23.水源地の近くで除草剤を撒いても大丈夫?
参政党の正義は、法律をも超えるのか
2023年10月頭のことですが、参政党愛媛県連代表者の八木氏と同党所属の宇和島市議山本氏が、イーキウイの園地近くの公共上水道汲上施設「丹原地区簡易水道長野第3水源地」付近を訪れ、動画を撮影し次のようなフェイスブックを投稿しています。
二人は、(おそらく)イーキウイの関係者が自社の農園敷地(ネットの外側)の農道脇の雑草が伸びているため、除草剤を散布して雑草を枯らしただろう痕跡を発見し、勝手に問題視しています。
除草剤散布が行われていた箇所を、Google mapsから推測してみました。
赤い四角で囲まれた所が公共上水道汲上施設、赤いラインが推測された散布箇所(農地と農道との境目)です。
西条市の農業委員会と水道課に確認に行き「水源地の付近の自分の農地に除草剤を散布することに違法性はない」「地元の間でも取り決まりはないのでは」と、法的にも何も問題ないことを教えてもらっているにも関わらず、法的な縛りがないならしょうがない、自分たちで行動を起こすぞとついにいい始めました。
なにも違法なことをしているわけでもないのに、どうしてここまで憎悪を浴びせられ、業務妨害をされないといけないのか? 理解できません。
水源地の近くで除草剤を撒くと、地下水に影響があるのか
今回、水源地近くで散布された除草剤がなんの薬剤なのかは、正確には私にもわかりませんが、農家の勘として普通に最もポピュラー且つ使いやすいラウンドアップじゃないかと考えます(あくまで個人の想像ですよ)。
ここで使われたのがラウンドアップ=グリホサートだと仮定して、話を進めます。
ラウンドアップの成分であるグリホサートは、液がかかった植物を枯らしますが、土壌にかかると微生物によって水や炭酸ガス等に分解されます。
参考資料:
【グリホサートファクトシート】グリホサート分解の仕組みは?
ですから、地面に染み込んで地下水脈に到達し、農薬成分が地下水を汚染するということは、可能性としては限りなく0に近いと思います。
参考資料:
【グリホサートファクトシート】グリホサートは土壌から地下水に浸出するのか?
この「丹原地区簡易水道長野第3水源地」の井戸は、浅井戸・深井戸の区別で言えば深井戸に当たるそうです。一般的に浅井戸は10mほど、深井戸は30m以上と言われます。西条市の地下水年報によると、長野地区にある地下水観測井戸(この水源地ではなく、近くの別の場所に設置してある水質調査用の井戸です)は46mの深さですので、この水源地が汲み上げている帯水層もそれくらいの深度だと思います。
上記資料で、グリホサート成分は土壌表面から15cmより下ではほとんど検出されないくらい、表面にとどまるとされているので、参政党の方々が懸念するような地下水の汚染の可能性はないだろうと思います。
それに、この水源地で汲み上げた地下水ですが、直接各家庭に配水されるのではなく、一度別のところにある配水池というタンク施設に送られ、そこで塩素消毒をされます。
何の薬品も含まれない天然水が各家庭に送られるのではありません。
水道法により消毒の有効性のため、残留塩素濃度が0.1mg/L(ppm)以上あることと定められています。一般的には平均0.4ppm程度らしいです。
なお、我が国で過去に水道から検出されたことのあるグリホサート成分濃度の最大値は0.02ppmだそうです。塩素の影に隠れるくらい微小です。
(検出された水道の水源が地下水か、河川等の地上水かは不明です)
それに、もともとこの場所の周辺には、イーキウイの園地以外にも地域の農家の所有する農地があり、それこそ何十年も前から農薬を使って農業をしてきています。それであっても地下水が汚染され水が飲めなくなったなどという問題は起こっていません。
参政党への提案
イーキウイ社は、園地の周辺の雑草が伸びて対処が必要です。
もし参政党が「除草剤を撒くな」というなら、あなた方が「参政党ファーム」と称して丹原の数カ所の耕作放棄地でやっているように、草刈りをしてあげればいい。
刈った雑草は、発酵堆肥化して自然農法で使えますから、どうぞ持ち帰って活用してください。堆肥の原材料がもらえるんだから、草刈りも無料でOKですよね。
これでイーキウイも参政党もWin-WInですよ。
まとめ
今回の参政党の二人の言いがかりは、まさに「IAEAも安全と認める国際基準内の低ベクレルのALPS処理水を、広大な太平洋に放出したことを『核水で海が汚染された』と騒ぎ立てる中国共産党政府」と同レベルだと思います。
それに、参政党は最初「中国で水不足、水質汚染が問題だから、中国資本が日本の水資源を求めてやってきた」という設定で批判していたはずです。
なんで水資源を求めに来たはずの「外国資本が(自国民に飲ませるための)地下水を除草剤で汚染している」という、意味不明なハナシになるんですか?
参政党のシナリオライターはアホですか???
設定くらい一貫性を持たせたシナリオ書いてください!!!
追記
「食政策センター ビジョン21」主宰の安田節子氏が、「グリホサートが分解されずに土壌に浸透し、地下水を汚染している」ことを示す論文を見つけたという資料がネット上にありますが、これについて「問題がない」ことを説明する記事もありますので、添付しておきます。