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問いには、どのような“機能”があるのでしょうか?

問いの持つ大きな機能として情報という“答え”を手に入れることが挙げられます。そして、その答えを誰が知っているかで、問いの機能は変わります。

図1

質問する側が答えを知っている問い

Aの領域は、質問する側が答えを知っている状態の問いです。答える側は、その答えを持っているときもあれば、知らないこともあるので、テストのように「相手が知っているか知らないのかを確認する問い」や、お互いの予定を確認することが目的の問いなどが、Aの領域に該当します。

質問する側が知らないが、相手は答えを知っている問い

Bの領域は、質問する側が答えを持っていなく、かつ、その答えを相手は把握しているときの状態の問いです。図の例示のように、顧客が予算をどのくらい確保しているのか営業は把握していないときに、その情報(答え)を手に入れるための問いです。

この領域の問いの難しさは、その情報を手に入れるために、常に直球で問いかけても答えが手に入るとは限らない、ということです。

図の例示の場合で言えば、営業と顧客の関係性があれば「いくらですか?」と聞くことで教えてくれる場合もありますが、顧客によっては様々な理由で(コンプライアンスの問題なども含めて)教えてくれないこともあるでしょう。それでも、相手の予算感や、そもそも発注する意思があるのかなど、知りたい情報を手に入れてくるのが、営業に求められる「問をつくる」スキルです。

どちらにも分からない問い

Cの領域は、質問する側も答える側も、答えがわからない状態の問いです。図の例示のように、部下(答える側)がどのようなキャリアを描きたいかについて、上司(質問する側)は知りませんし、往々にして相手も明確な答えを持っていません。

この領域の問いは、B領域のように「聞いても答えが手に入るとは限らない」という難しさがありますが、その原因は必ずしも質問する側と答える側の関係性だけではありません。

そもそも答える側も明確な答えを持っていないので、どんなに上司・部下の関係性が良かったとしても「どんなキャリアに進みたいの?」「あなたはどうなりたいの?」と繰り返したところで、自分のキャリアを言語化できるとは限らないのです。

このようにBやCの領域では、一見すると欲しい情報を手に入れるのにふさわしそうな「問い」でも、その問いでは情報や答えが手に入らない状況があります。つまり答えを求めるためには、ただ求めるだけでは足りないことがあるのです。

答えてほしい領域に焦点を当てる

そこでもう1つの問いの機能、答えを手にいれるための領域に焦点(フォーカス)を当てるという機能があります。

例えばC領域の例示「あなたは、どんなキャリアに進みたい?」という問いは、相手の未来を聞いている問いですが、その未来を言語化できていない状態で、ひたすら未来の姿を聞いても答えられない可能性があります。

そこで、例えば「まず過去から考えてみよう」と問いかけることで、相手の思考の領域に焦点を当てることができます。これが焦点を当てるという、問いの持つ機能です。

機能していない問いの例として「なんで、また忘れ物したの?」をよくつかっていますが、kも、多くの場合はC領域の問いでしょう。

相手も「なぜ忘れ物をしたのか」という本質的な原因は、理解できていない状況で「なぜなの?」とか「やる気あるの?」と問いただしても、忘れ物が置きている原因にはたどり着きません。

このように「自分のキャリアを描く」や「なぜ忘れ物を繰り返すのか?」という答えを手に入れる問い(課題解決の問い)の前に、答えるための思考の領域に焦点を当てる問い(課題設定の問い)をつくることが、C領域やB領域では重要だとわかります。

問いをつくる側が、どの領域の答えを手に入れようとしているのか、何を目的とした問いなのか(課題解決の問いなのか? 課題設定の問いなのか? など)を理解できていないと、その問いは本来の目的を達成できているとは言えません。

キャッチボールと同じで、投げかけた「問い」が「答え」として返ってこなければ、それは「問い」ではなく「独り言」に過ぎません。

Top image by acworks

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