Stripe運用の6年間でこんなことがありました

これはJP_Stripes Advent Calendar 2022の11日目のエントリーになります。

普段はBtoBのSaaSのプロダクトマネージャーをしている岩崎(@neeton_iwasaki)と申します。Stripeをプロダクトに組み込んだのは2016年の12月なので使いはじめて6年ほどになります。

Stripeを長いこと運用をしていると、カード決済の失敗や不審請求の対応、日本の法律改正に合わせた対応などが必要になってきます。

6年間でこんなことがありました、というのを振り返ってみたいと思います。

Stirpeを使っているプロダクト

今回紹介するのは国内向けBtoB SaaSにおけるStripeの利用になります。サブスクビジネスでStripe Billingを使っています。

ケース1:カード決済の失敗

カードの有効期限切れや利用金額の上限により、カード決済に失敗するケースがあります。これについては顧客に連絡を取り、カードの更新をしていただくなどして対応しています。

カード会社による支払いブロック

カード会社のセキュリティによって支払いがブロックするケースが増えた時期があります。Stripe的にはカードが拒否コード do_not_honor で拒否されたケースになります。

この場合にはStripeからもSaaSサービス提供者側からも解除ができません。

顧客からカード会社に「この取引は不審なものではない」ということを支払い金額、日時、および会社名とともに伝えていただく必要があります。
私たちは「いつ、この金額の決済に失敗しましたよ」ということを顧客に伝えることで、顧客からカード会社に連絡していただくアクションをとりやすくしています。

またカード会社によるブロックを減らすため、Stripeのドキュメントに従い住所の登録を推奨しています。

不正行為に対するカード発行会社の疑いに対応するのは簡単ではありませんが、決済時に顧客にセキュリティコードと郵便番号を入力してもらうことで、現在の支払い拒否の数を大幅に減らすことができます。請求先住所など、他のデータを収集することによって変化が生じるかどうかは、カードのブランドや国によって異なります。しかし、予想よりも多くの支払い拒否が発生している場合は、このような追加データを収集することを検討してください。

https://stripe.com/docs/declines

ケース2:不審請求

BtoBの場合、顧客と連絡がとれるケースが多いので不審請求が起こることはめったにありません。しかしごくまれに不審請求が発生します。顧客と連絡がついて、返金対応で合意できれば不審請求を取り下げていただくよう調整することもできます。

不審請求の申請が多すぎる場合にはビジネスを継続する上でのリスクが高まります。堅実なビジネスをしていれば大丈夫だとは思います。。。

また不審請求の申請の手数料が請求されるため、不審請求が出された場合には適切に対処していくことが大事です。

不審請求の申請に対して異議を申し立てる場合、注意点としては以下があります。

  • 異議を申し立てることができる期限が決まっている

  • 異議申し立ての審査には時間がかかる

  • 異議申し立てに2回目はない

異議申し立ては1回のみのため、顧客とのやり取りや契約内容、利用規約など反証資料をしっかりと準備する必要があります。

ケース3:改正特定商取引法の対応

今年の6月に施行された改正特定商取引法ではオンライン注文時に商取引に関する特定の情報を表示することが新たに義務付けられるようになりました。
消費者庁が出している「通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」に沿った表示にしておく必要があります。

これはStripe Checkoutを使っておくことでカバーすることができます。Stripeに任せておくことで、それほど手間をかけることなく対応できるのはありがたいですね。

ケース4:インボイス制度の対応

これは来年の話、2023年10月1日から実施される制度です。現在のStripeの対応状況としてはこのようになっています。

Stripe では、2023年春頃を目処に、Stripe Billing、Stripe Invoicing においてインボイス制度に対応予定です。Stripe の各プロダクト内で、インボイス制度に対応した記載事項の変更、請求書の発行や管理などが完結できるようになります。

https://support.stripe.com/questions/planning-for-the-introduction-of-the-qualified-invoice-system

請求書に記載が必要になる項目がいくつかあり、それらを含めた対応が春頃に実施されるようです。

適格請求書等発行事業者登録番号の対応

「T」(ローマ字)+ 番号(数字13桁)で構成される「適格請求書等発行事業者登録番号(通称:登録番号)」の登録にはすでに対応しており、Stripeのダッシュボードから登録することができます。

Customer Portalからも買い手側の納税者番号を登録できるようですが、請求書のどこにどのように反映されるかはまだ確認していません。

まとめ

Stripeを導入した当初は決済まわりは一度作ってしまえばあとはほとんど手を入れなくて済む、と考えていましたが、ここ2,3年で法律の改正も多く発生するようになってきています。

法律への対応も自分たちだけで対応するとなると、当初の開発スケジュールを組み替えて対応しなければなりませんが、Stripeに任せることで自分たちのビジネスに集中することができます。


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