愚行録１
出会い
諸事情あって生きることに必要性を失っていた
何の目的もなく最低限の生きる糧を得るだけの惰性だった
周囲の人間とは馴染むフリは出来ていたが、互いにどうでもいいモノだった
そんな空虚だった2017/12/31
たまたま正月休みというものが存在していたが
わざわざ何かをする理由は何もなかった
なのでyoutubeで動画漁りで戦争の話とか物騒なモノを見てた
関連動画でその時外国のFursuitの開封動画が流れてきた
たったそれだけのトリガーで世界は変わってしまった
メシアを見た
なんだこれは
Furry/kemonoというジャンルはあるのは知っていた
しかし着ぐるみというのは当時のイメージでは遊園地のお下がりみたいな
臭そうなおっさんが入っているという古い世代のモノしか知らなかった
だが動画にあるのは造形が凄く美しい新世代を感じた
特撮なども最低限見ていたが、そういうとはまた違う新しい概念だった
とりあえず検索し概念をみたところ、どうやらオリジナルキャラクターを
自前で考えて、それを形にするという基本ルールらしいとのこと
版権はヤバイですからね
２件ほど日本語の自作してみよう系blogを発見し
写真だけで概ね構造を把握
材料も予想通りで、構造も理解出来た
財布の中の現金で足りたので行動開始は2018/1/2初売りで全材料調達
こういうものはやる気が減少するとやれなくなるので即断即決
賭け金3万を自分に張る博打
前提知識として持っていたのは、ガンダム等のプラモデルを作れるという事
仕事でちょっと樹脂弄れます程度
それも塗装ブースを自作・合わせ目消し・表面処理・パテ埋め・全塗装・デカール貼りまでの最低限の領域までの経験
次のレベルはフルスクラッチするかという段階
しかしそこまでやったとて、一般レベルではいくら手間暇かけたとて見向きもされない陳腐な趣味
しかし調べるという行為は単語を拾っていけばすぐ出てきた
役に立たない経験が役立ちそうと直感で思えたのが行動原理
最初はお裁縫も小学生以来で、試しにタオルを雑巾の形に縫ってみたが
ガタガタすぎて論外の出来
しかし調べたらだいたいなんでも出てくるありがたい時代なので
初回制作はお手本のblogが良かったのも含め1か月で完成した
手本に倣い高速で完成させるというのが、最短最速で経験値を得れた
模倣のオリジン
Fursuitはどうやらオリジナルで考えたキャラを用いるのが作法らしい
しかしそんな創造力は持ち合わせてない、必要とせず来てしまった
何も思いつかないまま材料はとりあえず揃えてしまった
オリジナルなんて知らねえよ…自分を表す記号として何か無いかな？
サービス終了した青春時代やっていたMMOのメインキャラ装備
アウトラインはだいたいこれでいいや
マイナー過ぎて誰も知らんから大丈夫やろ
これで行こうの見切り発進で十分だった
終わらせる決意
頭と手が出来てしまった
ここで１次予算と材料を使い切ってしまった
誰に見せる為に作った訳でもない
イベントなどモニターの先の自分には関係ない話
付けてみてスマホの自撮りを見てみる
なんと半端モノか見苦しい、半端に人の身体が出ている
これでは使い物にならない
せめて最後の工程まで進めようと２次予算追加
モチベ・希望・願望…そんなものは無いが、自分自身に対する挑戦
出来はしょうもないのはわかっている
だがこれで終わったら何も得られないの一心でおよそ２畳程度の作業空間で
出来てしまった、形に成ってしまった
そして何も持たない者が何かを持ってしまった
所属不明の未確認機
自分に対する作業監視ログとして、サボり防止の為にtwitterに制作過程を投稿していた
スタート時点で横のつながりは一切なし
ただ面白そうな人をフォローしてたらフォローバックされたり
コメントが付いたりで面白かった
完成間近の工程をしていたある日
圧倒的格上の先駆者からお話しようと直接DM投げられて超ビビッた
Fursuitを実際に作って凄い美しい出来でイベントの写真が流れてくる
マジでモニタの向こうのフィクションと繋がってしまった
「せっかく作ったんだからイベントへ行け、君の地元らへんでやっとる」
そう言われて確かに５月に隣県でイベントがあったので登録
しかしイベント参加登録で着ぐるみの名前を出してくれとの項目を見た
「え？コレに名前？そんなもん要んの？」
「試作１号機とか着ぐるみさん太郎とか…」
「まぁ一人でここまでやってきたしで…」
「SOLO」
全くの未知の領域・どんな人種がいるのかもわからない未知との遭遇
開催日前日の夜に周囲のエリアに入って行動計画を練りこむビビり方
事前情報無しでイベントに突っ込んだがやけに視線を感じる
何か新しい異物を見るような視線を感じただけは覚えている
後日イベント関係者にお話を伺う事が出来た
未所属未確認機が来た
事前にどういう人物か調べたが横の繋がりも無く誰も知らない
今どきフルスーツをそういう繋がりもなく作って来るのはおかしい
その時初めて面白いとおもった
そしてその日からおかしくなっていった
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