宇宙生氣(イキ)を表現する表象物 ミスマルノタマに関するカムヒビキ 【直観物理と相似象 その 12】
イホツミスマルノタマに関するカムヒビキ
<ミスマルノタマ>は、アマ始元量による生命構成の要素を、11種類の「双珠(二つの球が結合した形)」に託して表現した、「生命」の表象物です。ここでは、この<ミスマルノタマ>に関するカムヒビキを、楢崎皐月氏の説明に即して解説します。(「相似象」第4号 78ページ)
「宇宙の生氣(イキ)」とは「宇宙の力が、万物を生産して来る氣」であり、天体や、天体上に生存する様々な生命質や物質(分子、原子、電子、細胞等)が発現、生成する、宇宙広域に関連した「機能」(ハタラキ)を言います。
「機能」とは、「要素の組み合わせによって構成されたモノが、発現する能力」のことです。ここにおいて発現されるモノとは、宇宙の生氣(イキ)であり、その持続(チ)が<イノチ>です。現代科学では、生命質の根源を求めて、蛋白質、核酸、遺伝子等を追い求めたあげく、究極的に物質元素(C、H、O、N、S、P等)に行きついてしまいました。確かに、現象界における、固体、液体、気体、コロイド等のさまざまな現象をカタチ造るモノは、原子、分子、細胞等の物質ですが、しかし、生命現象を発生させている「主体」は、物質そのものにあるのではありません。
カタカムナ人の観点から言うと、生命質も物質も、共通した要素量(モコロ)から構成されます。その構成のされ方により、それぞれ別のハタラキ(機能)が発生しますが、現象界の細胞や分子原子になる以前に、いくつかの変遷過程があります。そして、その最も究極の単位として、アマ始元量の微粒子(マリ)があるとしています。宇宙生氣<イキ>の<イ>というヒビキは「コマカイ物」という思念であり、それが電氣性を帯びると、イカツ(電子)となります。この<イ>の持続(チ)が生命であり<イのチ>という言葉ができました。同様に、宇宙の生氣が<イ>の氣(イキ)であり、その<イキ>の発現する様相を、モノのカタチに託して表現した表象物が、イホツのミスマルのタマなのです。
カタカムナ人は、人間の身体や、植物、物質、大地と言ったものは、みな<イ>の機構として観じていました。ですから、私達の皮膚が損傷すれば痛んで、体内の電氣状況が一時的に変化し、復元を図ろうとするのと同様に、大地も穴を掘ったりして傷をつけると、身体同様に痛み、大地の電氣分布の状況が変動し、その上に生育するものに影響を与えること、そして、やがて新しいバランスを得て、落ち着いて行く、ということを知覚していました。この事については、現代の私達は、大地電位を精密に計測することにより、証明することが出来ます。
このように、カタカムナ人が直観で捉えていたことを、後代人は直接マネすることが出来ず、統計的なチエによって、方位、風水等の易占の術として、神秘性を交えて捉えたのです。
ミスマルのタマは、ヤサカのマガタマのような単一の玉ではなく、フタヤタマ、即ち「双珠形式」で表現されています。それは、「私達の生命体をはじめ、すべてのモノが生まれるのは、万物万象の始元量の<アマ>と、更に、そのアマを生むカミ(起源)のアマヒの<カム>とのフタヤによって、宇宙の生氣(イキ)が発現する」というサトリを表象しているためです。
イホツミスマルノタマ
<イホツミスマルノタマ>に関するカムヒビキは、この宇宙生氣の発現のありさまを、11種の双珠の名を読み込み、五・七調の歌詞に綴ったものです。
<モロカゲ>とは、「モロモロのオカゲ」という意味を持ち、何気ない表現のように見えますが、その内容には、カタカムナ人の独特な直観が込められています。例として、地球上の生物は、太陽のおカゲで生命を保っていますが、カタカムナ人はよりスナホな直観によって、太陽以外にも、<モロカゲ>をサトっていました。太陽の輻射が生命質、物質をつくる素材を最も多量に生成しますが、しかし、太陽の恩恵がいかに強くとも、それだけで地上の生命が発生したり、保持され得るものではありません。また、太陽自身の生命も、モロカゲによって、宇宙生氣(イキ)が発現されたものでもあります。
宇宙空間には、太陽のようなアサヒは数多く分布し、そこから、それぞれ輻射エネルギーが放出され、それらは、アメに還元され、アメの密度波となって、宇宙空間全般に行き渡っています。また、天体からの電磁波の他に、アマのフトヒからも、アマハヤミやアメの様々な過渡物質が無限に放出されています。また、恒星に随伴する惑星や衛星からも、さまざまな輻射波が放出されています。私達の生存は、それらのモロモロのオカゲで保たれているのです。
また、モロカゲのことは<モロサチ>とも言われます。サチは「授かりの持続」即ち「幸」の意です。
<ウマシ イキ>は、「生まれる示しのイキ(宇宙生氣)」という意味です。イキは、「イの氣」という思念であって、「生命」の観念とは多少異なり、「宇宙がモノを生かしてくれる氣」のことです。物質の形成や生命質の発生が起こるのは、材料としての太陽の輻射物質が存在するのみならず、宇宙のイキ(生氣)が発現するからだ、という直観です。
カタカムナ人によれば、生命は、物質、生命質の構成要素(究極的には原子電子等)のみで発生するのではなく、アマナやフトヒの根源にある、<カム>の力と<アマ>始元量の構成するモロカゲというフタヤがあることが、繰り返し強調されています。
彼らの観じたことは、物質生命質の構成要素は、アマ始元量に基づくが、それがばらばらのマリ一個一個に留まる限り、何の力も現わさないが、それが構造化されて、何らかのマトマリを持つとき、イキ(宇宙生氣)が発現し、いろいろの力(例えば、電氣エネルギーや位置エネルギー等)を持つ、ということです。そして、構造化されて発現するイキの正体を、巨視的にはフトヒ(宇宙の遠心核)、微視的にはアマナ(原子核)として把握し、さらに、アマナやフトヒのカミを追及して、<カム>をサトったのでした。
つまり、フトヒは巨大なアマナであって、そこには巨大な求心力(向力)が発生したり、恒星(アサヒ)を生成する力が秘められていることも理解できます。それは、「原子」の原型となっているからです。
また、「Y方向とか、第三方向と言われるものは、アマカムを指向する方向」ですが、具体的には、大宇宙の遠心核「フトヒを指向する方向」のことです。ただし、フトヒは潜象の存在であるため、巨大な力を持っていても、目に見える存在ではないし、Y方向も一定とは限りません。
さて、イホツミスマルノタマに属する11種のフタヤタマとは、次のものを言います。
ホホデミタマ クシヌタマ イソニギタマ マクラハルタマ
トタテタマ ヒコネタマ クシヒコタマ ハルヒタマ
サチハヤタマ アマツナギタマ アマツシキタマ
さて次に、順次、11種のフタヤタマに関するカムヒビキの歌詞を、掲載して行きます。
11種のフタヤタマに関するカムヒビキ
ホホデミタマ、クシヌタマ、イソニギタマ
<ホホデミ>とは、いろいろのモノが、機が熟して、八方に発散する相(スガタ)を意味しています。
<クシヌ>は、星団が自由な釣り合いを示し、固定していない(ヌ)という思念で、イソニギタマの有様を形容します。
<フトヒ>も<アマヒ>も結局は同じモノですが、フトヒには核的存在の思念、アマヒには、カムを指向する思念があります。
このサトリの表すものは、「原子において、核(アマナ)から、陽子中性子その他が生成され、放出される」現象の、相似象の原型となっています。
マクラハルタマ、トタテタマ、ヒコネタマ、クシヒコタマ
<フタカミ>とは、フタヤタマの表象する、二つのカミ(起源)、即ち、アサヒとフトヒを指しています。それは、言い換えれば、アマとカムを指しているということです。
ハルヒタマ、サチハヤタマ、アマツナギタマ、アマツシキタマ
<ヤマト>は、後代には大和という漢字が宛てられましたが、本来は、ヤ(飽和安定)マ(アマ)と(統合)の思念です。
今日、これらのタマの実物を見ることはできません。カムヒビキ文献中の図(上の図を参照)によっても、それぞれのカタチが、何の意味をどのように表象するのか? 今となってはその推察は不可能だとのことです(楢崎氏による)。ミスマルの11種の双珠については、「11」で規制される物理を考えると、「8」の飽和安定のオクタントの状態から、「9、10」(コト)、即ち還元の過程を経て、新たに「11」から出発する、という、宇宙の諸々の循環系の原型を示すサトリ、及び「十進法」の意味が考えられ、彼らの計算は、当時から十進法であったことがわかるのですが、それ以上の詳細なことは、未だにわかっていません。
まとめ
ミスマルノタマに関する、カムヒビキの意味要約
「イホツのミスマルのタマは、アマ始元量が、宇宙に降下(アモリ)する様を、11種の双珠(フタヤタマ)のカタチによって表象したものである。すなわち、その11種のフタヤアマは、宇宙のすべてのモノが、宇宙の広域関連のモロモロのおカゲで、宇宙の生氣(イキ)が発現するという、アマとカムのフタヤから発生し、いずれも正反対称のカタチを持っている、ということを現わしている。
まず、大宇宙の核というべきフトヒを中心として、その外側に、モロモロの恒星が、正反の釣り合いを以て発現している様を現わしたものが、ホホデミタマであり、多くの星が自由に集っている様を、クシヌタマ、イソニギタマによって表明している。
アマヒのおカゲと、モロモロのサチの恵みによって、アマタの、太陽系のような恒星系(アマアサヒ)が、フトヒから発生し、自由に独立して、相互繁栄している様を、マクラハルタマ トタテタマ ヒコネタマ クシヒコタマが現わしている。
私達の生命は、このアマのフトヒから発する宇宙生氣(イキ)と、私達の属する太陽をはじめ、モロモロのアサヒ(恒星)の放出する勢力(モロカゲ)とのフタカミが、正反対応して、親和し、はりめぐらしているサチ(恩恵の持続)の中に保たれている。そのことを、ハルヒタマ、サチハヤタマが表象している。
アマの本来性というべきナギ(粒子性、微分性)を表すものが、アマツナギタマであり、アマに基本的に備わっている無限のチカラ(具体的には、番力向力)を表すのが、アマツシキタマである。言い換えれば、アマのナギ(粒子)のマリと、アマに基礎的に敷かれている目に見えぬチカラとの、二つの要素によって、諸天体が発生し、その相似象として、天体上の諸々の万象(イホツミスマル)が生まれるのである。
私たちの住む地球は、アマによって敷かれた豊かな恵みが、存続しているおカゲで、植物も動物も、アマの本来性を受けて、次々に分化し、繁殖しているのである。」 (「相似象」第4号 89ページによる。)
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