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Happy Words Story 100 Vol.01

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「あなただけの癒し」のためのHappy Words Story 100 ~私を幸せにした100の言葉~。 完全オリジナル。 「何気ない言葉が人を幸せにする。」 そんな幸せを感…
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#やさしさにふれて

EP010. 私の娘もあなたのように育って欲しいわ

「少し落ち着いた色合いでシックにデザインしてくださるかしら。母の好みなの。」 今回のお客様はとても上品な奥様。素敵なお家に住まれている。 歳の頃は40代前半といったところだろうか。 私はフリーのフローリスト。 お客様のご依頼を受けて、ブーケや生け花はもちろん、装花やお庭のデザインまで幅広く提案している。おかげさまで、なかなかプライベートの時間が持てないほど忙しくさせていただいている。 今日はお客様のご自宅にお伺いしている。お母様の退院祝いパーティーで使うテーブル装花

EP009. あなたになら息子を任せても良いわ

「やっぱりこれじゃないかも。んー、何着て行こう…」 昨日さんざん迷って着ていく服を選んでおいたはずなのに、いざ出掛ける時になると、この服で正解なのかどうかが分からなくなってまた迷い出す。大切な用事で出掛けるときなんて、それはもう迷って迷ってなかなか出掛けられない。あぁ、私の悪いクセだ。 今日は彼のお母さんとお姉さん、彼、私の4人でお食事。 一度、彼の家に招かれた時にご挨拶はさせていただいたので初対面ではない。 でも、じっくりお話するのは今日が初めて。まだ婚約はもちろ

EP008. すごいな、ずっと続けられるって

「今夜は会合で遅くなるから、お兄ちゃんと二人で食べとくんだよ。夕飯は用意してるけど、お兄ちゃんの分を温めてあげるのを忘ちゃダメだからね。」 そう言って、母はお店へと出掛けて行った。 両親は街の古い商店街で雑貨屋を営んでいる。店主たちの繋がりが強いからだろうか、最近では珍しく活気のある商店街だ。会合を口実に毎日のように集まっては呑んでばかりいるのだが、いくら活気の源だったとしても、高校生の私からするといかがなものかと疑問でしかない。 「もう、今日も部活なのに…」 部

EP007. あなたの努力は私がよく知っています

「今回は絶対に入賞できるわ!」 父がそうだったからだろう。私は子供の頃から絵を描くことが大好きだった。 物心ついたころから絵を描いていたようで、幼児期は赤いサインペンが大のお気に入り。幼稚園に通う頃には父のパステルセットを勝手に持ちだしては台無しにしていたと、実家に帰ると今でも父から聞かされる。 小中学校では、学年代表に選ばれて幾度となくコンクールに出品させてもらった。金賞をもらったこともある。私の学生時代で唯一自慢できるところだ。 でも、大人になってからはなかなか

EP006. あなたがいるからこのお店に来てるのよ

「もう!別のスタッフを呼んでちょうだい!あなたじゃだめなの!」 またあの患者さんだ。 ベテランの先輩でも手を焼く気難しい患者さん。今日の担当の先輩はこの患者さんと相性が悪くて、いつも怒鳴られている。私はまだ担当したことはないけど、できればこのままずっと担当したくないタイプの患者さんだ。 私はこの整体院で働く整体師。 自分の施術で患者さんに喜んでもらったときの充実感がたまらなくて整体師を続けている。大好きな仕事だ。 ただし、精一杯頑張っても良い仕事ができないこともある

EP005. このデザート、イイね!誰のアイデア?

「んー、どんなのが良いかなぁ…」 今度のディナーショーで出すデザートをどんなデザインにするか。 真夜中の厨房で私は頭を悩ませていた。 このホテルには昨年末からお世話になっている。 ずっとアシスタントだったけど、今回、遂にデザートを任されることになった。 私にとって、このホテルでの初めてのとっても大切な大仕事。この仕事の良し悪しが私の今後のポジションを左右する。まだ自信がなかった私は辞退したいと断ったんだけど、半ば強制的に担当させられることになった。 「今回はあの人の

EP004. 出産よく頑張ったね、お疲れさま

「…い…痛いぃ…」 こんなのとても我慢できないよ。 「これが…陣痛なの…?!」 まるで全身のエネルギーが子宮から溢れ出しているような凄まじい痛みだ。 世の中の妊婦は、みんなこんな痛みに耐えているのか? 出産の心得は病院で教えられていたからイメージはできていたつもりだったけど、実際に経験すると想像以上の痛みにどんどん不安になってくる。陣痛の間隔が短くなってきたので、たまらず病院に電話した。 「ベッドを準備しておきますので、落ち着いてご来院ください。」 急いでタク

EP003. 無理しないでちゃんと食べるのよ

「ただいまー!」 実家を出てからもう20年になる。 色々あって5年前に離婚した。一度は実家に戻っていたんだけど、ちゃんと自立しなさいという母の言葉もあり、今は実家の隣り町に住んでいる。 でも週末はできるだけ実家に寄ってから帰る。 もちろん楽だからということもあるけど、老齢を向かえた母の様子を見に行くことが目的だ。 今日も急いで仕事を終わらせて実家に帰ってきた。 最近はなかなか友だちや同僚たちと食事にも行き辛くて、実家直行が多くなった。 「お母さん、調子はどう?」

EP002. 一生懸命ってカッコいいじゃん!

「またやっちゃったな。」 仕事も恋愛もそう。最初は調子良いのに、いつも途中でうまくいかなくなる。 頑張ってるんだけど、頑張れば頑張るほど空回りしてしまう。 理由は分かってるつもり。 きっと力が入り過ぎてるんだ。バカみたいに。不器用で。 「彼女みたいにスマートに生きられたらどれだけ楽なんだろう。なんでもうまくいくんだろうな。」 彼女と言うのは、私の親友。 華やかで、気立てが良くて、しかも美人。異性からも同性からも人気がある子。 とても大切な友人なんだけど、心のどこか

EP001. 髪切ってさらに可愛くなったね

日曜の夜は寝る前に、翌朝着ていく服を準備するようにしている。 朝目覚めると、濃いめにコーヒーを淹れて、ピカールの冷凍クロワッサンをオーブンで焼く。身支度を終えたらバルコニーへ出て、眼下に広がる公園を眺めながら朝食を楽しむ。 それが私のモーニングルーティーン。 と言うのはあくまで理想。 月曜の朝はいつも寝坊してしまう。 朝食は摂らずにメイクだけなんとかしてギリギリのバスには乗れたけど、今日も漏れずに遅刻寸前。 バスを降りると全速力で走って職場に駆け込んだ。 「おはよ