4.裏話

昨今、裏話氾濫時代を迎えている。
裏話は、その作品や、人物や、事柄を理解する一助になることは違いないが、最近はもはや表話より先に、裏話だ。
裏話から、その人の存在を知るみたいなことも少なくない。

バンドをやってるとよく聞かれる質問一位は「最近ハマってるものを教えてください」だけど、「~の裏話を教えてください」ってのは二位くらいにランクインすると思う。
裏話、裏話、どこでも話してない裏話あったっけな。
いつも少し慌てながら、程よい裏話を用意して話す。
本当の裏話は、大概の場合話せない話だ。

何故こんなにも裏を求めるのかって、誰もが「表の世界」を信じにくくなってることに一因があると思う。
「表なんか嘘っぱちだろ、早く裏を聞かせろよ」
そんな欲求が蔓延している。
「こんな人だと見せてたけど、実はこうだった」
「一見なんともないことだけど、裏にはこんな努力が」
毎日嫌になる程、目にする構文だ。

「裏話」が語られた瞬間、「表話」になるとするならば、
話せば話すほど、「裏」は脅かされ、「表の世界」に向けて飛び立っていくんだろうか。

そんなことはないと思う。
どんなに酔っ払って語り尽くしても、毎日のように執拗な取材を受けても、
裏側は減ることがない。
むしろ、それだけで増殖を続ける。
月の裏側を絶対に見ることができないように、人の裏側を知り尽くすことはできない。

裏なんかあるに越したことない。
一人で考えてること、誰にも喋ってないこと。
それが、たまにボロっと出てこようとする瞬間が面白い。

現在、発売中のMUSICA10月号で、インタビューを受けています。
ポリープの休止から、今に至るまで、沢山の裏話をしてるんで、是非。

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