好きな人に会えなかった夜

暑い。やばい。

今日は本業後に好きな人の工場で働いた。
この時間に働くのは2月以来だ。
とうとう平日も好きな人に会える季節がやってきた!
うぇーい!!!
本業早く終わんないかな、待ち遠しいな。

好きな人は今日も出勤している。
また外靴で働いてるようなので、
タイムカードで確認した。
ネームが休みのところに貼りっぱなしになっていたから、
やっぱり昨日お休みだった様子。
ふむふむ。わたしの予想通り。
あとは彼のいるポジションにわたしが行くだけだ。

しかしここでわたしの天敵が現れた。


忘れもしない今年の3月9日土曜日、
せっかく好きな人がいるのに、
向かう直前でわたしを違うフロアに送った社員のクソ女。(過去記事参照
今日はあいつがタイミーを案内している。やばい。
ちょっと咳き込んでみるか。

クソ女は彼のいないフロアに送るタイミーを隣で物色している。
こいつは近くにいる人を適当に送ったりしないのだ。
絶対来んなよと両手の親指を握って去るのを待つ。
怖い怖い怖い!!!!!
わたしはここで彼のポジションに行くまでが一番ストレスだ。めちゃくちゃハラハラする。

クソ女の方を見ないように全力で顔を背けているけれど、
足音がなかなか去らない。
はよ消えろー!!!


クソ女は首ごと背けているわたしにわざわざ声をかけてきて、
彼のいないフロアに行けと言った。


…終わった。
今日はハズレだ。
せっかく彼いるのに。最悪。帰る。
3000円いらないから帰る。

でもわたしは33歳の大人なので言われた通りに働いた。(そりゃそうだ)
今ならこのクソ女を呪い殺せそうだ。
こいつの一言でわたしと彼は簡単に引き離されてしまう。
消したい。許せない。

しかも送られた場所はめちゃくちゃ暑く、
ここでまず2時間働くってマジ?
死にそうなんだけど。
洗って乾かしたばかりの、
まだ熱気の全く冷めないタオルや浴衣を仕分ける。
クソ暑い。地獄かな。
一昨日彼の近くで働いたときは冷風機の風が寒いくらいだったのに。

こんな仕事をするくらいなら、
いつもの運送会社で、
おじさん達と知ってる女の子とみんなでタイヤを運んでる方がずっとずっと楽しい!!!


やっぱりあっち優先でいいや。
こっちは当たりハズレが大きすぎる。
ここはタイミーの人達もあまり感じが良くない。

遅くまで残業しているここの人達は、
途中で15分休憩がある。
18時に休憩がある時点で、
かなりやべえ会社だと思うけれど、
ここは去年もそうだった。
好きな人が休憩室に向かわないかなと一瞬期待したけれど、
彼は15分休憩は自分のフロアで取るみたいで、
わざわざ休憩室には行かない。
今日もやっぱり通らなかった。
今日は本当に絶望だ。完全な無駄足だ。死亡。

わたしは作業中、
この前聞いたさだまさしの「無縁坂」が頭の中で延々と流れていた。

「運がいいとか、悪いとか…」


今日は本当に運が悪かった。最悪だ。
泣くなわたし。
また来ればいいじゃないか。

しかしあのクソ女は、
わたしと同じフロアで働いている。
こいつはわざわざ休憩室のテーブルを端まで周ってタイミーを一人一人物色し、
たぶん見たことのある人を選んでいた。
一昨日一緒に作業した、
ここでよく見る感じの悪いおばさんも選ばれていた。
だからわたしもこいつにおそらく覚えられているのだ。
こいつの脳内からわたしを消してしまいたい。

しかし裏を返せば、
わたしはこいつの作業中、
近くに置いてもいい信用できるタイミーだと思われているのかもしれない。
どうせ頼みやすい顔だしさ、八方美人だしさ。

本当に、わたしの八方美人が効かないのは好きな人だけだよ!!!


せっかく来てもどうせ会えないんじゃ、
わたしがどんなに美人でもどうしようもない。
こういうの本当に嫌だな。
努力のしようがないのは嫌だな。
頑張ったら好きな人に見てもらいたいじゃん!!!
でもわたしはそのチャンスすらもらえないのだ。
泣くなわたし。(2回目)

移動した先も暑くて、
倒れないかハラハラしながら作業した。
しかしわたしはたぶん隣のタイミーの人よりもスムーズに作業ができている。
だいっきらいなポジションなのに、
妙に器用貧乏な自分に心底嫌気が差した。


本当は、
こんなところでこんな仕事してないで、
本業を頑張ればいいんだろうな。


本業で使う新しい機械のパスワードがわからなくて、
今朝所長にチャットしたら、
所長はわざわざ個人的にメールだけでなく、
電話までして説明してくれた。
新しい作業は嫌だけど、
社員の女の子が細かくチェックして見てくれる。
わたしは恵まれているのだ。
こんなところできちんとした指示もくれないパートのおばちゃんと無理して働く必要なんてないのだ。

恋愛だってそうだ。
職場の幸せな家庭を持つ女達の話をきちんと聞いて、
そこから学べばいいのだ。
彼女達は、
絶対に自分に興味を持たないたいしたことのない男を全力で追いかけているわたしと違って、
常に好きな人に愛されている女達なのだから。
そういう人達と積極的に関わって学ぶべきなのだ。
そうしたらわたしもきっと、
あんなわたしに1ミリも興味のない年下の工場勤務の男になんか振り回されることはないんだろう。

わたしは本業の職場でタイミーをやっているとは言っていない。
実は本業後も休日もバイトしまくっていて、
バイト帰りに1人でお祭りに寄ってチョコバナナを食べたりしているなんて、
もし彼女達に言ったら普通にドン引きされるだろう。
彼女達はわたしとは違って、
経済的に支えてくれて、
お祭りに一緒に行ってくれるような男が常にいる女達なのだから。
だからわたしは職場でそんなことは口が裂けても言えない。
大人しいふりをしているのはなかなか窮屈だ。
いつもの運送会社のおじさん達なら全然言えるのにな。


わたしはあえて茨の道を行っているんだろうなと思う。
仕事でも、恋愛でも。


なんか昔からそうなのだ。
同じ大学を卒業してもわたしだけ就職が決まらなかったり、
普通の仕事ができなくて派遣添乗員になったり、
いつも絶対にわたしを好きにならない男を全力で追いかけてしまう。
わたしはたぶん普通に働いたり、
自分を愛してくれる男を嗅ぎ分けたりできないのだ。
普通の女が普通にできることができない。

学生時代もずっとそうだった。
周りが普通にできることがわたしにはできないのだ。

だからわたしはまた懲りずに週末も彼の工場に行くのだろう。
月曜日お休みだったってことは、
たぶん金土日のどこかで彼の休みにあたる気がする。
それでもわたしは行くんだろう。
わたしにはそれしかできないから。

終わらない人間ガチャを彼に会えるまで引き続ける。


わたしは体当たりしかできない。
去年の夏もこうだった。
彼に冷める日は一体いつ来るのだろうか。