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節約お鍋パーティーの手引(前編)

「節制したい」、「栄養のある食事を摂りたい」、
「それでもってお腹を十分に満たしたい」、
これらの欲求は日本人たるもの全員が常日頃から抱える普遍的な欲求であり、これらを同時に満たしてくれるモノへの需要が古今東西を見てみても変わらず高いことに異を唱える者は1人として居ないだろう。

「何故かって?」

「そうやって異を唱える者はね、」

「「私が一人残らず始末してきたからだよ!」」
(襲いかかってくるモーション)
(BGMが変わり、戦闘に突入)

(殴打する音)
(殴打する音)
(倒れる音)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて、異を唱える者を始末した所で本題に入るが、日本人全員が抱え、その充足を切望するこれら3つの欲求を同時に満たすモノがある。
それは「お鍋」である。

本日は、上記で挙げた①節約、②栄養、③満腹の3点に着目した、節約お鍋パーティー開催の手引きを自論ながら展開させて頂こうと思う。1人残らず参考になるので幸いである。あぁ、冥利に尽きることこの上ない。


手引き⑴

「鶏むね肉と白菜をメインに据える」

節約、栄養、満腹の解決項目全てにクリティカルにアプローチする、節約お鍋パーティー攻略の骨格たる最重要ポイントである。
まず、鶏むね肉と白菜の両者は共に、高い栄養価を誇る。野菜に含まれる栄養やそれらを接種することの利点は多くの人が既に知っていることであるため、買ってきた白菜は一旦まな板の外に置いとくとしよう。ここで俎上に載せるのは鶏むね肉の栄養面での優れたバランスである。この鶏むね肉はお手本のような「高たんぱく・低脂質」の食材である。アミノ酸スコアはほぼ100であり、加えて脂質についても100g辺りに含まれるのは約2gと、ほぼ無いと言っても差し支えない。お肉を食べる際に気になる脂質の面を完全にクリアしつつ、タンパク質についても余すことなく摂取することができるという訳だ。鶏むね肉と白菜をとりあえずぶっ込むことで私達のお鍋は、低脂質を維持しつつ、多くのたんぱく質、食物繊維、ビタミンの摂取をもたらす完璧な料理となるのである。
そしてこれらの鶏むね肉と白菜、とにかく安価である。スーパーのお肉コーナーを見渡してみても、その安さたるや他のお肉と比べても一目瞭然だ。
これらの食材は安価であるので、当然多くの量を購入することができる。満腹も約束されたという訳だ。
3人で囲む鍋であれば、鶏むね肉は2パック、白菜は1/4あれば十分であろう。
どうであろうか、鶏むね肉と白菜を上手に活用することは、節約お鍋パーティー攻略の始まりの第1歩であり、なおかつその全てとも言える、力士にとっての四股のような存在なのである。(ちゃんこだけに)

節約お鍋パーティーにおける鶏むね肉と白菜の重要度が十分に伝わりきったところで、ここからはこの鶏むね肉と白菜について、円滑に節約お鍋パーティー(以下、当該お鍋パーティーと記述する。)(文字数が削減できてないところと語感が面白いポイント(解説までに(面白かったかな?)))を遂行していく上での障害となりうる重大な懸念点について、その対応策も併せて挙げておきたいと思う。

懸念点:鶏むね肉がパサパサして美味しくない
「高たんぱく・低脂質・それでもって安価。」栄養・費用(・吉田羊)の面で見ると非の打ち所がないスーパーフードである鶏むね肉の唯一の欠点をあえて挙げるとするならば、それはその食感にあるだろう。(吉田羊??)確かに、単純に熱を通しただけの鶏むね肉は食感がパサパサとしており、多量に食べるとなると顎にしても味覚的な飽きにしても少ししんどいところがあるのも頷ける。(吉田羊???)「肉が鶏むね肉だけならば行かない」などと言い始めるグルメな友人も出てくるかもしれない。「それならば来るな」声高に言って、下処理で削いだ鶏むね肉の皮をぶん回して威嚇することをもってして追い払いたいところであるものの、そこで冷静になって思い出さなければならないのは、この鍋パーティーの最たる目的の1つは節約。割り勘における1人頭の価値は計りしれず、そのような気難しいお友達にも去ってもらう訳にはいかないのである。歯を食いしばりながら振り回していた皮を降ろし、臭くなった手で膝を抱え、頭を抱えながら当該お鍋パーティーを開催の方向に持っていく算段を練らなければならないのである。
また、当該お鍋パーティーの節約価値は1回こっきりでは無く、継続的に行うことから得られるものが大きい。2回目、3回目と当該お鍋パーティーを継続して行っていくためにも、メイン食材たる鶏むね肉は美味しくあって貰わなければならない。
そういった訳で、この「鶏むね肉のパサパサとした食感」は当該お鍋パーティーを円滑に実行する上で目を背けることの出来ない最重要課題なのである。

解決策(1) 鶏むね肉を叩く
最もおすすめしたいのがこの方法である。スーパーでお鍋の食材を買ったあとは是非100円ショップのキッチンコーナーに立ち寄ってみて欲しい。肉たたきでボコボコに叩いた鶏むね肉はもはや鶏むね肉ではない。叩いた後、十分に煮込んだ鶏むね肉は、しみた出汁の味も加わって、角煮のようなホロホロとした食感の美味な食材へと生まれ変わるのである。
私は昨年、鶏むね肉を叩きすぎてまな板を割った経験がある。(来年、就活のガクチカで使う予定)

解決策(2) 俗物で惹き寄せる
叩いて煮込んだところで晴れて美味しくなった鶏むね肉であるが、それでも鶏むね肉が敬遠されて、当該お鍋パーティーを開催するに足りるだけの人数が集まらないかもしれない。
鶏むね肉を取り囲む(鶏だけに)社会の風当たりは依然として厳しいものがある。
鶏むね肉と聞いただけでとりあえず(鶏だけに)否定から入ることに飽き足らず、鶏むね肉と聞いただけで表情が一変し、石を投げつけてくるような人間がこの令和の時代にも居るというのが悲しいことだが現状だ。しかし、つべこべ言ってはいられない。一番大切なのは節約。そのような旧態依然とした人間であっても当該お鍋パーティーには絶対に参加してもらわなければならないのだ。
どうしても鶏むね肉が嫌だというのであれば仕方がない。お鍋パーティーが開催出来なければ元も子もないので、こちらもある程度の譲歩が必要である。こちらが明け渡すのは我らがお鍋が誇っていた優れた栄養面、その中でも「低脂質」の面である。肉を鶏むね肉から豚バラ肉に変えようではないか。
そして彼らに語りかける。
「白菜と豚肉のミルフィーユ鍋しないかい?^^」
適切な処理を施せば本当は美味しい鶏むね肉を敬遠する人間は大体「カタカナのなんか美味しそうなもの」に弱い。
数年前はタピオカとか並んで飲んでたし、多分ティックトックとかめちゃめちゃ見てる。和食は5年は食べていない。味噌汁に入ったお麩を忌み嫌い、コーンポタージュに入ったクルトンをこよなく愛している。
そんな彼らにミルフィーユ鍋という餌を垂らして釣りあげてしまおうという訳だ。結果は言うまでもない、入れ食いである。
幸いなことに豚バラ肉も比較的安価である。余分に摂取してしまった脂質に関しては仕方がない。明日15分だけ長く走ることにしよう。だがしかし、これで節約お鍋パーティーの開催は守られた。ミルフィーユ鍋のカードまでを切ったならば、ほとんどの人間が喜び勇んで当該お鍋パーティーに参加してくれることであろう。

他にも「品目が少ない」という不満が噴出するかもしれない。そういう時にやってはならないことは、「これは節約お鍋パーティーと言っただろう。お前は何も分かっていない」と相手を頭ごなしに否定することだ。一度そうしてしまうと次回の当該お鍋パーティーの開催は遠のいてしまうだろう。そういう時は相手を否定するのではなく、「確かに、君の言うとおりだね。白菜だけじゃ寂しいし、もう1種類野菜を増やそうか。教えてくれてありがとう。」と伝え、もやし(40円)を一袋鷲掴みにして買い物カゴに放り込み、鼻歌でも歌いながらご機嫌な様子でレジへ向かって行けば良い。その際相手の目は見ない。


手引き⑵

「食の細い友達を2人だけ呼ぶ」

当該お鍋パーティーの実行に差し当たって、我々は2つの割り算に直面する。
それは「かかる費用の割り算」と「食べる量の割り算」である。
前提を再度確認しよう。
私達は今、できる限り安いお金でできる限り多くの食事にありつきたい。
つまり、前者の商はより小さく、後者の商はより大きい方が望ましい。更に、これら2つの割り算の「わる数」は人数であり、等しいことも確認しておこう。そう!このジレンマである。費用を安く抑えようと人数を増やすとあまり食べられず満腹になれない。沢山食べようと人数を減らしていくと今度は費用が嵩む。私達は当該お鍋パーティーへの参加人数を巧みに調整することを通して自身の節約・満腹の両方の面を最大限満たしてあげなければならないのである。
私達は果たしてお鍋パーティーに何人の人間を呼べば良いのだろうか?
安楽死くらい難しい問題であるが、「3人。だと思う。」というのが私の回答である。
これはスーパーに出向いた際の購入できる食材の最小単位を考えることによって私が感覚的に導き出した答えである。
最小単位について確認しておこう。私達は購入する食事の量を連続的にかつ自由に選択することは出来ない。白菜で言えば最小単位は1/4個、鶏むね肉であれば最小単位は1パックである。1/8個や1.4パックが最適な量であったとしてもそれを購入することは出来ないのだ。そしてその単位を1単位増やすごとに当然かかる費用はジャンプする。白菜に関してはその最小単位の細かさと元の値の安さも相まって、白菜を1単位増やすことによって全体の出費が被る影響はさして大きなものではない。問題はお肉である。このお肉、1パックあたりの価格が数百円と、節約界隈からすると1食分にも相当する価格を誇る。従って、このお肉のパックの数がボトルネックである。「◯人来るならもう1パック増やそうか」となるその直前!「このパック数でもそこそこ十分に食べれるよね」となる人数こそが価格がジャンプする直前で費用の増加を抑えることが出来ている、最適に限りなく近づいた人数選択であると私は考えた。
そして回答に戻るが、私にとってのその答えが、
「3人でお肉2パック。だと思う。」という訳だ。
だって4人だと2パックは足りないって言って3パック買っちゃうんだもん。(肩をすくめながら)

当該お鍋パーティーを遂行する上で最適な人数が3人であるということが判明した。しかし、ここで賢い人は(本当に賢い人はここまで読みませんけどね。この時間でゲーテとか読めばよかったのに。)「それならば3の倍数の開催人数ならば、食材も都度倍にしていけば良く、6人や9人も最適な人数と言えるのでは」と思うのではないだろうか。
それに対する回答としては、「やはり最適な人数は3人であり、6人や9人では理想的なお鍋パーティーとは言えない」ということだけ言っておこうと思う。これに関しては後の項で触れるのでここでは深くは立ち入らないようにしたいと思う。

さて、人数も決まったところで参加者を募っていきたいところであるが、ここでダメ押しでもう1つ。
見出しにも書いた通り、食の細い友達を誘っていこう。
理由は言うまでもなく、こちらが同じ費用で食べれる量がより増えるからである。
相手もお腹いっぱい食べているのだから別に道徳的に悪だ、不義理だということも無いだろう。
もし良心の呵責があるのであれば、精算の際、10の位以下の端数の金額を出してあげると良い。(太っ腹!)
誘う際、誰が食の細い者か分からなかったら、お洒落な友人を誘うと良いだろう。
オシャレな人は大体飯を多く食わない。
いかがだろうか。
この段階であなたが、お洒落で痩せた、肌の白い友人2人と楽しく鍋を囲みながら、友人達は白菜を食べる中、あなただけがガツガツと肉に手を出している情景が浮かぶようになっていれば上出来である。節約お鍋パーティーマスターへの道は近い。

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