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Happy Words Story 100 Vol.01

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「あなただけの癒し」のためのHappy Words Story 100 ~私を幸せにした100の言葉~。 完全オリジナル。 「何気ない言葉が人を幸せにする。」 そんな幸せを感…
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#読了記録

EP039. 誰よりも努力してきたんだから大丈夫だ!

「今日が最後か。もう少しで終わってしまうんだな…。」 学生生活最後の大会。 この試合を最後に引退する。 頑張ってきた自分を表現する最後のチャンスだ。 これが最後かと思うと、ただならぬ緊張が襲ってくる。 正直言って怖い。 何度も経験していた舞台だというのに、不安に押し潰されそうだ。 恐怖が心を支配する。 最後を意識すればするほどカラダが強ばってくる。 「今まで頑張ってきたんだ。誰にも負けない努力をしてきたんだ。不安なんて感じる必要はないんだ。」 自分に言い聞かせる

EP038. 私よりずっと料理が上手いね

今日は彼女の家でお泊まりデート。 普段は彼女がご飯を作ってくれる。彼女は料理が上手で、いつも美味しい料理を用意してくれる。彼女の料理に不満はないけど、いつも時間を掛けて凝った料理を出してくれるので、作ってもらってばっかりだと申し訳ない。 「たまには僕が作ってあげるよ。」 いつもの美味しいご飯のお礼に、初めて僕が腕を振るうことにした。 「何この味付け?めちゃ美味しいよ。」 「そっかぁ?普通の晩ご飯だよ。」 「普通じゃないよ。」 「素人料理だし、大したことないって

EP037. 私らは末広がりの人生を歩くんやで

「総務のあの子、寿やって。」 「えぇー、あの子まで…。あの子には勝てると思ってたのに…。」 「あと何人残ってた?」 「もう5人切ったんちゃう。」 「マジでー…。はぁ、私、どうなるんやろ。」 「もう、そんなに気ぃ落とさんときやぁ。」 この会社に入社して20年。 周りの女子たちには次々と彼氏ができたり結婚していくなか、私には全く浮いた話がなかった。 同期入社の女子は40人もいたのに。 気が付くと残り5名を切っているという事実。 「また一人売れてった。」 「人に

EP029. あなたと話すだけで心が楽になるわ

高台の病院にあるガーデンは太平洋を一望できる。 海に向かってポツンと置かれている白いベンチ。 ここからの景色は最高だ。 ゆっくりと海を眺める。 ここには時間という流れはない。 この瞬間を切り取った「今」がただあるだけだ。 太陽の光を反射してきらめく広大な水面を見つめていると、光の破片が心の中に入り込んでくる。まるで心の闇をスキャンして取り除いてくれているようだ。 この感覚をいつまでも味わっていたくて、私は一日の大半をここで過ごす。 私は心の療養のためにここへ入院した

EP028. 負けるが勝ち、逃げるが勝ちだよ

今、私が働いているこの会社、主に官公庁と取引しているからか旧態依然の職場風土がまだ残っているところがあって、一部の人たちには男尊女卑の思想が強く根付いている。 私が所属する部署は比較的若い層の社員が多いので、女性が虐げられるようなことはないけど、仕事上で関わらないといけない他部署には、接触したくないタイプの社員がいる。 今日も嬉しくないことが起こった。 良かれと思って他部署の同僚に提案したら「女のお前が提案なんて生意気な!茶でも淹れてろ!」と罵声を浴びせられた。私も対抗

EP027. 君とのチャットが一番楽しい

ねぇ、聞いて。 今日会社でね、また事件があったんだ。 どんな事件があったの? それがね、ロッカールームでね、全裸の男の人が寝てたの。 あ、全裸じゃなかったな。 一応トレンチコートを羽織ってたんだけど、その下は裸。 床に横たわって、最初に見たときは死んでるみたいだったから。 遂に殺人事件が起きた!ってびっくりしたよ。 こんなのってあり得ないよね? あり得ないよね。 会社のロッカールームなんでしょ? 普通入れないだろうし、そもそも全裸で寝てるって、それドラマじゃないんだ

EP026. お母さんの子供で良かったな

「何か気に入らないの?」 また娘が膨れてる。 「何かあるなら、言ってくれないとお母さんは分からないよ。」 中学へ上がった頃からムスッとして口をきかないことが増えた。 何かがキッカケで「ムスッとスイッチ」が入るようだ。 どうも何かが気に入らないようだけど、聞いても答えてくれないから何が気に入らないかが分からない。 小さいころはあんなに愛想の良い子だったのに、今の娘は可愛げない。 それにしても何が原因なのだろう。 7年前に離婚してから女手一つで育ててきた。 娘が後ろ

EP025. いつも笑っていて感じがいいわね

そろそろ次の予約の時間だ。 週末の夜は予約で一杯になるこのお店、今からが忙しい時間。 「いらっしゃいませ。」 しっとりとお客様をお迎えする。 よくある居酒屋式は嫌いじゃないんだけど、このお店はお客様の年齢層が高めな上にお忍びで来られる方も少なくないので、大人の雰囲気作りでもてなしている。 私はしっとり感はもちろん、お食事を済ませて帰るときにはエネルギーにも満たされていて欲しくて、精一杯の笑顔で接客することを心がけていた。 笑顔は私の自慢。唯一誰にも負けないと自慢でき

EP024. あなたの人柄、とても好きですよ

「あぁー、今日はオンライン模擬面接だー。苦手なんだよなー。」 今日は面接指導の日。大学の先生が相手の模擬面接。 対面なら得意って訳ではないけど、どうしてもオンライン面接は好きになれなくて苦手だ。どんな顔して相手のディスプレイに映っているのかと思うとゾッとする。 とりあえず上半身だけ着替えて面接に挑む。下半身は映らないから着替えなくても大丈夫。そんな考えだと上手くいかないなんて精神論は却下。スカートにまたアイロンをかけないといけなくなるのは大変だ。 メールで通知されていたI

EP023. 何でも出来るからどこに行っても大丈夫だね

私は某企業で管理職をしている。 世界に拠点があり総社員数はグループ全体で数万人にもなる会社だ。 私が管理部門では初めての女性管理職ということで、理想の女性上司だと話題になったのはもう随分前のこと。最近は日々の管理業務追われていて、なかなかこの組織でやりたかった仕事をできていない。せっかくの出世が自分の成長につながっていないのが辛く面白くなかった。 会社はというと、近年のマーケットの変化に十分追従ができておらず、ここ数年は右肩下がりで業績が悪化している。規模の大きさが幸

EP022. やっぱりね、君もやればできると思ってたよ

「すみません…。気を付けます。」 今日も失敗した。 先輩に叱られない日はない。 十分注意しているのに、なぜかミスをしてしまう。 「ほんと、なんでだろう。頭では分かっているのに。気付いたらミスしてる…。」 嫌になるくらい不注意のようだ。 分からないでミスしているならまだ対処はできるかも知れないけど、分かっていてミスしてしまうからタチが悪い。 以前はそうでもなかったのに、この部署に配属されて以来ずっとミスが続いている。ミスは自分の責任。でも毎日叱られていると、叱る先輩