見出し画像

金継ぎはトラウマケアによく似ている。

割れや欠けを無かったことにするのではなく、歴史の一部にする。

昨日今日は金継ぎをした。
金継ぎはそこにかける時間と手間の選択肢が多い。
割れや欠けの状態を確認し、その状態に合わせて、漆に混ぜる小麦粉と木粉、炭粉を決める。欠けには木粉、炭粉を多めにしてパテ盛りできるようにする。修理者の目的と経験が必要。
割れる前より丈夫に強度を求めるなら、斜交いとなる金属を埋める(もはや金継ぎを超える)。

予算に合わせて、金箔、銀箔も使うが、予算がない時は金色の塗料。

今回は、金色塗料ゆえ、食品衛生上、食器には使えない。これで器の将来が限定される。

そこにどれだけの心構えと取り組む姿勢があるかで結果が変わる。

金継ぎはトラウマケアによく似ている。

用途を為さない割れの発見、確認。
廃棄か、補修か。
修理に使える道具、素材を確認する。
落ち着いて修理に取り組める環境を整える。

また、金継ぎは「勿体ない」を活かす日本の文化。「勿体ない」の「勿」という字は、もともと「物」の略字で、物の本質を「無し」と否定するから「もったいない」。
「ものの体(てい)を否定してるよ!」
といった言葉。
刑務所の食器をモッソウと言うが、勿皿と書くことがある。

昔、父に借りた車を傷つけて返したことを思い出した。
父は、「新車なのに」と落ち込んでいたが、
私は「既に中古車」と返した。

私の車は引越しやゴミ捨てにも使う。
車を観賞用とするなら、傷つくことが勿体ないのだろう。
私は実用。使わないことは勿体ない。私は車は傷つくものだと思っている。傷がつけば補修する。

「糞掃衣(ふんぞうえ)みたいなもの」と伝えるが、だいたい通じないので、
「うんこを掃除した衣類」と伝える。
これを聞いた人はさらに混乱する。
糞掃衣は、「人の捨てたモノを拾って活かす」という仏道の考えからくるもの。
勿体ないことをしないのです。

昨日、母が「45歳で独身になった」と口にした。
父が自死したことをそう表現したように思えた。
私も父の歳に近づいてきた。
今日は父の墓参りに行ってきます。

あと、この動画、オススメだから見るがよい。
アートはPTSDの見えない傷を癒せる

Art can heal PTSD's invisible wounds

メリッサ・ウォーカー

Melissa Walker

https://digitalcast.jp/v/25213/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?