見出し画像

24.参政党による"西条市丹原の農業者への侵略攻撃"次の矛先は"ため池ソーラー"


此迄ノ荒筋 (正太郎マーチ)

西条市の地元農家の協同組織(JA)が、高齢化による後継者問題・耕作放棄地対策として、提携しているニュージーランド・ゼスプリ社の関連企業から49%の出資を受け設立した、地元日本人が働く農業法人「株式会社イーキウイ」
これに対して、参政党愛媛支部「中国資本の企業が水資源を奪いにきた・農薬で地下水を汚染している」などの事実と異なる風説を流布し、同社の評判を下げ、さらに西条市長や農政担当職員、農業委員会を誹謗中傷しました。
農村で保守的な人が多い丹原で「中国資本に農地農道を売った」と煽れば票が集まるだろうと、2023年の県議会選挙で議席獲得・党勢拡大を狙った参政党の思惑に、丹原地区の住人は利用されました。

これは直接誹謗中傷を受けた企業はもちろん、地域の農家のみならず西条市住民に対する「地域乗っ取り攻撃」「外部からの侵略攻撃」です。

県議選では参政党候補は順当に落選しましたが、まだ活動は続けているようです。
イーキウイ社への攻撃は沈静化していますが、次の「丹原地区の農業者を狙い撃ちにした攻撃」は始まっているようです。


"怪文書"ならぬ"怪動画"が飛び交う市長選

Youtube「CozyBASE」の投稿ショート動画
玉井としひさ後援会事務所」のFacebookには、既に支持者から動画についての報告が投稿されており、陣営の方もすでに把握しているだろう

CozyBASE」という松山市の住宅建設会社の代表者M氏は、参政党愛媛支部の事務局長でもありましたが、2024年の西条市長選挙に際して、無所属の高橋敏明候補の応援動画を投稿する一方、現職の玉井敏久市長や自民党の黒川理恵子候補について、首を傾げるような自説を展開し批判する動画を投稿しています。
なお、この会社はテレビ愛媛の人気番組「まっすんの陽あたり良好」に何度も取り上げられるほどの名の知れた会社です。
上記リンクの動画にあるように、参政党は今度はため池のソーラー発電事業をネタに市長攻撃を始めました

動画の文字起こし

中国への西条市の市道売却に続き、地域住民に知らされない環境破壊のステルス攻撃を西条市の玉井市長が始めました。
狙われたのは、湧き水が湧き、野鳥が集まる、丹原文化会館横の2つの池です。池にソーラーパネルを浮かべて埋め尽くす計画が確定段階に来ています。
池に浮くソーラーパネルが台風などで暴れて破損すると、有害物質が下流域や地下水に広がり、パネル破壊が起こった時のカドミウム汚染はイタイイタイ病の原因物質でもあるが使用するパネルすら不明。おそらく中国製と聞いています。西条市の飲水の90%は地下水です。
変電設備や高圧送電線の伝送路が家の近くにできる迷惑行為。 住民説明は半径300m以内だと、西条市が四国電力に指定していたから地域住民は知りません。半径300mには根拠がないので撤回を求めても、断固として撤回しません。
「安全だというなら玉井市長の自宅の近くの池につけろ、丹原ばかり狙うな」という意見がでています。

Youtube動画「また、丹原が狙われました! #四国電力  #愛媛県西条市 #西条市長選挙」より文字起こし

この動画が示すため池ソーラー発電計画について、公的な資料は少ないですが、 西条市地域再エネ導入戦略策定支援業務 共同企業体グループが作成した西条市地域再エネ 導入戦略策定支援業務 報告書(2023年2月)がみつかりました。下図リストの中の丹原町土地改良区が所有する大明神池と照井池がこれにあたります。
余談ですが、小松町土地改良区所有の大谷池は映画「すずめの戸締まり」でバイクに乗った千果と出会うシーンの舞台とされています。

西条市地域再エネ 導入戦略策定支援業務 報告書(2023年2月)より引用


動画内容のファクトチェック

ここからは、動画でナレーションが説明している内容について、事実でない箇所があるので説明します。

変電設備や高圧送電線の伝送路が家の近くにできる迷惑行為。 住民説明は半径300m以内だと、西条市が四国電力に指定していたから地域住民は知りません。半径300mには根拠がないので撤回を求めても、断固として撤回しません。

あたかも、西条市長が「半径300m以外の住民への説明を無根拠で拒んでいる」かのように批判していますが、明確な根拠はあります。
資源エネルギー庁が2024年2月に策定した「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」において以下のように住民説明の範囲の根拠が示されており、西条市行政は国の方針に従っているだけに過ぎません。市長が四国電力出身だからとか、そんなことは関係ありません。

第1節 「周辺地域の住民」(説明会に出席する住民)の範囲

① 再エネ発電事業を実施する場所(以下「実施場所」という。)の敷地境界線からの水平距離が、次の場合に応じて掲げる一定の範囲内に居住する者に対して説明すること。

(ⅰ)低圧電源の場合:100m
(ⅱ)高圧電源又は特別高圧電源の場合(次の場合を除く。):300m
(ⅲ)環境影響評価法に基づく環境アセスメント対象事業(第一種事業に限る。)の場合 :1km
〔施行規則第4条の2の3第2項第1号イ~ハ〕

資源エネルギー庁「説明会及び事前周知措置実施ガイドライン」 2024年2月策定

同様の書類は西条市のサイトにもあります。

この300mという数字に異議申し立てをするのなら、西条市ではなく霞が関の資源エネルギー庁の方へどうぞ。


そもそも ため池ソーラー発電の事業主は市長ではない

そもそもですが、このため池の所有者は市や市長ではなく、丹原町土地改良区という農家を組合員とする法人組織です。農協のように、農家が議決権を持ち総代会で事業方針を決定する、民主的な組織です。
その土地改良区が、なぜため池にソーラー発電を設置するのかというと、農家数の減少からくる賦課金収入の減少と水利設備の老朽化による補修費用増加を発電収入で補いたいという切実な理由があるからです。
もちろん、火災などの事故の危険性は組織も認識はしているでしょうが、それを含めてメリット・デメリットを天秤にかけた結果、事業をするという判断であると考えます。

農業団体の自己財源創出を支援
ため池も維持管理が必要で、その費用は行政からの補助金や土地改良区・水利組合・財産区等で負担しているのが現状です。農家の後継者が減少する一方でその費用負担は年々厳しくなっており、ため池の維持管理者は独自の財源確保が急務になっています。 我々は、農家の負担軽減と農業団体の自己財源創出支援として、重荷になりつつあるため池の多目的利用を進めていきます。

ため池ソーラー社「ため池ソーラーの現状と未来」から引用

同様のため池ソーラーの事例は全国にあります。

つまり、参政党がこの「ため池ソーラー発電事業を攻撃する」ということは、丹原地区の農家の自主的な財源確保の権利を侵害することであり、明確な農家を狙い撃ちにした攻撃です。
丹原の農家は滅んでしまえ、農業用水路は朽ち果てるままにしてしまえ、ということでしょうか。
もしこの事業に異議を申し立てるのであれば、このような動画で市長を攻撃するのではなく、丹原町土地改良区の構成員である農家を一軒一軒粘り強く説得して回ることのほうが筋が通ります。


最後に。

「安全だというなら玉井市長の自宅の近くの池につけろ、丹原ばかり狙うな」という意見がでています。

という言葉で動画は締めくくられていますが、このような意見が、ため池の周辺住民の口から出るのはちょっと考えにくいです。
なぜならこの2つの池こそが、玉井市長の自宅から一番近い農業用ため池だからです。地元の人間が、地元選出で8年も市長をしている人の自宅を知らないのは不自然です。「玉井市長の自宅」が「丹原」ではないところにあると思い込んでいないと、このセリフは出ないと思いますが。
地元住民の意見に見せかけたこのセリフ
は、住民ではない動画制作者の創作の疑いがあります。


追記

このnoteではため池ソーラー発電事業についてポジティブに述べましたが、私個人としては、人工建造物の屋上・外壁等以外の場所(山林・原野・農地・水上)へのメガソーラーの設置には消極的です。しかしながら、その土地の所有者が設置したいというものまで、口出しするつもりはありません。


追記(2024年9月25日)

Change.orgで署名が始まったようです。
発信者がメガソーラーと言っておりますが、計画では2つの池合わせて500kwの規模であり、1,000kw(1Mw)以上が定義のメガソーラーというほどの規模ではないことに留意が必要です。
また、きれいな湧水が湧き、渡り鳥が飛来するという表現がありますが、当池はもともと会った泉の水ではため池としては水量が少ないため、土地改良区の農業用水を引き込んで大きな人工のため池として築造されています。いわゆる「うちぬき」のような、清水をたたえた池というわけではなく、説明中に「ソーラーでアオコを防止できる」という話もあるよう、どこにでもある平凡なため池の一つでしかありません。
池底に遺跡があるとの説明ですが、埋蔵文化財包蔵地だからソーラーがダメというのは非合理的です。市内には、調査が完了した包蔵地の上をコンクリートとアスファルトで固めて高速道路や大型建造物が建っている場所がいくつもあります。
「この計画を知らない組合員もいる」という表現がありますが、ならばなおさら、ネット上で赤の他人に署名を求める(多分Change.orgの署名なんか、田舎の農家のおっさんは歯牙にもかけないと思う)より、その土地改良区に意見を言える組合員を説得して仲間を増やし、合議的に撤回させるよう動く方が懸命ではないか、と思います。