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【雑文】僕たちは日本を耕す外国人たちと共存できるか


外国人の農地取得に対する、若手農家のスタンスはどんな感じか

私は農家なので、農作業中にイヤホンで農系ポッドキャストをよく聞いてますが、先日フォローしている脳ある鷹さんが、そのものズバリ「外国人の農地取得」をテーマに語っておりました。
西条市にある外国法人のキウイフルーツ農園についても触れており、思わず作業の手がピタッと止まってしまいました。

番組の中で、農家であるスピーカーのお二人は、「(どの外国人が農地を所有しているか、何を作っているか)ちゃんと把握できているならいいんじゃないか」「(日本の農業に興味や可能性を感じて来た)外国人が日本で農業をしたいというのは悪いことじゃない」というスタンスでした。
私もそう思います。面白いのでぜひご視聴を。

さて、番組内でも触れていた「外国人等による農地取得」に関する農水省の調査結果はこうなってます。

番組内でも触れてましたが、「居住地が海外にある外国人・外国法人による取得」は、昨年令和4年はわずか0.1haと拍子抜け。この点は、番組スピーカーのお二人も苦笑い。
一方「居住地が日本にある外国人(と思われる)や法人による取得」が、142ha+12ha=134haとなっています。
実はこの数字、平成30年以降の「居住地が海外にある外国人等による取得」の総面積より全然多いんですが、農ある鷹スピーカーのお二人にとっては「あれだけ騒いでいても、全国でこの程度か」と冷静だったように、標準的な農家にとっては驚くほどではない数字ということ。
でも某政党にとっては騒ぐ格好のネタだと思うのに、この点に全然触れてません。(外国人の国籍が中国だとはっきりしないから?)

批判してるのはこのツイートくらいか。

全国の、農業を始めた外国人・法人の例を調べてみた


北海道函館市 de Montille & Hokkaido

代表者:Etienne de Montille氏(フランス)
面積:約36.8ha
栽培品目:ワイン用ぶどう
代表者は居住地が海外のため、日本法人「de Montille & Hokkaido」を作って日本人スタッフを農作業に従事させ、議決権を49%に抑えることで農地所有適格法人になっていると思われます。
各種マスコミの取り上げられ方も好意的です。

愛媛県西条市のイーキウイが取得した農地は日本で2番目に多い面積だ、と参政党等の極右政党支持者にばかり叩かれています。
じゃあ一番多くの面積を買った外国人はさぞかしもっと酷く叩かれているんだろうと思ったら、全然そんな様子がない。

筆者注:この記述は、Montille氏の会社を叩くべきという趣旨ではありません。念のため。

私がネット上で調べたかぎり、参政党関係者や党員・支持者らがこの農地取得について批判しているという情報は一切見当たりません。
その一方で「北海道の水源地の山林や農地が外資に買われる!」などと、いまだに必死に訴えているのですから滑稽です。
参政党の基準では「フランスの外資は農地を買収してもいい外資」らしい。まるで「アメリカの核は汚い核。ソ連と中国の核はきれいな核」と言わんばかりの日本◯産党みたいですね。


富山県氷見市 氷見キウイランド

代表者:許斌氏(中国)
面積:約5ha
栽培品目:キウイフルーツ
代表者は日本国内に居住しており、自身で農作業にも従事しているようです。ですので「居住地が海外にある外国人」を対象とする農水省の調査では対象外でした。
ですので、おかしな極右政党に目をつけられることもなく、平和に事業を続けることができ、見事な農園を完成させています。

市長にも事業を期待されており、地元JAに受け入れられています。

こうして地元に受け入れられ、栽培技術や生産量という実績ができれば、もう外国人だ中国人だと言って批判するような団体が絡んでくることはありません。
そんなことしたら、その団体の方が奇異の目で見られるだけ。


栃木県栃木市 北海農場

代表者:范継軍氏(中国)
面積:約5ha
栽培品目:中国野菜等
栃木県にあるこの北海農場、つい最近、日本テレビ「満天☆青空レストラン」でも紹介されたほどで、地元での知名度も高いようです。
代表取締役の范継軍さんは中国出身で、IT業界から農業に転身したとのこと。こちらも農水省の「居住地が海外にある外国人」対象の調査には含まれません。

中国野菜の栽培の他、農業体験やECサイト通販を行っているようです。


佐賀県唐津市 ラマ・カンチャさん

代表者:ラマ・カンチャ氏(ネパール)
面積:約5ha
栽培品目:トマト、ミニトマト
以前、農文協発行「現代農業」で紹介されていたのを見て覚えていました。廃棄する野菜等を発酵させた有機肥料を自作して栽培をしているとのこと。
ラマさんは佐賀県青年農業者会議、いわゆる4Hクラブという青年農業者の組織にも所属し、意見発表の競技会で全国大会に出た実績もあるそうです。


広島県広島市 博卓農園

代表者:陳玉柱氏(中国)
面積:ハウス38.5a 露地3.7ha
栽培品目:中国野菜等
動画で偶然見かけたので知りましたが、それ以外のメディアの露出が少なく、淡々と黙々と、地元の食材供給のために汗水垂らしている感じがして、私は非常に親近感を感じました。

前出の北海農場と同じように、中国野菜をメインに作られています。中国出身の方の農業法人は、中国野菜を栽培する例が多いように感じます。
私も地元の直売所に出荷しているのですが、お客さんには技能実習生の中国人青年らもいます。日本では珍しい中国野菜を出品する他の農家がいますが、ひょっとして中国野菜の需要は案外と高いのかもしれません。



このように、外国人であろうが…西洋人であろうが中国人であろうが、ちゃんと地元の農業委員会に認められて適切に農業に従事している(取得した農地を農業以外に利用するなど不適切なことはしない)方々が、地元に受け入れられ、正当な評価を受けて日本の社会に溶け込んでいる状態こそ、本当に望ましい姿だと思います。
西条市も、これと同じようになればよかったのですが…


E社はニュージーランド資本なのに、社長はニュージーランド人(出身はチェコだそう)なのに、中間に香港(中国)の子会社を挟んでいるだけで、中国共産党の手先呼ばわり。極右政党のサンドバックにさせられています。
以前はE社の社長やスタッフを中国人であると断定して「中国人を大勢呼び寄せて、地元の丹原高校が中国人学校になってしまうぞ!」と放言する人がいました。バカじゃないの?
この扱いの差に、日本人はいまだに、青い目と白い肌に弱く(日本以外の)アジア人を下に見ているのか?と思わされ、辟易します。


外国人の農地取得は問題なのか?

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 山下一仁氏のコラムを紹介します。山下氏と言えば、あの東大教授鈴木宣弘氏の宿敵
鈴木氏は種苗法についてもグリホサート・ネオニコチノイド等の農薬についても、我々現場の農家に背を向けた主張ばかりするので、私は信用していません。ウチの払っている日本農業新聞購読料の一部がコイツの懐に入っているかと思うと不愉快ですね。