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母の家を片付ける その13 新しい寝室で眠れないワケから、加齢と家の維持について考える

懲りずに続いている母の家を片付けるシリーズ。

前回、安全のために2階から1階にせっかく寝室を移したのに、5日後に電話をしたら「あれからまったく寝ていない」と答えた母。

え”え”え”〜、、、、、

「あれから着替えていない」問題については、その12で書いたように「もう一度一緒に片付ける」作戦で解決していったのだれど、この「寝ていない」については、単に寝室だけにおさまらない問題が隠れていたー。

やがて自分にも訪れる加齢。

いろいろ考えるー

言葉に右往左往してはいけない

「あれからまったく寝ていない」

この言葉に、娘は慌てふためいてしもたわけですが。

考えてみたら、父が存命で2階の寝室で寝ていた頃から、母は「まったく眠れない」と眠剤もらったりしていたのだった。忘れていた。

責任感背負ってしまう一人娘長女ゆえ、眠れなかったのは私が寝室を移動したせいだ、と勝手に慌てて飛んでいったのだけれど、言葉を発した側からいくと、さほど大げさな内容ではなかったのだと思う。

ちょうど2年ほど前、私がちょっと大病をして手術をすることになり。その立ち会いに来ると言っていた母に、入院の週に電話をしたら
「私、歩けなくなっちゃったぁ」と言う。

持病の腰痛が悪化して、家の中を這って移動してる。食事も作れないー。休日だから病院もやってないし困った。あんた駅前で薬買ってきてぇ。。。。

うーん、私も入院前でいろいろ移動しててそっちは行けない。介護タクシー頼めるよね? 食材は宅配頼もうか?

それで、あわてて訪問介護のセンターに連絡をして事情を話し、私が入院中に訪問回数を増やせないかをお願いし、手術の立会いはナシにしてもらったところ、手術前夜に大激怒されて大変なことになった。

母親なのに立ち会いしないでいいとはどういうことだ。私はあんたの親なんだ! と。

えっと。歩けないんだよね。えっと。。。。

まあ、このあたりの経緯はいろいろ書いても仕方ないけど、とにかくあの時学んだのは

「歩けなくなっちゃったぁ」

という言葉に振り回されてはいけないということなのだった。息子が小さかったころ、私がなんか楽しいお出かけをしようと目論んでいると、必ずその前に熱を出した。あんなようなことなのだと思う。少女のまま老女になった母の発する

「あれからぜんぜん寝ていない」

という言葉に、だから慌てて娘が自転車で駆けつけた。なんつか、私にはない才能なのだ。すごい。
というわけで、なぜ寝られなかったのか。聞いてみると意外な事実がわかった。すわ。

持ち家の家電が続々と壊れていくという現実

眠れないのは、つまり、寝室が寒いからだった。

寒いのはなぜかというと、エアコンが動かないからだ。


え?

「もうあんまりあったかくならない」とは聞いていた。

でも、故障しているとは聞いていなかった。

それでよくよくいろいろヒアリングしていくと
もう家のエアコンはすべて寿命で機能しないのだという。

え?


これまでもたまに聞くことがあったが、そのたびに「あまり効かないから扇風機も使っている」「ガスファンヒーターを併用している」という答えだったのだけれど、まあ、つまりはみんなぶっ壊れちゃっていたんである。

寒いのはアカンので、とりあえず置いてあった電気ストーブを寝室に持っていってつけようとしたら、ボコボコに壊れかけており、つけてもあまり暖かくならない。

今年の夏はどうするつもりだったの? と聞くと

扇風機があるから大丈夫 と。

アカンから。

それ

熱中症で死ぬから。


ついでに言うと、居間の42型のプラズマテレビも映らなくなっていて、テレビが見られないと死活問題なので、寝室にあった小型のテレビを居間におろして使っているし、電話もFAX機能が壊れたままで、子機も電池が抜かれたまま放置されている。
もともと、家電製品を選んで買うことが苦手な夫婦だった。大物家電はうちからのお下がりや、私の口コミから選ぶことも多かった。父の死後、家電製品が続々と壊れていっても、「どうすればいいのかてんでわからない」まま、エアコンが壊れた家に住んでいたのだった。

なんつか、これ、多くの高齢者の夫婦や一人暮らし家庭で起きていることなのかもなあ、、、、。

高齢一人暮らしの家の維持はどうしたらいいんだろう

さらに言えば、玄関扉も塗装が剥げて腐食が始まっており、庭木の手入れにもいくばくかのお金が定期的にかかる。

これらの維持管理は以前から懇意にしている「植木屋さん」「住宅会社さん」の誰かに電話をしたら、対応はしてもらえるわけで、問題は「家電」なんであった。

聞くと、家電が壊れるたびに父と家電屋さんに出向いて修理をお願いしていたのだそうだ。

私が買ってあげたダイソンの掃除機が動かなくなったので、近くの家電店に持ち込んだら「直せない」と言われた。でも「おかしいの、動かないよのねえ」と放置されたままだ。

42型のプラズマテレビ(我が家が買ったのと一緒)は、一度壊れた時に電気屋を呼んで修理してもらったので、また電気屋を呼ぶという。15年前のプラズマテレビは出張修理は不可なので廃棄して新しいのを買うしかないと、いくら言っても
「前は直してもらった」と譲らず、かといって修理を呼ぶでもなく、ただそのまま放置されている。

エアコンなどは、もう、まったくどうしていいのかわからないのだと思う。

そうして、「お願いできる誰か」の小さな世界の中で、解決できなかったことが未解決のまま堆積していく。


たぶん、それを解決してあげなくてはいけないのは私なのかもしれないけれど、若い時からその役割を背負い続けてきた私自身を大切にするためにも、どこからかその役目を「やめる」ことを選んだのも確かだった。

こういうの、この先どうなるんかなあ。

家の維持にはエネルギーと、お金がかかる。やっぱり、どこかの時点でホームに入るとか、家族と同居するなどの方法を取らないと、家は荒廃していく。一人暮らしの高齢者が増えていく中で、家の維持をどうしていくのかって、ほんと大切な問題なんだろなーと改めて。

手は出せないが金は出す、という生き別れの双子希望

まあ、いろいろ思うところありだけど、この先春夏がやってくることを考えたら、壊れたエアコンの寝室で寝るのは無理なので、エアコン買うしかないよなー。

実家には合計5台のエアコンが必要だが、とりあえずは「寝る」ための部屋には必ず必要だ。母は、寝るだけだから必要ないというが、それは間違いだ!

ちょうど、廃品回収に6万6千円必要だったところを、孝行娘が骨身を削って(笑)働いたおかげで、その分使わずに済んでいるから、ちょろりと足せば6畳なら手頃なものが買える。

もったいないからいらないという母を説得して、エアコンを買っていただくという次の課題に移行するよ。


寝室の移動で眠れていない、という母の言葉から浮き上がった実家の現実。

いま私が住んでいるマンションも、築年数が進んでエアコンや給湯器などの設備が寿命に近づき、食器洗い機や洗濯機、冷蔵庫が寿命を迎えつつあり、私としちゃ自分のことで精一杯。はれれれれ。


親の家。

片付けだけでなく、思いがけないトラップも潜んでいたんだなあ。。。。。


いやほんと、手は出せないが金は出す、という生き別れの双子とかどっかにおらんの?>笑 労力もお金もひとりで背負うのは、かなりきついぞ。

それで、こうしたことはそのまま、自分への自戒ともなっている。一人息子しかいないシングルの我が身だから、身仕舞いの準備は大切で、ほいほいと蓄えを実家の維持に放出するわけにはいかない。母にはちゃんと「自分で引きうける」体験をしてもらいたいと切に思ってる。


ちょろちょろと片付け、続きます。次回はピアノの搬出です。

つづく


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