見出し画像

1/10「問いづくりの教科書(仮)出版企画会議vol.2」レポート

1月10日に「問いづくりの教科書(仮)出版企画会議vol.2」を開催しました。
今回もたくさんの方にご参加いただき、お礼を申し上げます。
vol.2では、二人称の問いにフォーカスを当てました。
グラフィック・レコーディングは、グラフィックカタリストの成田富男さんにご協力をいただいています。

「問いづくりの教科書(仮)」とは

今夏、「問いづくりの教科書(仮)」という問いづくりをテーマにした書籍を発行する予定です。

今までファシリテーターとして年間200回以上登壇し、延べ3万人以上の社会人・教員・学生の方々の育成にかかわりました。多くの問いを投げかけることで、参加者の方々に考えていただく。そうした経験から、どんな「問い」が機能するのか、そして機能する問いを作れるようになるにはどうしたらよいかという知見を、書籍としてお届けできることになったのです。

私には、多くの方に自由自在に「問い」を作れるようになってほしいという思いがあります。その思いが、ようやく一つの形になりつつあります。

問いとは何か?

この本で扱う「問い」とは、まず疑問形であること。英語でいうなら「?」で終わる文章ということです。誰かの意見に「で?」などと聞き返すのは、問いとはいいません。
何かしら知りたい・答えが欲しいという意識があり、それが疑問文の形で表現されているものを「問い」と定義します。
先ほどの「で?」というのは、何かしら答えを求めているわけですが、その求め方はあいまいですね。
どういう意図で「で?」といったのか、考えなくてはなりません。その前の状況によっては「怒られた」「早く行動しろと言われた」と感じる人もいるでしょう。

ウォーミングアップ #問いづくりの大喜利

どのようなものが「問い」なのか? 「問い」とは言えないのか? まずは、ウォーミングアップとして、Twitterで #問いづくりの大喜利 を始めました。会場に来てくださった方には、その場で考えて発表していただきました。

まずお題を投稿しますので、そこに返信してもらいました。
返信するだけでなく、他の人の回答で面白いな、あるある!と思ったものには、♡をクリックしてください。1週間程度したら、こちらで♡が多い方の回答をまとめてツイートします。

またお題を投稿しますので、ぜひTwitterもフォローしてくださいね。

問いの効果

よい問いではなく、機能する問いを作れるようになるというのが、本書の目標です。では問いが機能すると、どのような効果が得られるのでしょうか?

1.情報や情況について知ることができる
2.認識を変えることができる
3.行動や判断を促すことができる
4.相手との信頼関係を築くことができる

4以外に”相手の”とつけなかったのには理由があります。問いは誰かしら相手に向かって投げかけるものですが、自分自身に向かって問いかけることもあるからです。

トラブルを目前にしたとき「なにが起こったのだろうか?」「どうしたら、元の通りになるだろうか?」「私は何をすべきなのか?」など、自問自答したことはありませんか? これについては、一人称の問いで扱います。

これを、誰かに問いを投げかけてコミュニケーションを取るのが、二人称の問いです。これが今日のテーマです。

二人称の問い

問いによって、相手の情報や情況を引き出したとしましょう。それにより相手は「自分に興味を持っているんだ」と感じますし、答えを尊重してもらえれば、「この人は話を聞いて、受け入れてくれる人だ」と感じて、信頼関係が育まれていきます。

また、相手が気付いていない視座から、物事を捉えなおすような問いを投げかければ、物事への認識を変えることができます。そうすることで、相手は次の行動を考えたり、何らかの判断を行えるようになるでしょう。

ただ、たった1つの問いで、このような効果を得ることはできません。複数の問いを組み立てて、使っていく必要があります。

未知への受容度

問いを組み立てるときに考える必要があるのは、相手の未知への需要度です。
ジョハリの窓という自分・相手の知っている・知らないを掛け合わせた図があります。

ジョハリ


どちらも知っている領域というのは、お互いにとって安心しながら話すことのできるコンフォートゾーンとしましょう。どちらかが知らない領域は、どちらかが少し不安を感じたり、よく分からないなと思いながら話さなければならないストレッチゾーン。お互いに知らないゾーンは、話したくないというパニックゾーンかもしれません。人によっては、未知、つまり知らないことをどれだけ受容できるかは異なります。

未知の話題を扱うとき、ちょっと頑張れば(ストレッチすれば)触れられるのか、パニックになってしまうのかは、人によって異なるということです。

二人称の問いでは、相手の未知への受容度を踏まえて、いきなりパニックになるような問いを投げかけてしまっては、相手の思考をフリーズさせてしまうので、注意しなければなりません。

対話の質ー深度

もう一つ、対話の質ー深度を考えてみましょう。これは対話の質・深さにどのようなものがあるのかを、海に浮かぶ氷山で表したものです。

深度

この対話の質ー深さを、問いに当てはめるとこうなります。

1.表面的な問い
2.事実関係を明らかにする問い
3.認識・感情を聞く問い
4.価値観を聞く問い

仕事などでは、表面的なものや事実関係を明らかにする問いは、よく使う方も多いでしょう。しかし、それだけでは、いつまでたっても相手との関係は深まらないものです。

相手の認識・感情、さらに価値観についてまで問いかけることができたら、相手との信頼関係や深い絆が生まれるのではないでしょうか。

もちろん、いきなり「あなたの座右の銘はなんですか?」などといって、価値観に踏み込んだ問いをしたつもりになっても、表面的な答えしか返ってこないかもしれませんね。

相手の本音を引き出したいと思うなら、一つの問いで答えを得ようとするのではなく、複数の問いを積み重ねていくしかありません。

演習1 年始はどう過ごしましたか?

ペアになってもらい「年始はどうすごしましたか?」という問いを投げかけ、その答えを聞きながら、さらに問いを投げ、話を深めていくという練習を行いました。

・Aさん「年始はどうすごしましたか?」→Bさん「〇〇をしていました」
・まずはオウム返しで受け止める。Aさん「〇〇をしていたんですね」
・「〇〇は好きですか?」→Bさん「YES/NO」
・Bさん「〇〇について深堀する問い」

このようなプロセスで、事実の確認だけではなく、認識・感情、価値観まで問いで深堀りすることを目指してもらいました。

さきほどの対話の質ー深度を、問いで上がったり下がったりしながら、深堀していくことになります。いきなり核心に触れるのではなく、一段ずつ上ったり・降りたりするというイメージで考えるとよいでしょう。梯子を上ったり下りたりする様子に似ているので、ラダリングといいます。

演習2 私がつい繰り返してしまう失敗

こちらもペアになってもらい、つい繰り返してしまう失敗・癖について問いかけることで、相手自身に解決策を見出してもらおうというワークを行いました。

この時、最後の結論を引き出すまで「Why?」「なぜやってしまうんですか?」は使わないという条件をつけました。

ここで、Whyを禁止にするのは、いきなり「なぜやるのか?」と問われても、相手が答えられないことが多いからです。もし答えられたとしても、多くは表面的な答えに止まり、相手の行動や判断に影響を及ぼすことができないということが、よくあるのです。

いきなりWhyが通用するのは、相手に分析力があるときだけなので、使うときには注意しなければなりません。

ワークの最初の問いは「ついつい繰り返してしまう失敗って、どんなものですか?」です。当然、表面的なことや事実の確認についての問いをしてしまいますが、その先は認識や感情についての問いも使っていただきました。思わぬ結論にたどり着いたペアもいたようです。

初対面同士の皆さんでしたが、積極的に演習取り組んでいただきありがとうございました。

行動・判断を助けるフレーム「ORID」

ここで、ORIDというフレームをご紹介します。ファシリテーターの中には、振り返りの項目としてご存じの方もいらっしゃると思います。次の4つの頭文字からORIDと呼ばれています。

・Objective  客観的な事実は何か?
・Reflective  起きたことに対する反応や感情は何か?
・Interpretive どういう認識・解釈をしているのか?
・Decisional  何をやるのか? どうやればいいのか?

ついついDecisionalから問いたくなるものですが、いきなり「何をやるのか?」「どうやるのか?」などと問いかけてはいけません。

先ほども言ったとおり、急に結論を問われても多くの人は答えられないものです。問われた側は、質問者が「正しい答え」を知っていて、それ以外は受け入れてくれないのではと思ったり、また尋問されたような気持になったりする場合があります。そんな風に捉えられてしまっては、信頼関係が崩れてしまうでしょう。

ポイントは、いきなり結論を問わないこと。

自分の知っていることを、あえて問うてみてもいいかもしれません。

そこから相手の話したい話題に注目して、感情や価値観を深堀するのもよいでしょう。今まで知らなかった相手の情報が引き出せるかもしれません。また、相手自身がうまく言語化できていなかったことに気づくこともあります。

そして、取り巻いている情報を整理して共有することで、相手の行動・判断を助けることができるようになるのです。

振り返り・質疑応答

振り返り・質疑応答については、成田さんのグラレコをご参考にしてください。

画像4

画像3


次回 2月7日 出版企画会議 vol.3 三人称の問い

三人称の問いとは、複数の相手に同時に投げかける問いです。この問いは、イベントや会議やトレーニングや学校の授業で使われることを想定しています。多くは、複数の問いや、その他の例えば“講演を聞く”などのアクティビティとの組み合わせで、機能を発揮するものです。

過去に「対話や学びが深まる問いのつくり方講座」に参加されていない方のお申し込みも、お待ちしております。

会場は、様々な「知」と「学び」を提供し、多様な価値観が出会い、新しい価値を生み出す場づくりを目指している丸善雄松堂様の運営するDNPプラザをお借りしています。いつもありがとうございます。

日時:2020年2月7日(金) 19:00〜21:00
会場:DNPプラザ イベントゾーン(2F)
住所:東京都新宿区市谷田町1-14-1 DNP市谷田町ビル
アクセス: http://plaza.dnp/access.html

対象:学生、社会人など
費用:無料
申込み:https://forms.gle/ziZpiSueLUoc2dJp7

最後に…
このnoteが良かったなとお感じの方は、ぜひ♥をクリックしていただけると、励みになります。m(_ _)m


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?