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「耳コピー」について④ 銀座のラウンジピアニストが本気で解説

「耳コピー」についての解説ブログ、今回は第4話目です。結論まで一気に持っていきますので、よろしくお願いします!

【前回のポイント】

大人になってからでも耳コピーは身に着くのか?

私の答えはYES! ただし、幾つか外せないポイントがあり、特に重要なのは次の5つのキーワード。

①必要最低限レベルの音感

②自分にとって丁度良いレベルの曲選定

③中級程度の音楽理論

④音楽的予測力

⑤音楽の構造把握力

このうち、①、②については前回記事で取り上げましたので、今回は③以降についてお話していこうと思います。

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③中級レベルの音楽理論

(≒ ④音楽的予測力 & ⑤音楽の構造把握力)

これは「耳コピー」をする習得する上ではMUSTではなく、高度な耳コピー能力を持つ人が必ずしも音楽理論に精通しているとは限りません。

しかし、断言しましょう!

中級レベルの生きた音楽理論が備わっていれば、音楽的予測力と、音楽の構造把握力が高まり、耳コピーの精度も飛躍的に向上するという事を!!

これは私の実体験に基づく考察です。

なぜ、中級なのか? 初級じゃダメなのか?

これについてお話しましょう。

音楽理論の初歩にして音楽の基礎、すなわち「音程」についてのトレーニングを一通り積めば、耳コピーにおける基本的な分析能力は身に着きます。

「音程」とは、2音間の音の距離(Interval)のこと。

2つの音が、時間差でつながれば(楽譜表記ではヨコのつながり)、それは抑揚となり「メロディー」の元になります。

2つの音が、同じ時間の中で重なれば(楽譜表記ではタテのつながり)、それ和音の響きとなり「ハーモニー」の元になります。

初歩の音程力、すなわち音同士のヨコのつながり、タテの重なりを聴き取る力があれば、複雑で速い曲でも、最新機器を使ってスロー再生したり、イコライザで特定部分の音を強調することで、地道に一つひとつの音を拾っていくことはできます。

しかし!

そんなまだるっこしい事をしていては、曲全体の音を拾い、それらを整理・統合して、一つの楽曲としてピアノ再現する所まで持っていくのに、とてつもない時間がかかってしまいます。

音楽をカタマリや構造として、スムーズにスピーディーに把握する力があれば耳コピーはとてもラクにできるようになり、それを可能にするのが「中級レベルの音楽理論」である、というのが私の持論です。

と、ここまで一気に語ってみましたが、実は私が音楽理論の真価を認識できたのは講師になった後の話です。

私は今でこそ理論のレッスンを多く手掛けており、講師仲間の中でも理論に詳しい人のポジションにいますが、実は10年前の理論知識レベルは中級アマチュア以下でした。(当時はコードすらロクに読めないんですから、コード理論なんて知るわけありません (ー_ー)!! )

私が音楽講師に転身したのは2013年~。演奏と面接のみで講師に採用された後、妻に「そんな知識レベルじゃ講師なんか務まらないわよ!」と叱咤され、必要に迫られて集中勉強したのが理論学習のスタートでした。

なんで、それまで理論の勉強をしなかったかと言えば、理由は2つ。

1)幼少の頃から耳コピーをしまくった結果、初級理論は学ばなくても感覚的に獲得済み(ただし自分の中で一切の言語化プロセスを経ていないので、人に説明はできない)。

2)ゆえに、理論書を読んでも最初の方は当たり前過ぎて退屈。後ろの方を読むと小難しそうな専門用語が並んでいて意味はわからないが、譜例をみても面白いと思えず、その価値を軽んじていた。

理由は2つと言いながらも、どちらもコインの裏表のような感じですね。

そんな人間が、仕事上の必要に駆られて理論を勉強する事になるのですが、「理論を音楽を理解するためのツールとして捉える楽典的アプローチ」ではなく、「理論をカッコいい音楽を生み出すための道具として捉える、ポピュラー・ジャズ的なアプローチ」として学べた事が、最初の一歩として非常に良かったと思っています。

これまで通算50冊以上の理論書・教本を読んできましたが、その最初の一歩としてすごく役だったのがこの本。

松田昌の音楽トレーニング

■松田昌の音楽トレーニング

実は松田先生がヤマハで行なっている鍵盤ハーモニカのグループレッスンをアマチュア時代に受けた事があり、音楽的な解説が面白くとても分かり易かったので、この人の本ならちゃんと読めそうだ、と思ったのが本書をセレクトした理由です。

私が考える「中級レベルの音楽理論」は、ズバリこの本を基準に考えています。この本の内容をしっかりマスターすれば、ポピュラーやジャズ音楽の典型的なパターンが身に着くので、先の音のアタリをつける音楽的予測能力聴いた曲を記憶に留めやすくするための音楽の構造把握力、この両方のスキルが磨かれて、耳コピーの力は必然的に向上します。

「松田昌の音楽トレーニング」、この本はオススメで、今までも多くの生徒さんに紹介してきました。

この本を読んだ後のステップとしてのオススメはこちら。

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■マーク・レヴィン著 『ザ・ジャズ・セオリー』

素晴らしい名著です。扱う題材がジャズに寄っていますが、わかりやすい流れで書かれているので、譜例を弾きながらしっかり読み込めば、中上級の理論・スキルが身に着くことでしょう。

ただし、こちら468ページの分厚いインパクトに、見た目で戦意喪失する方も多数(笑)

そんな時には、これらの本から重要なエッセンスを抽出し、ラウンジピアノの現場で役立つ実戦的なスキルと併せて動画で解説した、江古田Music Schoolのオリジナルeラーニング講座"Jazz Essence - for Lounge Pianist"もオススメですよ。

60本の動画で構成され、コードの基礎から専門学校レベルの内容まで体系的・網羅的に扱っています。動画1本あたりの時間は平均18分なので、マイペースで無理なく学べるのでオススメです。(軽く宣伝です (*^.^*)エヘッ)

「耳コピー」についても55~57講の3本で実戦的な話をしています。なぜ60本の最後に近い所で講義しているかと言えば、このシリーズを第1話から読んで頂いた方は察しがつくでしょう。

「耳コピー」のレベルは自分が認識・対応できるパターンによって規定されるので、第1講~第55講までしっかり学んで、様々な理論・スキルのパターンを身に着けた後でないと、「どんな曲でも、パッと聴いて、スラスラ弾ける」耳コピー力は身に着ける事ができないからです。

最後は宣伝みたいな形になりましたが、ここまで本気で色々書いたので大目に見てください(笑)。

4話にわたって、「耳コピー」をテーマに、ラウンジピアニストの見地から色々とお話させて頂きました。読んでくださった方々にとって何らかの参考になる部分があれば嬉しく思います。

また音楽に関するテーマで、色々な記事を書いていこうと思います。

それでは皆さま、また次回シリーズでお会いしましょう。



eラーニング+リアルレッスンで効率よく学べる音楽スクール

江古田Music School

代表  岩倉 康浩

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