映画『来る』感想

お久しぶりです。生きてた。

配信されていた映画『来る』見た~~~~!
☆安定感よりパワーと膨大な小テクで殴っていく感じがすごかった、エログロ虫表現あるけどそれが目的ではない
☆景気のいい怪奇現象に反して、構造としては人間にフィーチャーした作品
→ホラーというより面白いチームのアクションもの見たみたいな感想になってまう。面白いけど……ホラーか?ホラーなのか?


以下ネタバレ感想

先に文句つけたいこと
・ラストしばらくもやっとする(考えてたらまぁまぁスッキリした)
・解かせる意図もなさそうな「それ」の正体(同上)
・お祓いちゃんぽんだから華やかだけどいいのか?と思わんこともない
・テーマが継ぎ足されていく?見どころがどんどん変わっていくので、一貫した構成が好きな人はあまりキレイじゃないやり方に見えるかも。

構成の安定感には欠けるかな~とか思いつつですがキャストみんな名演だしキャラクターも生きてるしテクもあり画面も華やかでやりたいことはめちゃめちゃ高得点叩き出せてるな~~!
結構スプラッタだけどあんまり怖くないし(どういうこと?)とてもエンタメだった。やっぱ最後の除霊大作戦はコントだと思って見ていいのかな。

3部の登場人物全員強キャラでヒーロー映画を見ている気分になる⇔前半の苦しい人間模様、どっちも楽しめる。どっちかに絞れという気持ちもありつつ、どっちも面白かったからいいか!みたいなアホの気分にさせられる。負けた。
松たか子と柴田理恵と小松菜奈の迫力に押されがちだけど、前半のちょっと自分にも思い当たる節がある感じ、後半を頼って手を抜くことなくきちんと書かれていてとても好きです。この作品を楽しむなら死んでいった人間をクズと笑ってはいけない。

個人的には3部構成の中盤、黒木華パートが一番好みです。(押す)
序盤のbutterflyから始まる新婚生活の冗長かつうざい(妻夫木聡の名演)シーンが中盤にちゃんと回収されるのであ~~~良かった!育児ブログ耐えて良かった!という感じ。いやまあ田原夫、悪い人じゃないんだろうけどな~~~~~~~うん。我々の感じ(させられ)ていた気持ち悪さをしっかり捕まえてくれてわたしはかなり安心しました(意図的に気持ち悪く書いてるんだろうけど見てるときは「なんだこれは……これがいいのか。こういうものなのか」と自分に思い込ませながら見てる)。
あと部屋めちゃめちゃ荒れてんじゃん怪異やばいな……と思ったら実はそうじゃなかったところとか、もう一回観て確認したいぐらい構成テクとして萌えました。
確実にひずみが来る展開の人間模様、カナさんがうらぶれていく様はホラーとは別に引き込まれました。子供の事が好きじゃないわけじゃないのに時々あげたいと思っちゃうこととか。どっちも本当なんだろうなぁ~
民俗学者の彼も小物なりに生きにくそうでちょっと愛しかった。魔導符のくだりはいらんことすんなや笑と思ったけどキャラですね。
これはほぼ余談ですが田原妻、あんなに気が弱そうだったのに着飾ってからほんとに綺麗になるのもウワ美しい……大女優……ってなった。
↑この映画女性ばっかり魅力的に描かれていてなんか無性に腹立ってきたな。結構いい面ばっかり書かれていて、「そうやってお前の希望を!!!押し付けるなよ!!!」という気分です。強い女も綺麗な女も大好きなので人のこと言えないんですけど。
ホラーだけど人間の話だなーってのがこの辺でわかってポイント急上昇した。あとの強キャラについては省略(みんなと同意見です!好き)。

「あれ」の正体について
怪異の来歴がかなりふわっとしか分からない。親の選択によって生きることのできなかった子供たちか?と思うけど、じゃあなぜ田原夫が?感があり、ここで「噓吐き」が出てくる。怪異の宿る先が子供で餌食が嘘つきなのはわかるけど、その関連があんまり明快じゃないのかな~。原作を読めば(改変があったとしたらそれを含めて)答えがあるかもしれない。
→霊異は人の弱さにつけ込む、みたいなざっくりした説明でいいのかな。
→痛みから逃げた人間(?)琴子もそんなようなことを言ってたし。自分の弱い部分をきちんと見れない人間か。退治アイテムが鏡であることからも察することができる。

怪異の行動原理わりと不明、怪異が今回はらわれたとしてもちさちゃん自体は生きているからきっと解決ではないのでは?みたいなことを考えて(親のネグレクトはあったので……)、この物語のオチどころは「それでも子供と(→終わらない霊異と)(→「子捨て」のうしろめたさと)(→痛みと)生きていく」に私の中でなりました。
退治したんじゃなくてはらっただけならそれはきっとまた「来る」し、子捨て(今でいえば中絶?)も終わらないけど、生きるという。怪異に対してかなり力強く人間賛歌では?

わたしはマコトちゃんがちさちゃんのことを大好きなのを見ているので、ちさちゃんがこの先マコトちゃんのことを辛く思わないでほしいな、と願ってしまう。この物語の論理で行くと多分ちさちゃんもまたキャバの養母という呪いにかかってしまうので(マコトちゃんの気持ちにかかわらず。残酷)、早く『来る』の世界線から脱出してほしいです。いや、きちんとケンカし、今回生き残ったマコトと野崎なら大丈夫なのか?

田原夫を見た後にブログ書くのイヤだな~~という気持ちもありつつも、感想を吐き出さないと生きていけないので書いてみた。面白かった!(零感なのであんまり気にしないけど盆に見るか?感はある)

個人的萌えポイントは、タバコとファブリーズが見えないものに効く話です。昔スピオタしてた時にタバコの煙も魔除けになるって聞いたことがあって勝手に興奮した。ファブリーズもホラー読んでると出たりするし。ちゃんと監修入ってるらしいからその辺詳しく聞きたいなと思ったりもする。

久しぶりにわーーーっと感想書きたくなった特徴的な味の映画でした。あー面白かった。

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