にスカラーを勧誘し、数万人に膨れ上がるとそのような事態が発生します。

 もう一つの批判は、強力でパワフルなギルドの効果は、権力と意思決定の集中化であるということです。例えば、ギルドというものは、トークンやNFTといった暗号資産を大量に所有することで機能することが分かっています。
 トークンを買い占めれば流通する総量が減り、価値が高騰し、大量に売れば価格が暴落することになります。さらに、NFTを買いだめすることで、高い下限価格を設定することができ、資金力のない新規ユーザーはNFTを買うことができず、スカラーとしてギルドに参加するしかなくなるのです。もし、ユーザーをスカラープログラムに参加させることが目的であれば、金持ちのギルドにはそれが可能でしょう。

 中央集権は、ガバナンストークンによってユーザーがゲームの方向性についてより大きな発言力を持つことができるようなゲームモデルにおいては、特に関連性が高いといえます。STEP’Nは、その良い例です。GMTをステークすることで、ユーザーはカーボンオフセット活動への寄付とプレイヤーへの配当の間の利益配分について投票することができます。大規模なギルドが膨大な量のGMTを保有していれば、その影響力は否定できません。これは、強力な集団が、ゲームの持続可能性に関するチームの長期的なビジョンに沿わない決定に影響を与える可能性があることの一例です。

 ゲームギルドを昔の貿易ギルドや工芸ギルドに例えるなら、集団としての繁栄を目的として結成されたものであることに注目しましょう。
 これらのギルドは成長するにつれ、政治的、市場的に大きな影響力を持つようになりました。
「権力は腐敗し、絶対的な権力は絶対的に腐敗する」
アクトン卿のこの厳しい警告は、当時も今も真実であるといえます。
 ギルドを支配する者は、富裕層に入り込み、高い会費を設定し、部外者との競争を制限することによって、その地位を維持しようとし、事実上ビジネスの独占を確立していたのです。今日、競争、談合、価格協定を促進する独占禁止法が整備されているのは、そういった理由があるからなのです。

 『分散型』という言葉は、単に暗号の流行語ではなく、Web3が築き上げた理念なのです。

 トークンというアイデアの本質は、ユーザーに財産権を与え、投資しているエコシステムに対してより大きな発言権を与えることです。したがって、公正な所有権という理想を守るのは、Web3におけるビルダーの責任であることは明らかです。これには、STEP’Nのようなアプリの開発者も含まれます。

▽Guilds within STEPN?

(STEP’N内のギルド?)

 ギルドは、前節で主張したような弊害はあるものの、必ずしも悪者ではありません。スカラー制度は、通常、ゲーム開始費用を負担することができないプレイヤーが、ゲームから収入を得ることを可能にします。特に、このようなゲームが非常によく売れている第三世界のプレイヤーにとっては、ありがたいことです。

 STEPNでは、このモデルをすでにアプリに組み込んでいます。私たちは、ギルドという中間業者を効果的にカットし、すべてのプレーヤーが利益を得られるようにしたいと考えています。これは、NFTの価格をコントロールするグループの力が弱められることを意味します。

 STEP’Nを取り巻くコミュニティは、私たちのDiscordサーバ内と外部で成長しています。他の DAO(分散型自立組織) は STEP’N 専用のチャットを持ち、そこで情報を共有し、戦略を議論しています。これはゲームにとって健全なことです。それは二つの役割、
・初心者のためのより大きなガイダンスを可能にする
・STEP’Nがプレイヤーと、より大きなWeb3世界の架け橋となるというビジョンを達成する
を果たしています。

 さらに、STEP’Nのモデルは、新規プレイヤーの獲得に非常にフレンドリーに作られています。STEP’Nを楽しむことができるのは、純粋なゲーマーではなく、歩ける人、携帯電話を持っている人です。STEP’Nのユーザーは、友人や家族とSTEP’Nを共有し、STEP’Nを中心とした小さなグループを形成することがよくあります。これは、ミニクランとも言えるでしょう。将来的には、STEP’Nを中心とした様々なアライアンスが生まれるかもしれません。リーダーボードなどのソーシャルファイシステムと組み合わせることで、その可能性は大きく広がります。

▽Conclusion(結論)

 私たちは、アライアンスの力を尊重しています。結局のところ、人間は社会的な生き物であり、チームワークによって成長するのです。しかし、強力なコミュニティを育む一方で、組織内のパワーバランスも保たなければなりません。

 特にゲーム・エコノミーの中には、数十億の時価総額を誇り、すでに一部の既存企業をも凌駕するものもあります。そのため、開発者(と、ある程度はプレイヤーベース)は、そのトークノミクス(トークンによる経済)を保護する責任を負っています。基本的にギルドは、たとえ意図していなかったとしても、市場を操作し、ゲームのプレイヤーに任されるべき部分をコントロールする力を持っています。

 現実の世界では、法律は権力の均衡を図り、集団内の癒着を防ぐためにデザインされています。その法の下にいる人たちや外にいる人たちを助けるために、社会制度が整備されています。これらの法律は、1000年にわたる自由市場運動の中で培われたものです。人類は、社会全体の経済的成長のために必要だと判断したのです。ゲーム開発者は健全な経済の発展に責任を負っているのですから、特定の集団の過剰な力を抑制するために、この集団的で精緻な知恵に耳を傾けるべきなのです。

原文:https://stepnofficial.medium.com/guilds-families-or-governing-bodies-9287f712602

 以上、またも日本人にとってわかりやすいよう、加筆や意訳しつつ全文訳に挑戦してみました。
何かお気づきの点などありましたらお知らせ頂けるとありがたいです。
GST、GMT、SOLなど、わずかでも何か頂けますとモチベが維持できると思いますので、どうぞよろしくお願いしますw
【Solana】
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