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Happy Words Story 100 Vol.01

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「あなただけの癒し」のためのHappy Words Story 100 ~私を幸せにした100の言葉~。 完全オリジナル。 「何気ない言葉が人を幸せにする。」 そんな幸せを感…
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#癒し系

EP015. あなたが声をかけてくれたから友達ができた

「久しぶりだね、この公園…。」 「ねぇねぇ、覚えてる?」 彼女が何かを思い出したように聞いてきた。 「ほら、昔よく二人でこのブランコに乗ったよね。」 「そうだねー!懐かしいなぁ…。」 私たちは小学校以来の友だち。とっても仲が良い。彼女は親友で大切な人だ。 「今までずっと黙ってたけど…。実はね、あなたと会う前にとっても苦しい時期があったんだ。」 「えぇー、そうだったの?」 彼女はゆっくり頷いて、ぼそりと言った。 「あなたがいなかったら、きっと、今の私はいな

EP014. 何事にも一生懸命よね、すごい

「今日は電動ろくろを使っていきましょう!」 先生の指導が始まった。 「覚えてますかー?ポイントは土。しっかり土練りをしておきましょうねー。」 「ふむふむ、土練りが大切。忘れがちだからもう一度ノートに書いておこう。」 私が陶芸教室に通い初めてから3ヶ月ほど。 モヤモヤして何か心につかえた感じを解消したくて、無心になれると評判だったこの教室を選んだ。 今までは手びねりで作ることが多かったけど、前回から電動ろくろを使うようになった。まだ作品を完成させられてはない。でも

EP013. 女子ライダーってカッコいいよね

彼女との出会いは思いがけないものだった。 「ねぇ、それって乗るの難しいの?」 交差点で信号を待っている私に向かって彼女は聞いてきた。 彼女は歩行者。驚いたことに車道へ出てきて話しかけている。 間もなく信号が変わる。 「危ないよ!歩道に戻りな!」 「ねぇねぇ、難しいのー?」 無視しているのか気付かないのか、とにかく脇へ避けようとしない。 「分かったから、ちょっと歩道に上がってて。」 私はバイクを脇に止め、仕方なしに彼女の話を聞いてあげることにした。 「ねぇ

EP012. 無理しないでぼくを頼っていいんだよ

「ちゃんとママと一緒に100まで数えるのよ。いい?」 お風呂は息子と一緒に入る。 湯船の中で数を数えるのが私たちの日課だ。 平日の日中は仕事に出ているので、息子との時間はなかなか持てない。 それだけにお風呂の時間はとっても貴重。 今日一日の出来事とか、今度の休みにはどこに行きたいとか、何をしたいとか、そんな話をしながら息子とのコミュニケーションを楽しむ。 「あれ?また少し背が伸びたかなー?すごいねー!」 息子の成長を確認できるのもこの時間だ。 「ねぇママ。」

EP011. 小さな仕事も必ず誰かが見てくれてるよ

「スキャン終わりました!」 紙の資料を複合機でスキャンする。 仕事自体はとってもシンプル。でも簡単そうで結構疲れる。 意外に体力仕事だと言うだけではない。まだ担当し始めてそんなに日が経ってないのに、ページをめくる人差し指の指紋が擦れて消えてきた。しかも擦れた部分が痛痒くて辛い。この仕事に指サックは不可欠だ。 「次、これお願いします。」 大きなファイルが次々と出てくる。 一つ終わると、また次のファイル。これの繰り返し。 「了解です!」 カラ元気を出して受け取ると

EP010. 私の娘もあなたのように育って欲しいわ

「少し落ち着いた色合いでシックにデザインしてくださるかしら。母の好みなの。」 今回のお客様はとても上品な奥様。素敵なお家に住まれている。 歳の頃は40代前半といったところだろうか。 私はフリーのフローリスト。 お客様のご依頼を受けて、ブーケや生け花はもちろん、装花やお庭のデザインまで幅広く提案している。おかげさまで、なかなかプライベートの時間が持てないほど忙しくさせていただいている。 今日はお客様のご自宅にお伺いしている。お母様の退院祝いパーティーで使うテーブル装花

EP009. あなたになら息子を任せても良いわ

「やっぱりこれじゃないかも。んー、何着て行こう…」 昨日さんざん迷って着ていく服を選んでおいたはずなのに、いざ出掛ける時になると、この服で正解なのかどうかが分からなくなってまた迷い出す。大切な用事で出掛けるときなんて、それはもう迷って迷ってなかなか出掛けられない。あぁ、私の悪いクセだ。 今日は彼のお母さんとお姉さん、彼、私の4人でお食事。 一度、彼の家に招かれた時にご挨拶はさせていただいたので初対面ではない。 でも、じっくりお話するのは今日が初めて。まだ婚約はもちろ

EP008. すごいな、ずっと続けられるって

「今夜は会合で遅くなるから、お兄ちゃんと二人で食べとくんだよ。夕飯は用意してるけど、お兄ちゃんの分を温めてあげるのを忘ちゃダメだからね。」 そう言って、母はお店へと出掛けて行った。 両親は街の古い商店街で雑貨屋を営んでいる。店主たちの繋がりが強いからだろうか、最近では珍しく活気のある商店街だ。会合を口実に毎日のように集まっては呑んでばかりいるのだが、いくら活気の源だったとしても、高校生の私からするといかがなものかと疑問でしかない。 「もう、今日も部活なのに…」 部

EP007. あなたの努力は私がよく知っています

「今回は絶対に入賞できるわ!」 父がそうだったからだろう。私は子供の頃から絵を描くことが大好きだった。 物心ついたころから絵を描いていたようで、幼児期は赤いサインペンが大のお気に入り。幼稚園に通う頃には父のパステルセットを勝手に持ちだしては台無しにしていたと、実家に帰ると今でも父から聞かされる。 小中学校では、学年代表に選ばれて幾度となくコンクールに出品させてもらった。金賞をもらったこともある。私の学生時代で唯一自慢できるところだ。 でも、大人になってからはなかなか