ねこぶとん そのに
夜、パジャマに着替えを終えた男の子は、お父さんとお母さんにおやすみを言ったあと、自分の部屋のドアを開けました。
手さぐりで電気をつけると、
「こんばんにょ。もうおやすみかにょ?」
みおぼえのある、大きな白猫が、うれしそうな様子で、部屋の真ん中にたたずんでいました。
そのとなりには、これまた大きな白い鳥がいました。
男の子は、「本当に来たんだ」とおどろきました。もしかしたら、あれは夢だったのかな、という気がしていたのです。
「うん、もう寝る。でも、おつり、忘れないでね」
猫は、しばらく首をかしげて考えているようでしたが、なにかに思い至ったらしく、
「にょっ!!」
と声をあげました。
「おぼえてますともにょ。おつり、そう、おつり。さあ、早くおくれにょ」
すこしてれくさそうに言いながら、いそいそと片手を差し出しました。
男の子は、もらうのはぼくのはずなのに、困ったなあと思いました。
その顔を見て、大きな鳥が、細長いくちばしを猫の耳元に寄せて、なにかをささやきました。
「にゃに? ワタシがわたす方だったのかにょ。……ああ、そうにょ、そうにょ。ちょっとカンチガイしただけにょ。ええと、300万円から、30円を引くと……」
猫は、両手のツメをだして、「ひぃ、ふぅ、みぃ、にょ……」と数えだしました。
でも、だんだんと声が小さくなって、「いつ、むー……むー、むー、やー、にょ……にょ……」とつぶやいてから、ツメをひっこめました。
「あしたにするにょ。子どもはもう、おねむの時間ですにょ。はやく寝ない子は、あらあらしいイノシシにけられるにょ」
そう言うと、ベッドの上に、ごろんとねころがりました。
「ワタシのおなかの上にのるにょ。すてきな眠りをお届けですにょ」
(続く?)
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