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2024/07/19 洗車いらず

朝起きて荷物を車に積み込んで上椎葉のガソリンスタンドでレギュラーガソリンを満タンに入れてもらう。
店員さんから、満タンですね?と念押しされた。
椎葉は秘境だけあって、輸送コストがかかり、外から持って来るものは値段が高いことが多い。
だからみんなガソリンは金額指定で頼むのかもしれない。
セルフ式ガソリンスタンドというものは村にはない。
ガソリンを入れる間、窓を拭いてもらえる。
椎葉に来てほとんど洗車をしなくなったので、ガソリンは少々高いかもしれない(レシート見てない)が店員さんに窓を拭いてもらって、むしろ得した気分になる。

もう通り慣れた松尾、諸塚を抜けて日向に至る道中で東郷のコメリに寄る。
必要なものをたくさん買い、買い物袋を持ってレジに並んだ。
レジで袋が不要なことを告げると、店員さんが丁寧に大きめの水切りトレーにすべての物品を乗せてくれた。
おかげで袋を使わずにトレーを両手で持って、買い込んだ物を車に乗せることができた。

車を買った大野城のスズキの営業さんが引き継いでくれた日向のスズキのお店で、オイル交換と点検をしてもらう。
ついでに洗車もしてくれて、ここでもとても得した気分になった。
丁寧に応対してくれた営業さんは、ご両親が椎葉の方で、その話から勝手に仲良くなったのでオススメのチキン南蛮屋を数軒教えてもらった。

日向から延岡に向かう途中、思い立って遠見半島という小さな半島をぐるりと車で走ってみる。
椎葉かと見紛うほど狭い山道を通る間、真昼間の木漏れ日が美しく、鬱蒼と道を囲む木々の向こうに時々緑青色の海が目の端にうつる。
今朝通ってきたダム湖沿いの道と景色が重なる。
椎葉に来て、木漏れ日に飽きることがない。
いつ同じ道を走っても美しさに見惚れてしまうし、ずっと車を走らせていたい気持ちになる。

半島をぐるっと走って、特攻艇「震洋」の格納壕跡という場所を目指して、たどり着いた。
小さな半島の小さな湾の道沿いに三つの横穴が開いている。
入口には「震洋」の写真や、隊員、地区古老の話などを交えて解説した看板が立っている。
穴は思っていたより大きく奥まで続いていて、中は闇に沈んでうかがい知れない。
道を挟んで向かいに私の車と同じ、エブリィワゴンがエンジンをかけたまま停まっていた。
私が欲しかった紫色の車体。

延岡から高千穂、熊本経由で実家に帰り着き、テーブルに置かれていた西日本新聞を取ると一面に震洋の記事があって驚いた。

船の先に爆薬を積んで敵艦に体当たりする。(中略)
6千艇ほどが製造され、約2500人が命をおとしたとされるが、命中率はわずか1割とも。「太平洋を震撼させる」という意味でその名が付いたが、米軍からは「自殺ボート」と呼ばれた。

その一面にも人間魚雷震洋の写真があった。
ベニヤ板で作られたボートのような舟。

新聞の最後のページに「脳活新聞 文字の間違い探し」というコーナーがあった。
たくさんの牛の字の中に一つだけ午の字があり、ボールペンで丸が付けてあった。

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