見出し画像

魔人 2 松果体


眼を閉じて
膝の上で手を組み
5本の指を合わせて

「魔人殿!」

と呼びかけると
目の前に大きな目と身体を持った魔人が目の内側に現れる

そのように魔人との約束事ができていた。

初めてのレッスン

魔神に聞いた

「何でも叶える術」
と言うよりも世にいう魔人たちが持っている
術そのものの成り立ちを要求している
それで良いですか?

「その様に了承している」

では最初に
私たち人間と魔人の大きな違いは何処にあるのですか?

そのような事を聞かれたことはないし、答えるはずもなかったが答えよう。

我々魔人と
言われる者たちは総じて
人間を騙すのが仕事なのだが、術そのものになると騙す事は出来まい。
正直に話そう。

待ってくれ
騙すと言うのは
どう言う意味なのか?

本質的な事から正直に 打ち明けよう
人間の持っている能力から目を逸らす事が騙すと言う事だ。

少し複雑だ
脳の中に松果体があるのを知っていると思うが

その能力が我々が使っている能力の全てと言っても良いぐらいなのだが

その機能から意識を逸らさせることで
人間は容易に全てにおいて騙される状態になる。

どういう事か
もう少しわかりやすく頼みます。

少しずつ見えてくると思うが
人間と魔人の違いはここを理解するのが一番の早道だろう。

普通
幸せや幸運、富、身体を治す知識や得な情報を教えて!と

求めてくるが

それが簡単に得られると
何が失われるか

それは
「自分の能力そのものを失う」

それは例えるとこのようだ。

人間が見える眼があるのに
それを知らない

我々は更に使わないように
我々がそっと無意識から囁くと
それを当てにして更に眼を閉じる。

時には成功を収めるが
時々真っ赤な嘘、時には少しだけ真実を教える。

それで
人間大層に喜ぶ。

人間は我々から観ると
おもちゃのようなもので
そんなこととは知らず
何でも信じるアホなのさ。

では
私にも行くゆく騙そうと思ってるな。

そのつもりだったが
あなた様は違うようだ。

神様が
あの者は
不届きものではあるが
あっぱれな者だ。
あの者は本質を求めている。
自分の方が騙されないように気をつけろ。

そのように言われている。

それは
当たっているかも知れない

魔人を女神に変えてやろうと思っているのだから。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?