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秘伝料理の「継ぎ足し」について大学生が思うこと

中国の伝統の豚まんの店は、発酵した生地 に100年前から新しい生地を継ぎ足しては使い、継ぎ足しては使いを繰り返しているということを確か漫画「中華一番!」で読んだ気がする。
生地は発酵食品だから、パンの酵母を育てるのと同じ理屈で長く発酵させればさせるほど生地がふんわりし、旨みが増すというのは理解できる。100年も前からある酵母菌は豚まんにものすごい旨みや香り、柔らかさを与えるのだろう。
テレビで今話題の唐揚げ屋さんが紹介されていたとき、その店では「継ぎ足し油」を使っていると言っていた。鶏肉を揚げると旨みが油に溶け出すので、次揚げる肉がさらに美味しくなるという理屈らしい。
私の率直な感想を述べると、ずっと同じ油を使うのは非常に体に悪いと思った。油は酸化する。うちは食品衛生に厳しい方だから、買ってきた夕飯の揚げ物を次の日に回したことがない。油は酸化していないかを確認するのが当たり前だと思っていた。ネギ油やニンニクオイルも食品から油に香りなどが染み出す点で似ているが、一品作るときにフライパンに使う少量の油を対象にした話ではないのか。
親が昔働いていたカフェでは、カレーを継ぎ足ししていたらしい。カレーは一晩寝かせると美味しいというのは昔の知識で、衛生上今はカレーを常温で保管して置くのは危険だと言われている。食中毒になる可能性があり、下痢や嘔吐につながる。一度カレーにウェルシュ菌という菌が繁殖してしまったら加熱しても消えないらしい。保管するなら冷蔵庫の中だ。そのカフェがカレーをどこに置いていたか、ずっと保温にしていたかは知らないが、発酵でもないし旨みが染み出すような大きな具材も入ってないし、なんのために継ぎ足しているのか理解できない。鍋の洗い物を減らすためだけだったら本当にやめた方がいい。
秘伝のタレも継ぎ足ししているとよく聞く。こちらは腐らないのか調べてみると、熱々の食べ物を漬けるので毎回タレがうまいことに低温殺菌されて衛生は保たれているらしい。ほかには、タレは塩分と糖分が多いので腐りにくい、継ぎ足しのおかげで古いタレはもう残っていないといった情報があり、むしろ同じタレを使い続けている店はきちんと管理ができているといえそうだ。
同じ「継ぎ足し」であっても、物によって継ぎ足しの効果を理解できるものとできないものがある。ほかの例では、おでんの汁、ぬか漬け。私の基準でいうと、おでんの汁は水を使っているし糖分も塩分も多くないからアウトで、ぬか漬けは発酵食品だから全然ありだと思う。この不思議を誰かに共有したかったというお話だ。
継ぎ足しの可否について調べてみると、糖分と塩分の濃度が高く濃いことと、店がよく回転していて継ぎ足しの頻度が高いことの2つの条件が揃っていれば可能らしい。つまり人気店だから美味しい継ぎ足しのタレが提供できるわけで、また美味しいから人気店になるのだろう。最高のサイクルだ。
最後に、出店のような小さな唐揚げ屋さんに一度行ってみたいと思っていたが、やっぱりちょっとやめとこうと思う。

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