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KPTを使わずにふりかえりをしてみた
メンバーが担当したプロセス改善がひと段落したので、ふりかえりを実施しました。いつもと違うやり方にしたのですが、思いの外うまくいったのでまとめてみようと思います。
はじめに
ふりかえりではKPTを多く利用してきました。Keep(続けること)、Problem(解決すべき課題)、Try(次に取り組むこと)を参加者全員であげていくものですね。フレームが決まっていますし、経験者も多く学習コストが少ないというのもメリットの一つです。
一方で、案件進行中にKeep・Problemを記録をしていないと記憶が薄れてしまい上辺だけのものになることが多い印象があります。またKeepが「誰かに対する感謝」、Problemが「自分の反省」、そしてTryが曖昧になることが多く、本質的な会話につながりにくいという課題を感じていました。個人的には、そこでの学びが組織に還元されないというのも解決したいポイントでした。
それではスタート
担当したプロセス改善が正しいものだったかがわかるのはもう少し先なので、直近でトラブルが起きていないことから「できている」と仮定して、ふりかえりの目的を「次に同じようなことに取り組むときに備えて、最適なフローを構築する」としました。
ふりかえりの手順は以下の通りです。
どんなステップがあったかを時系列であげる
なぜそのステップが必要だったかを会話する
違和感を発散する
結論を出す
結論をチームに共有する
それではひとつずつ見ていきましょう。
1. どんなステップがあったかを時系列であげる
「いつ、誰が、誰に、何をした」というフォーマットでまとめていきます。粒度が細かいと議論も細かくなってしまい、目的にある「最適なフロー」の汎用性が薄れてしまうので、細かくなりすぎないよう注意します。もしすごく細かいものがあがってきた場合は、「全体のフローについて」と「細部について」と2回に分けるのもありかもしれません。
このステップはふりかえりを実施する前にメンバーにまとめておいてもらうと、次のステップ以降の議論に時間を費やせて有意義になります。
2. なぜそのステップが必要だったかを会話する
「なんで必要だったんだっけ?」という純粋な質問を繰り返します。案件進行中は正当性があったものでも、結論が出ている状態から遡ると不要だったり、異なるアプローチが良さそうという新しい視点が出てくることもあります。
ここで注意するのは、上司・部下 / 先輩・後輩という関係性だと、それなりに圧迫感のある質問になるということです。心理的安全性を確保した上で進行しましょう。
3. 違和感を発散する
ここでも「これって効果あったっけ?」「これってこうしていたらどうなってただろうね」という質問をしながら会話をします。2の「なぜそのステップが必要だったかを会話する」でも自然とこの話題になりますので、2・3は同時進行になることもあるでしょう。
これも担当者が否定されていると感じる可能性がありますので、細心の注意を払って進行しましょう。
4. 結論を出す
これまでの会話でも「こうすればよかったかもね」というものがいくつか出てきます。それを収束させて言語化するようなイメージです。
ちなみに本件だと「フロー改善」よりも「フロー改善をするための体制構築と役割分担に時間をかけるべき」という結論がでました。
実は案件進行中にこの課題は見えていました。致命的ではなかったので軌道修正はしていませんが、今回のふりかえりでこの結論は出てほしいと思っていました。もしかしたら私のファシリテーションでバイアスがかかっていたかもしれませんが、メンバー自ら語りはじめてくれたときは、心の中でガッツポーズをしていました。
5. 結論をチームに共有する
共有をするときによく伝えているのは「共有することが目的ではなく、伝えたことを理解し、行動してもらうことが目的ですよ」ということです。これを伝え続けると、何をどう共有すべきかを考え、どう伝わったかまでこだわってくれます。
今回は社内で利用している情報共有ツール上に蓄積し、全員が集まるMTGで説明しながら伝えることに加え、各メンバーの活動においてアドバイスをしていくということになりました。
さいごに
私たちの組織では、大小様々な改善を実施しています。ついついやってしまうのが「こういう状況だからこれやろう」みたいな条件反射的な対処です。その場面では正解であるものの、その事象を俯瞰できていないので、ほころびが出てくることがあります。
そこからの脱却として、今回のふりかえりはとても有意義なものになりました。どうしてもやりたかったことをやらせてもらえる機会を作ってくれたメンバーに感謝しつつ、本件のフロー改善や他メンバーへの浸透がうまくいくことを見守っていきたいと思います。
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