童貞
2019年8月に書いた文章で、恥ずかしくなったらまた未公開にします。
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地球の約半分の人はかつて童貞であり、今もそうかもしれない。
そして童貞では無くなってしまった今でも、染みつき習得した童貞が童貞であるがゆえに、童貞でないと童貞である自分に言い聞かせた声が鳴り響いているのかもしれない。
まるで横から優しく触れてしまうだけで折れてしまいそうな鋭さを持ちながら、それをどこにも突き立てる事のなかった者たちは今はどこかで祝福されているだろうか。
童貞の思考に終わりはない。何故なら自らの肉体はひどく自らだけのものであり、それゆえ誰のものでもなく、自らの声も届かない。相手のいないキャッチボールのように、球は放り投げられたら転がり続ける。相手がいるべき場所に誰もいないと気づかないふりをしているうちに、自分を騙せるようになる。それは誰もいないと気づいてしまったら狂ってしまうからである。
潔癖で、曖昧を良しとせず、混ざり合う事に不快感を感じる。すべては裏返しである。手に入れられないものは手に入れたくないものだと言い聞かせる。
やがて暮らしていくために、理性がいうことを聞くようになり、感情を忘れてしまう。そのほうが楽だからである。自分の頭をちぎって食べさせれば、とりあえずどこかにはいられるからだ。
そうして生きている男を尊敬するし、軽蔑もする。お互いは表裏一体で、呼んでない友達の友達みたいにいつもついてくる。
薄く透き通って、今にも折れてしまいそうな刃が、あなたのたくましく膨らみ薄く濁っているそれから見えるだろうか。
この話はフィクションで、あったとしたらそれは困る話だ。
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