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【短編】コスモス摘みは趣味じゃない

自分とは違う性別の生き物の写真を左右に動かして、取り憑かれたように定例文を打っている。この喪失感や孤独感は誰かでは埋まらないよって犬と散歩中の通りすがりの爺さんでさえ忠告してくるのは何なのよ。

毎朝のおはようとか、今日の疲れ具合とか。
風邪ひくたびに知っててほしいし、マツエクが抜け落ちてくのを数えていて欲しかった。

一つひとつを見ればなんてことないそれらも知らぬ間に積み重なっていたのは紛れもない事実で、次の日の公園で見かけた後ろ姿に「ああ元気で良かったな。」といちばんに思えた自分がちゃんとそこにいたことをちゃんと足の裏で感じてちゃんと愛されていたことちゃんと今わかった。こちらはまだ朝の星座占いを見る癖は治せそうにないけどね。

コスモスが風に揺れる。
コスモス積みは趣味じゃない君は風に揺れて消えちゃった。
こないだの雨がほんとうの秋を連れてきちゃったみたい。連れてきちゃったみたいだからつられて泣けてきちゃったみたい。

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