全文訳『Tokenomics at STEPN』

元記事『Tokenomics at STEPN』ステップンにおけるトークン経済について

ある程度分かりやすいように意訳している部分もあります。
間違い等あればご指摘お願いいたします。

▽Introduction(はじめに)


 想像してください。もしお金を印刷する機械があったら?───私たちは大金持ちになれるかもしれない!
 しかし、大人になると、そんな子供の頃の夢は実現不可能であることに気づきます。流通するお金が増えれば、それに伴ってモノやサービスの値段も上がる。通貨供給量の増大がインフレを引き起こすという原理は、経済学の基本法則の一つです。

 夢のような機械は、しばしばPlay to Earnのブロックチェーンゲームの形をとって現れます。そのアイデアはシンプルです。暗号資産を所有することで、プレイヤーはゲームのエコシステム(経済の仕組み)に入ることができ、そのゲーム独自のネイティブトークン(ゲーム内で使えるお金)でプレイヤーに報酬を与え、それを現金に換えて引き出すことができます。
 論理的な大人なら、これは間違いなくうますぎる話であり、ほとんどの場合、このようなP2Eゲームはポンジスキームと呼ばれるものに似ていることが分かっています。したがって、STEPNに関する一般的な質問が、通常、ゲームの持続可能性に関するものであることは驚くことではありません。

 以前、ポンジノミクスを詳しく検証した記事では、P2Eゲームが持続するためには、『プレイヤーに非経済的な価値を提供すること』と、『強力なトークノミクスが必要である』との結論に達しました。今回は、STEPNのトークノミクスを深く掘り下げ、ゲームの長寿命化について実感してみたいと思います。

▽Tokenomics(トークン経済学)


 トークノミクスとは、暗号通貨である『トークン』の経済学。つまり何がトークンの価値を決めているのか、ということを指します。それは簡単に言えば、『トークンの需要と供給がすべて』と言えるでしょう。自由市場の資産と同様に、全体的な需要が増加すれば、当然ながら価格は上昇します。したがって、経験豊富な投資家は、プロジェクトや企業に資金を投入することを決定する前に、最初に注目することの1つです。

 優れたトークン・ベースのプロジェクトの目的は、2つあります。まず、トークンの価値が高く、投資家に良いリターンを与えること。2つ目は、この優れたリターンが何年にもわたって安定的かつ持続可能であることを保証することです。さて、この2つの目標は一見相反するように見えますが、トークンに携わる強力な運営と、そのチームによるダイナミックな対応がそれを可能にしています。これについては、後ほど詳しくお話します。

 供給について説明しましょう。トークンが定期的に生成され、その供給量の増加を抑制するものがない場合、時間の経過とともにその価値は低下します。例えば、あるトークンの供給量が100のときに1ドルの価値があったとして、供給量が1000に増えたら0.10ドルの価値になります(需要は変わらないと仮定して)。供給量を減らすには、トークンが燃える(トークンを減らすことを『燃やす』と表現する事が多い)ようなユースケースが必要です。例えば、靴のレベルアップのために料金をトークンで支払うと、トークンが燃やされ、その結果、総供給量が減ります。これらは、トークン・シンク(流し台)またはバーニング・メカニズムとも呼ばれます。

 需要に関しては、トークンを売る人がいると価格が下がります。トークンに対する需要は、強力なユースケースによってもたらされる場合と、トークン価格が将来的に上昇すると考えて購入する人がいる場合とがあります。後者は、プロジェクトやチームに対する高い信頼と結びついていることが多いです。

 トークンの安定性とP2Eゲームの長寿のためには、うまく設計されたトークンの燃焼メカニズムが不可欠であることは明らかです。これは、トークンの売り圧力と買い圧力の両方を決定します。

 もう一つの考慮すべき重要な点は、トークンの割り当てでしょう。貧弱なトークノミクスの共通の特徴は、個人投資家に大量に割り当てられ、彼らがそれを販売できるまでの最低ロックアップ期間(別名、権利確定期間)がほとんどないことでしょう。これによって、彼らは一気に大量に売ることができ、価格が暴落することになります。

 さて、優れたトークノミクスとはどのようなものかを簡単に説明しましたが、ここではSTEPNのユーティリティとガバナンストークンについて検証してみましょう。
※訳者注:ガバナンストークンは、なんとなく株式会社の株みたいなものと思っておけばいいと思います。

▽About GST and GMT and their use cases
 (GSTとGMTについてとその使用例)

 Green Satoshi Token (GST)はユーティリティ・トークンです。GSTの供給は無制限で、ユーザーは日々の活動によってGSTを獲得します。GSTの安定性を確保するために、STEPNはたくさんの燃焼メカニズムを設計しています。これらは、靴やジェムなどのゲーム内資産のアップグレード、ジェムソケットのアンロック、靴の修理などを含みます。GSTはまた、新しい靴を作る(MINT)ためにも使われます。

 Green Metaverse Token (GMT) は STEP’N のガバナンストークンです。GMTの供給量は合計60億に固定されており、そのうち30%がMove2Earnとガバナンスへの参加を通じて配布されます。GSTとは対照的に、GMTは(ビットコインと同様に)デフレになるように設計されており、GMTの総発行量は3年ごとに半分になります。

 活動(MOVE)によるゲーム内のGMT獲得は、まだ有効になっていません。以下は、ホワイトペーパー(今後の予定)からの抜粋で、GMTの獲得に関する様々な段階を説明しています。

 ステージ4では、レベル30のスニーカーと3つ以上のエネルギーを持つユーザーは、移動によってGMTを獲得することができるようになります。獲得できるGMTの量は「快適さ」のステータスに基づき、ランダムで決定されます。

 GMTのユースケースはたくさんあります。例えば、GSTを燃やしてNFTをアップグレードすることもできます。

1.レベル5/10/20/29/30に到達するため
2.レベル4以上のジェムをアップグレードするため
3.すべての品質のスニーカーを製造するため
4.ステータスに振り分けたポイントを再分配するため

 NFTのアップグレード以外にも、あなたのアカウントにおいてゲームメカニズムを強化するためにGMTを消費することが可能です。GMTを燃やすと、以下のような効果があります。

1.GSTの1日あたりの獲得上限額の恒久的な引き上げ
2.すべてのジェムのアップグレードの成功率を永続的に向上させる。
3.靴箱を開ける時、レア度の高いスニーカーがもらえる確率が上がる
4.MINTした時、双子のスニーカーがもらえる確率が上がる

 また、非常に興味深い使い方として、「Schadenfreude Pools(シャーデンフロイデ・プール)」というプールがあり(※1)、ユーザーは GMTを支払ってそのプールに参加し、より品質の高い靴箱から低いスニーカーを開けたり、ジェムのアップグレードがうまくいかないといったプレイヤーの不運から得られるGSTを還元してもらうことが可能です。

※1 他人の不幸は蜜の味 の様な意味。

▽Cost and effect of the value of GMT and GST
(GMTとGSTの価値によるコストと効果)

 基本的な概要は、売り圧力よりも買い圧力の方が強ければ、トークン価値は上がるということです。では、なぜ人々がこれらのトークンを売買するのかを見てみましょう。

買う側:

  • 新規にゲームに参加するプレイヤー。最初のスニーカーを購入した後、すぐにGST/GMTを購入して靴をアップグレードすることを選択する場合があります。

  • プレイヤーは、靴のポートフォリオを増やすことを選択します。市場からの靴の購入とは別に、これは通常、必要とするトークンに合わせ、十分な量のマイニングを伴います。

  • トークン価格が将来的に上昇すると信じ、上昇した時点で売却する。

  • これらの購入者は、トークンの取引で利益を得ようとする非プレイヤーである可能性が非常に高い。

  • これらの買い手は、短期的なスイングトレーダーであったり、純粋にプロジェクトの信奉者であったりする。

  • ある程度は、誇大広告が一役買っています。STEP’Nが人気を博しているのを見ると、トークン価格が上昇すると思い込んでしまうのでしょう。

売る側:

  • ユーザーが現金化すること。通常、ユーザーがSTEP’N内の資産を満足のいくレベルまでアップグレードした場合に発生する。

  • 利食い。誰もがお金を稼ぐためにここにいることを考えると、トークンのすべての保有者は、利益を取りたいと思うポイントが異なるでしょう。これは投機家、ユーザー、そして個人投資家に至るまで様々です

 最近、GSTは一時爆発的に価格が上昇しました。4月の大半は4~5.5ドルで推移していたのが、突然9.03ドルという史上最高値を記録したのです。この原因は、Coinbaseの上場と思われます。これは、突然リテールトレーダーがトークンに簡単にアクセスできるようになったため、GSTに注目が集まり、その価格に向かって多くの投機家が集まってきたのです。
※5/11日現在、かなり落ち着いた価格になっている。

 この突然の値上げには、STEPNユーザーからは様々な反応が寄せられています。GSTを大量に保有しているユーザーは喜んで売却し、利益を得ていますが、これからアップグレードを予定しているユーザーや、現在アップグレードの最中であるユーザーは、喜ぶべきことではないと考えています。

 GST高騰の弊害は、新規ユーザーの取り込みが遅くなることです。GST価格が上がると、スニーカーの価格も上がります。つまり、新規ユーザーがSTEP’Nを始めるのに手が出せなくなってしまうのです。さらに、GSTは、NFTをアップグレードするために燃やすだけではなく、いずれ売却するトレーダーによって購入されていると思われることを考えると、価格がこの水準で推移する保証はありません。この結果、高騰した価格で購入したユーザーの投資回収は遅くなります。

 このように、STEPNが成功するためには、既存プレイヤーにとっての収益性と、新規プレイヤーにとっての価格優位性の両方が必要であることは明らかです。特に現段階では、STEP’Nはまだパブリックベータ版であるため、その傾向は顕著です。そのため、GSTの価値という点ではまだバランスを取る必要があります。運営チームもそのことをよく認識しており、このバランスを実現するための施策を講じているのです。

▽What is STEPN doing to maintain a balance?

(STEP'Nではバランスを保つためにどのような工夫をしているのか)

 前回のポンジノミクスの話では、持続可能性を維持するためには、ゲーム開発者が機敏な運営をする必要があると結論付けました。

 その一例が、ゲーム初期に行われた獲得量2倍イベントです。GSTの価格を維持すると同時に、アーリーアダプターに報酬を与えるため、チームは1週間のGST獲得量2倍イベントを導入することを決定しました。このイベントは2回実施され、コミュニティから好評を博し、GSTの価格を安定させるという望ましい結果も得られました。

 また、最近の例では、GSTの価格が1週間前に4〜5ドルだったのが、9ドルという高値になり、不自然に高騰したことへの対応も、チームのダイナミックなマネージメントを表しています。この段階で価格が乱高下することは、ゲームの寿命にとって健全なことではありませんし、将来のプレイヤーの収入に対する期待に影響します。そこでチームは、一時的に価格を安定させるために、ある種のGST冷却策を早急に導入しました。

 対策はシンプルなものでした。それ以前は、スニーカーのMINTにはGSTしかかからなかったのですが、必要なGSTの量を減らしつつ、GMTトークンも含めてMINTにかかるコストを切り替えたのです。

 この影響により、本稿執筆時点では、流通量の10%以上にあたる6,800万GMT以上が焼失しています。こちらで確認することができます。

 GMTの供給量が一定であることを考えると、論理的には将来の価値を考えても良い動きだと思います。

 執筆時現在、GSTの価値はSolanaチェーンで4ドル、BNBChainで19ドルにとどまっています(現在はもっと下がっている)。より大きな株式と暗号市場のディップ(価格の急落)の影響が作用している可能性は高いですが、造幣措置が有効であることも明らかです。これは、より大きな市場の暴落の前に、GSTの価格がディップしたことからも明らかです。

 一時的な措置に過ぎませんが、運営チームが相場の変動に対応して変化を導入する良い例になったのではないでしょうか。結局のところ、目標は何年にもわたって持続させていく事なのですから。

▽Dynamic Minting

(ダイナミック・ミンティング)

 以前から言っているように、トークンのボラティリティを防ぐことは、チームにとって最優先事項の1つであることに変わりはありません。同時に、頻繁な変更はユーザーとチームの双方にとって歓迎されるものではありません。私たちは、ゲームプレイと投資の両方の観点から、確実性が重要であることを理解しています。

 GMTを含む一時的な造幣措置が施行されている間、チームはより恒久的な管理ソリューションとして、ダイナミックミンティングに取り組んでいました。要するに、靴をMINTする際のコストに関して、GSTの米ドル値を考慮し、必要なGSTを調整するのです。GSTが安ければ安いほど、より多くのGSTが必要となり、その逆もまた然りである。

 これは、一石二鳥のソリューションだと考えています。GSTの価格高騰や暴落を防ぐと同時に、プレイヤーは安心して戦略を練ることができるようになるでしょう。

 GMTもGST同様に管理されます。GSTの価格がGMTを上回った場合、GMTのコストを調整するための追加ルールが導入される予定です。これはチェーンごとに異なり、そのチェーン固有のGMT価格に準じます。

 また、ダイナミックミントを行ってもGSTの価値が下がってしまう場合は、様々な工夫を凝らして対策しています。スニーカーバーニングのコンセプトは面白く、GSTのユースケースを増やす道筋が見えてきました。
 スニーカーを燃やして属性を追加したり、より高品質なスニーカーにアップグレードしたり、ジェネシスのシリアルナンバーをより高品質なスニーカーに移したりできるようになるかもしれません。

 スニーカーバーニングは、スニーカーの供給過多を管理するための素晴らしい方法でもあります。もちろん、これらのアイデアはまだどれも決まったものではありませんが、ゲーム内のトークンの需要を持続させるために、膨大な可能性が存在することを表しています。詳細はこちらのホワイトペーパーをご覧ください。

 STEP'Nチームは、今後も、エコシステムの状態に応じて適宜対応していく予定です。

▽Conclusion(結論)

 最終的には、GSTとGMTのボラティリティ(価格変化の度合い)が限定的であること、つまり新規ユーザーと既存ユーザーの両方にとって収益性が確保されることが理想的です。しかし、みんなが知っているように、完璧な世界なんていうものは存在しません。特に暗号資産の世界では、多くの外部要因がSTEP’Nのトークンに大きなスパイク(急騰)とディップ(急落)を引き起こす可能性があります。

 STEP’Nは、ユーザーが健康を維持し、交流するための最高のインセンティブを持つ、最高の健康・フィットネスアプリになるつもりでいます。私たちは、この新しい未踏の世界で道を切り開いていきます。ユーザーの皆様にお約束したいのは、運営チームは常にユーザーの皆様の改善のために働き、「より良いあなた」と「より良い地球」を約束する、これまでにないプラットフォームを創造していくということです!


以上。
何かお気づきの点などありましたらお知らせ頂けるとありがたいです。

GST、GMT、SOLなど、わずかでも何か頂けますとモチベが維持できると思いますので、どうぞよろしくお願いしますw
【Solana】
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おめぐみぷりーず


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