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病気の事 Vol.5

残酷な診断結果のミーティングがあった事は前回書いた。

多分リハビリが始まった日の事は生涯忘れないだろう。

ボクの担当になった若い理学療法士の先生が病室まで来てくれた。
まずは体を丹念にマッサージした。

その後、電動ベッドを起こして、検査用のハンマーで
体中のあちこちをたたいては資料に何かを書いていた。
ほぼ全身をそうやって調べてくれて、その後の発言にビックリした。

「神経の反射がほとんど残ってます。という事は神経ネットワーク自体は死んでいない。
時間はかかるかもしれないけど、だから歩けるようになりますよ。」

その後、ボクを車椅子に乗せて、病棟の一番はじの窓のところまで連れて行ってくれた。
小さな窓から公園が見えた。
夏休みだからたくさんの子供たちが遊んでいる。

土をもって作った小さな築山が見える。
その公園は全体が芝生でおおわれている。
築山は大人気で、段ボールをおしりに敷いて滑っている子供たちが多かった。

理学療法士の先生が語りだした。
「僕、この光景が好きなんです。
あなたもあの築山を走れるまで治せるかは自信ないけど
歩けるようにはできますから。
ただ辛いと思います。
リハビリを受けている人はみんな頑張っているんです。
だから頑張ってとは言いません。
あと一歩の勇気が必要なのです。だから勇気をもってというんです。」

病室に戻ると、たくさんの看護士が来ていた。
多分責任者と思もわれる看護師が
「1週間24時間の点滴を開始します。
経過観察はこまめにお願いします。」

左腕のひじの裏側に最初の点滴の針がうたれた。

ここから本格的な治療が始まるのだが、それはまたあとで。

ではまた。

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