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絵本「カラーオブキャラメル」無料公開ページ

-ごあいさつ-

初めまして、絵本作家・イラストレーターの“いわたかい”と申します。

僕の作品が、あなたや、あなたの大切な人の人生を、より豊かにできるのではないかと思い、このページを作りました。

私はこの絵本を

子ども向けとか、親向けとかではなく
一人の人間に届ける

そんな思いで描きましたので、もしかすると、文章は容赦なく盛り込んであると感じるかもしれません。

ただ、この絵本を通して、
“親”としてあなたが感じたこと
あるいは
“一人の人間”としてあなたが感じたこと
を、じっくり味わってもらえたら

日頃忘れてしまいがちな自分と向き合う時間、心温まる、少し前を向けるような時間を届けられると思います。

そしてそれは、私自身、作家としてこれほど嬉しいことはありません。


本気で投げかけます。本気で受け取ってもらえたら、心から嬉しく思います。
よろしくお願いします。


いわたかい


-本編-

カラーオブキャラメル
作 いわた かい


「あなただからできることが、
きっとあるはずよ」


二人の冒険家、タロベル青年とパレット爺がこの島を発見して、もう何十年もたつけれど
島の奥の奥深くでは、まだまだ森がおいしげり、動物たちがあっちやこっちや。
生き物たちの楽園です。
-
カメレオンの住む森の学校では、周りと同じ色になるように教えられます。
葉っぱの上なら葉っぱの色に、木の上なら木の色になるように、教えられるのです。
色を変えるのに得意不得意はあっても、そうして自分の身を守っているのです。
-
カメレオンの青年、キャラメルは、カメレオンなのに体の色はまっかっか。
おまけに、色を変えることができないのです。
日が昇り、また今日もカメレオンたちの一日が、始まります。
キャラメルの通う学校では、今日もカメレオンたちが体の色を変えて遊んでいます。
「やい、俺の方が変わったぜ」
「いや、わたしの方が」
-
そんな中、キャラメルは今日も色を変えられません。
「お前はいっつも、まっかっかだな」
「へたっぴだなあ」
毎日浴びせられる、心無い言葉。
キャラメルは、自分の体が嫌いでした。
むかし、キャラメルの住む山で火事がありました。
大きな大きな炎の中、キャラメルは、山一番の巨大樹が倒れていくのを、炎と同じ赤に体を染めて、ただ立ち尽くして見ていました。
いつも遊んでいた巨大樹でした。
思い出の詰まった巨大樹でした。
その日のショックから、キャラメルの体が赤色から戻ることはなくなってしまいました。
倒れた巨大樹は、キャラメルの住む町ととなり町をつなぐ道をふさいでしまうほどの大きさでした。
ある日、キャラメルのクラスは“シロノキの森”に遠足に行きました。
ここの木は、木の枝がどれもまっしろ。普段と違う色になる練習をするのにもってこいです。
「おいキャラメル、今日もお前は赤いまんまだな」
「俺らみたいに白くなれよ」
大きな体のボルボと、ひょろながのジョーが言います。
今日も、全く色を変えられないのはキャラメルだけ。白い森の中、まっかっかなキャラメルだけが目立っています。
キャラメルは、みんなの輪をはなれ、ひとりになりました。
「僕もみんなと同じがいいよ……なんでこんなに目立つ、赤色なんだ。みんなと友達になりたいのに……」
もう一度力をふりしぼります。それでもずーっとまっかっか。
「あなたはいいわね、まっかっかで」
後ろからした声は、となり町から通う女の子の、クレハの声でした。
となり町から学校へは、巨大樹が倒れて、たいへんな回り道をしないといけません。
猛獣たちの住む森を抜け、大きな川を渡ってやっとたどり着くのです。まだ小さいカメレオンにとっては、命がけです。
そんなクレハを、キャラメルは気の強そうな子だと思っていました。
-
「どこがいいんだい。まっかっかなんだぞ?からかってるのか」
キャラメルは少し腹が立ちました。
「からかってなんかないわ。ステキな赤色じゃない。その体を『いいな』と思ったことないの?もったいないわ」
キャラメルには、どういうことかさっぱりわかりませんでした。
クレハは、キャラメルのとなりにひょいと座り、続けます。
「あなたはまっかっかなその体のおかげで有名なのよ。たくさんの友達を作るには、たくさんの子に知られるのが一番簡単じゃない」

キャラメルはハッとしました。この体の“おかげで”なんて、考えたこともなかったからです。確かに、キャラメルに全く友達がいないわけではありません。
「アタシなんてあなたの逆。自分で思っていなくても、勝手に体の色が変わっちゃうの」
クレハは、他の誰よりもキレイな白色をしていました。
「昨日なんて、そのせいで先生がアタシに気付かなくって、『クレハは休みか?』だって。ひどいと思わない?」
「それはひどいね」
二人はハハハ、と笑いました。
それから二人はたくさん話をしました。 
今日は、カメレオンたちのかくれんぼ大会。
“ウジャウジャの森”に集まるカメレオンたち。もうかくれる練習をしているカメレオンもいます。
それでもやっぱり、キャラメルはかくれるのが苦手。森の中に、赤いものはありません。
「やいキャラメル、どうせお前はすぐ見つかるんだろうな」
ジョーがいつもの調子で言います。
その言葉の通り、何回やってもキャラメルはすぐに見つかってしまいました。
「お前がいると、うちのチームがすぐ負けるじゃないか!」
「あっちのチームへ行けよ!」
キャラメルはまた、ひとりぼっちになりました。


ひとりで涙を流していると、クレハがやってきました。
「あなただからできることが、きっとあるはずよ」
クレハがはげまします。
「もういいよ!君の色はかんたんに変わるんだろう?僕の気持ちなんてわかりっこないんだよ!」
キャラメルは声をあらげていいました。
「あっちへいっててよ……」
クレハは、そっとその場を離れました。
それからしばらく、ふたりが会うことはなくなりました。
ある雨の日のこと。キャラメルが学校へ行くと、
そこには、体じゅう傷だらけで弱ったクレハがいました。
「どうしたんだい!?その体……」
「今日学校へ来る途中、川の洪水に巻き込まれて、岩にひどくぶつかっちゃったの……」
確かに、今日はいつもより川の水は増え、流れも速くなっていました。
いつも気の強いクレハが悲しい目をしているのを見て、
キャラメルは心がしめつけられるような気持ちになりました。

クレハは、入院することになりました。
キャラメルは、なんとかクレハを勇気づけたいと思いました。
思い返すと、クレハは、初めてキャラメルを認めてくれた存在でした。

「クレハのために何かできないだろうか。でも、自分の色さえ変えられない僕にできることなんて……」
キャラメルはひとり、“シロノキの森”にいました。クレハと初めて話した場所です。
「あなただからできることが、きっとあるはずよ」
クレハの言葉がふと、頭に浮かびました。
「そうか」
キャラメルは、急いでクレハのもとへ走りました。
「僕だからできることがわかったよ、クレハ。君のためにできることがあったんだ」
キャラメルは、これからクレハのためにしようとしていることを、いっしょうけんめいに話しました。
「やっぱりあなたはステキね。病室からだけど、応援するわ」
「待っててね、クレハ」
そう言い残すと、キャラメルは学校へと走り出しました。
キャラメルは、運動場にみんなを集めて言いました。
「あの巨大樹を、もう一度立てよう!」
すると、
「何言ってんだよ!まっかっか!」
「できるわけないだろ!」
心ない声がたくさんとんできます。
しかしキャラメルは、クレハの言葉を信じていました。
(多くの子はバカにしてくる。けれども、知ってくれている子がたくさんいるんだから、わかってくれる子もたくさんいるはず。 たとえ、バカにする子の方が多かったとしても)
キャラメルは、確かに見たのです。静かにうなずいてくれる仲間がいるのを。
「今日の夜、となり町の道をふさぐあの巨大樹のもとへ集まってほしい」
そう言い残し、キャラメルは去っていきました。
日が落ちた頃、巨大樹の周りには、数え切れないほどたくさんの仲間が集まっていました。
「…よし。やろう!」
そういってみんなで幹や枝にツルをくくりつけ、巨大樹を立ち上がらせる準備にとりかかりました。
「みんな、思いっきり引っ張るよ!せーのっ!」
カメレオンたちは、力いっぱい引っ張ります。
-
それはそれは大きな樹。ちょっとやそっとでは、起き上がりません。
それでも、諦めずに声を掛け合います。
もう日が昇り始めた頃、キャラメルたちは、全員で心を合わせて、めいっぱいの力を込めて引っ張りました。
次の日の夜、キャラメルは退院したクレハとふたりで、シロノキの森にいました。
「アタシ、あなたのおかげで元気になれたわ。ありがとうね」
「ありがとうなんて言われたら、照れるよ」
キャラメルは、心がドキドキしていました。
「キレイな星空ね」
「う、うん」
「まだ照れてるの?」
クレハは笑いました。
「いや、そ、そんなんじゃない」
キャラメルは、心のドキドキが止まりません。
「なによもう」
するとキャラメルは、クレハの手を握り、こう言いました。
「僕の方こそ、本当にありがとう」

握られた手から、クレハの体は赤くなっていきます。
「そういう不器用なところも、ちょっぴりステキね」
「て、照れるじゃないか」
キャラメルが頬を赤らめたことは、クレハにはわかりませんでした。
-おしまい-

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-この絵本で伝えたい想い-

最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。


「あなただからできること」に目を向けて、自分の生き方を正解にしていこう。

これがこの絵本で伝えたいことです。

これからの子どもたちは「選択肢」が多い世界を生き抜いていくことになります。

例えば、SNSや動画サイトの普及で、他人のキラキラした生き方を知ることができます。

さらにテクノロジーの進む未来、考えられない量の情報の荒波を生きていかねばいけなくなります。
私の世代でさえ、その情報量を痛感するからこそ、伝えたいです。


ただ、情報が増え、生き方の選択肢が増えることは幸せなことである一方

それゆえに、他人のコンテンツに触れることに時間を費やしてしまい
「自分の生き方」を見つめる時間を
つい忘れてしまいやすくなるのだと感じます。

ボーッとして、キラキラした情報に呑まれてしまい
周りに比べて劣っている自分をただ悔み、妬んだり、自分がしていることを不安がったり。


じつは僕自身も、
志望校に受からず、地方の大学に一人で入学しました。
また、みんながサークルの飲み会をしている時に一人で部屋に篭って、ペンをカリカリ動かす日々でした。

そんな時、SNSを覗くとキラキラな同級生やインフルエンサー。

「志望校に受かってたら」

「絵なんか描いてていいのかな」

そう思うことは容易かったです。


けれど、
そんな不幸なことはないと思うんです。
それよりもっと、

「この大学だからできることがきっとある」

「絵を描くことでできることがきっとある」

そう思うことで
情報の荒波の中で、キチンと自分に向き合い、選べなかった環境や自分で選んだ道が、
「ここで正解だったんだ!」
と言い切れるように行動を変えていく。

そうすることでしか、これからの時代の幸せは掴めない。そう強く思います。

だから、
あなたやあなたの大切な人が、
生き方を正解にして幸せな人生を送れることを願い、自分に立ち返る場所として
この作品を描きました。


最後に紹介になりますが
私いわたかいは、「自分の生き方を正解に」をモットーに活動を展開しています。

絵本づくりワークショップ
野外イベントの展示
似顔絵作成

手がけるプロジェクトは、
絵本・個展・イベント....
全てInstagram・Facebookにて発信しています。クリエイターの血汗をぜひ、フォローして応援してくださると嬉しいです。

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