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デジタルでのノートどうとってます?

職業柄パソコンを長時間さわる彼らは、共通の感覚を持っています。それは「仕事が面白いわけではない。仕事を工夫しているときが面白いのである」というもの。そんな彼らが夜な夜な Discord のサーバーに集まって、パソコンやスマホのツールについてたらたらと話をしています。

登場人物

  • イズミ 職業ディレクター。好きなボールペンはゼブラのサラサ。

  • ゲン 職業デザイナー、ボドゲクリエイター。三度の飯よりメモが好き。

  • ピエール 職業コピーライター。めんどくさがり屋。

移ろいやすいデジタルノート事情

イズミ : ピエールさんは普段、なんのアプリでメモとかノートとってますか?

ピエール : 雑なメモは Notion に「雑なメモを入れる所」ってつくって、そこにバシバシ入れていって、後で違う場所に移してます。

  • メモに入れる

  • タグ付けしたり、場所移したりして、管理

  • 使わないやつはアーカイブして、非表示にする

みたいな管理方法です。真剣に管理できないぼくには、これぐらいの運用が丁度いいのかもと思ってます。

イズミ : Notion はいわゆる inbox (=メモ) に入れていって後から整理分類するという感じですかね?

ピエール : Notion は、もう全然粒度違うメモいれまくってます。

  1. タグ分けして

  2. 別のページへ

みたいな感じで気が向いた時い思い出しながらメモを見る流れです。

イズミ : メモの大きな問題のひとつに、どの粒度で揃えるべきか、そもそも揃えるべきなのか、というのがありますよね。揃えるならフォーマットを決めて、それを埋める形にするというのが良いかと思うが、書きたいことってそうとは限らないですからね。

Notion は個人用データベースとして、一部ユーザーたちに認知されているのは強みですよね。メモとすると粒度問題を解決できないが、データベースとして整理するのであれば、今度こそ気持ちよく整理できるかもしれない、という期待感。

いまのピエールさんの使い方だと、Notion ではなくて、たとえば Apple の標準メモでもいい気がするのですが、Notion を使っているポイントはタグとカードビューによる一覧性の機能ですかね。

ピエール : 前は Apple 標準メモを使っていたんですけど、検索が微妙で、とっちらかってしまったので、もうメモも仕事も全部 Notion 入れちゃえば迷わないという意味で Notion だけにしてます。いま、使うアプリを最小限にしようとしてる方に振り子が傾いてるのかもしれないです。

Notion の使う前は、Google キープを使っていて、カードビューでタグつけてつかっていました。Notion なら、その使い方ができるじゃないか!というのもありました。最近はビューで「アイデア」「ネタ」「気づいたこと」という形で表示させるようにしてます。

イズミ : なるほど、

  • 「アイデア」 : 自分から湧き出た使えそうなもの

  • 「ネタ」: どこかで発見した使えそうなもの

  • 「気づいたこと」 : アイデアになるかもしれない語りの種

という感じですかね。いいですね。

ゲン : デジタルノートアプリはもう永遠の課題というか、一生正解が出ない分野だなとずっと思ってます。開発の終了や端末の進化、新フォーマット誕生のたびに乗り換えていく App Hopper みたいになるしかない宿命ってイメージ。

イズミ : App Hopper わかります。ぼくも永遠の App Hopper。App 遊牧民。

ずっと使えるのか

ゲン : メインで使うノート App の基準はサステナブルかどうかで決めてますね。

イズミ : サスティナブルを考えると、やはり Plain Text または Text Editor で開けるフォーマットが安心感ありますよね。

ゲン : 自分もいま 三周目くらいでここに行き着いている状態です。Evernote のように一箇所に格納されているのも画像の紛失を避けられる等の理由で嫌いじゃないんですが、やはり汎用性というところでは Markdown が強い。ただ Markdown という記法そのものは正直あんまり好きじゃない。もっとノートテイクに適したフォーマットが生まれて広まってほしい。

イズミ : Markdown への個人的な不満わかる。泉は Header 要素は常々、#(シャープ) が少ない方が小さい要素であるべきだと思ってます。

つまり

# H1
## H2
### H3

ではなくて、

# H6
## H5
### H4

というように、大きさ順を逆にして欲しかった。こっちのほうが txt で開いた時に、それ相応に目立たせるという観点からも良いし、なにより入力する時にも小さい順で入力する方が個人的には生理があう。インデントの仕様に合わせると # が少ない方が親要素というのはそうなんだけど、実用を考えると逆順のほうが良かったのではないかという。

ゲン : どんなに使いやすくても個人が開発してるとかはもうそもそも選択肢に入らない。開発終了が一番面倒なので。以前は結局 Apple 標準メモに行き着いて、

  • メモ: 議事録から適当な文章までなんでも。

  • アイデア: 実行可能状態まで落とし込んだアイデア

  • インサイト: 気づきや学び

でフォルダ分けして使ってました。

Apple 標準メモのよい点はクイックメモ機能ですね。ホットコーナーから起動できるのがサクッとかけてかなりよかった。 近年はメモに関してはタグ整理しない派だったので、検索からほしいのを引っ張ってくる使い方をしてました。ボードゲームのアイデアがほしければ「ボードゲーム」で本文検索するみたいな。ホーム画面にウィジェット置けるのも良くて、iPhone からでもすぐにアイデア/インサイトにメモできるようにしてました。

イズミ : ホーム画面ウィジェットでこんなことできるんだ。これ便利だな。

ゲン : そうなんですけど、つい先日 Obsidian に乗り換えました。イズミさんのいってたように、メモは死蔵される問題があると常に思っていたので、そこを拾えるようにしたい、というのとやはり Apple 標準メモは独自のフォーマットすぎて信用しきれない点でサステナブルじゃないなとも思っていて。 Obsidian の運用はまだ全然試行錯誤中で決まり切ってないのでいろんな人のを見て参考にしようと思っています。

イズミ : メモが死蔵される問題に対する、ぼくの現時点の解としては、メモ空間を庭と捉えて、メモ空間を定期的に散歩するという方法ですね。見直すという行動を、生活に組み込むことはとても難しい。一方、Wikipedia の青いリンクって無限に辿れるじゃないですか。なので Wiki のように経路 (リンク) を用意できれば、気まぐれに見返す機会が増えるかなと。メモの散歩性。

iPad の手書きノートアプリ

ピエール : 実はちょうど昨日から iPad で原稿用紙で手書きメモはじめてみました。

なんでかというと、広告や映画をつくる電通 CD が「クリエイティブには制約が必要」と言っていて、一番簡単な制約は手書きと言ってたから。どうだろうと実験してるところです。もう少し説明すると、

  • キーボードは苦労せずに文字が打ち込める

  • だからきれいなものが生まれてくる

  • でも手書きは漢字が思い出せないとか、書き間違えとか、手間になる

  • その手間が制約になって、楽しようとしたり、偶然な出会いが生まれる

  • そこがアイデアになるし、自分の枠をこえたものが出てきやすい

  • さらに縦書き原稿用紙にすると、もっと制約になる

ということで、GoodNotes 5に原稿用紙入れてます。全然良くなかったら、すぐやめますが。

イズミ : コピーライターとしての道具選びですね。いいですね。

泉は iPad 手書きだと Paper by wetransfer が好きで、ちょっとちゃんとしたノートだと Noteshelf 派です。どちらも書き味が好きで使っています。一時期 GoodNotes 5 も使っていたのですが、字がきれいに書けなくて使わなくなった。GoodNotes 5 の方がきれいな字が書けるという人もいるみたいなので、これは好みの問題。

ピエール : Paper ダウンロードしてみます。

イズミ : Paper はほどよく雑に使える文房具感が気に入ってます。書き殴るのに向いてる。

ピエール : ちなみに、iPad はタテ使いとヨコ使いのどちらですか?

イズミ : ぼくは基本的にヨコ使いです。カバーでちょっと傾斜させて書くスタイル。

ピエール : ヨコ使いなんですね。斜めぐらいがちょうどいいですよね。カメラがぼっこり出てるのもちょっと邪魔くさくて…

イズミ : iPad カメラ出てるのダメですよね。ケースが必須なのかなと思います。

ノートに求めていること

イズミ : ちなみにゲンちゃんがノートアプリに求めている機能や、期待していることって何があるのかな。デザイナー、ボードゲームのクリエイターとしての視点で求めていることがあったら、知りたい。

ゲン : デザイナーとしては、画像がちゃんとプレビューされる事も結構大事かもです。本当は画像サイズとかも可変させたいんですが、それはもうリッチテキストの領域なので我慢してます。他には インポート/エクスポート が充実しているかも先にチェックしますね。乗り換えコストが低ければ低いほど使おうって気持ちになれる。

Obsidian 使ってて自分でリンクつけるのすら面倒なのでそこもよしなにサジェストしてほしいなと思います。自分でつける事が大事なんだろうけど。

イズミ : ちなみに Markdown、というか Obsidian の回し者みたいで恐縮だけど、画像サイズは横幅指定できるよ。

![[ファイル名.png|300]]

のように、ファイル名の後に |(縦棒) 入れて数字をひとつ入れると横幅指定になるから、揃えたいときは便利。

ゲン : なんと!他のアプリでも通用するならありですね。ただ GUI 中毒者としてはバウンディングボックスがないとムキーッとなってしまう。

イズミ : そこはデザイナーのサガかもしれないね。泉は可能な限りマークアップで記述できたほうがヒューマンエラーが防げていいじゃん、と思う派かもしれない。HTML CSS よりも、もっと簡潔にレイアウトが記述できるマークアップ言語が欲しいと思っている。あったらワイヤーフレームとかもそれで書きたい。

それは、Mermaid とか、フロントエンドフレームワークとかでもなくて。シンプルにレイアウトだけができる言語というか。イメージは、Figma を簡潔なマークアップで制御できるみたいな。そういうのが欲しいと常々おもってます。

ゲン : なるほど。自分はデジタルメモに画像を貼る時って、紙のスクラップブックに写真や記事を切り抜いて貼るような感覚なので、整えるというより雑に置いておきたい。GUI ですぐパッと操作したくなるんですよね。

イズミ : 空間配置を上下左右に手でずらしたいということね。それはもう、グラフィックツール寄りになっちゃいますね。

ゲン : ですよね。デザイナー的な視点というと、ノートとは別ですけど、Web はRaindrop、好きなグラフィックは mymind、リファレンス探しは Pinterest や dribbble などでやってますね

イズミ : 確かにデザイナーはグラフィックを大量に収集整理する場面が多いから、それはノートというより、クリップツールの範囲になるのか。

手整理 vs マークアップ

イズミ : Obsidian の Canvas は嫌なんだもんね?あれの中身は多分 json で、各要素が座標を持ってるだけだから、かなりシンプルなグラフィック要素だけども。

ゲン : そうなんですね!SVG みたいなもんか。それも画像サイズ指定できる記法と同じで他のアプリでも通用するかどうか次第ですね。上下左右が自由に配置できて、それがどのアプリでも再現できるフォーマットなら最高ですが、そこまでは求めてないので、いまのところは縦に積むので OK だと思ってます。けど、たとえば iPhone からスクショした画像って縦に長いしめっちゃ画質いいから縦にバカみたいに大きく配置されるのは流石に勘弁してほしいっていう感じですね。

少し脱線しますが、こういうのを開発している人もいる。

イズミ : おお、glisp 面白い発想。P5js とか、Processing のようなビジュアル用コードにレイヤー的な概念足して、わかりやすくした感じだ。Scale とか Rotation が小要素なのも Adobe の PS とか AE 普段使う人にはわかりやすそう。

ただ、イズミは数値による座標指定から解放された世界にいきたい。だから glisp も違うんだよな。数値入力はグローバルなマージンだけを設定したら、あとは自動整列してくれるようなシンプルさを求む。そういう意味で、MKDocs みたいなドキュメント用のライブラリは好き。

と、話が散らかったところで、今回のテーマ「デジタルでのノートどうとってます?」はここまでです。

では、また次回。

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