見出し画像

「耳コピー」について③ 銀座のラウンジピアニストが本気で解説

「耳コピー」についての解説ブログ、今回は第3話目です。

【前回のポイント】

音楽と言語は、どちらも基本構造の「パターン」がある点で似ている。

どちらも習得のためには、「パターン」を知り、「使い倒す」事が有効。

理屈を頭で理解した上で、身体・感覚にも染み込ませる事で、実戦的な力が培われる。

・・・・・・・・・・・

今回は、これを踏まえて具体的な方法論まで踏み込んで行こうと思います。

実は「耳コピー」は聴いた曲を片っ端からピアノで再現しまくる、という愚直なアプローチでも身に着ける事ができ、私自身がその典型的なサンプルです。幼少の頃から遊び感覚で、耳にした色々な曲をピアノで真似ているうちに、色々な音楽構造のパターンを感覚的に覚えてしまったという話です。

この方法は、大人に対しても有効と言えるのでしょうか?

私の答えはこうです。

YES! ただし、必要最低限レベルの音感が備わっている事が前提で、それなりに試行回数を重ねてもらう事も欠かせない。ただ単に数をこなせば良いという話ではなく、大事なポイントが幾つかある。

まずは自分にとって丁度良いレベルの曲選定をする事。そして、中級程度の音楽理論を学ぶことを強く勧めたい。これにより、音楽的予測力、音楽の構造把握力が高まり、学習効率は飛躍的に向上する。」

重要なワードについては太字にしておきました。

①必要最低限レベルの音感

②自分にとって丁度良いレベルの曲選定

③中級程度の音楽理論

④音楽的予測力

⑤音楽の構造把握力

これらについて、順番に補足していきます。

①必要最低限レベルの音感

具体的にはスピッツの「空も飛べるはず」について、メロディーがドレミで分かりハーモニーがコードで分かり(コードの知識がなくても「ド・ミ・ソ」とか「ファ・ラ・レ」のように構成音が認識できればOK)、リズムが把握できる(4分の4拍子だと分かっていて、一拍目を手で叩いて特定できる)程度のレベルを想定しています。

(「いや、ワタシ音楽の経験全くないんですけど・・・ それでも耳コピーはできるようになりますか?」という方については、「ずっしーのピアノ教室」という本を紹介しておきます。

画像1

この本の内容をしっかり実行すれば、上記の「必要最低限レベルの音感」は身に着けられるでしょう。講師の立場からも、正しい内容が分かりやすく書かれた良書としてオススメします。)


②自分にとって丁度良いレベルの曲選定


適切な難易度の練習メニュー設定、これは何事においても重要なポイントです。

画像2

簡単すぎるメニューは時間のムダとまでは言わなくても学習効果を考えれば非効率。かと言って難しすぎるメニューを選んだ所で身になりません。

上の図には3つの同心円、中心から①コンフォートゾーン(Comfort zone) ②ラーニングゾーン(Learing zone) ③パニックゾーン(Panic zone)が書かれていますが、自分にとってのラーニングゾーンをしっかり見極めるのが大事なポイントです。

先の「必要最低限レベルの音感」の基準として「空も飛べるはず」をあげましたが、これはハ長調で、殆どダイアトニックコードで構成されているから音が聴き取りやすいと言えます。

ここから先はご自身のレベルに合わせ課題曲を選定してもらえればと思いますが、以下のポイントは押さえておいた方が良いでしょう。

1)1曲まるごと鼻歌で歌える曲(頭の中でイメージできるもの)

2)8割方はメロディーもコードも当たりがつくけど、ちょっと難しい部分もある曲

3)市販の楽譜やネット上のメロディー譜が入手可能(答え合わせの手段がある)

とりあえず私が大事だと思うポイントのみを挙げましたが、逆に言えば、この条件から外れる曲は課題としては不適切です。

1)、2)のポイントは、馴染みがある曲で、構造のイメージもなんとなくできる事です。そのような状態であると思ったら、ピアノに向かい、実際に音を出しながら色々試していってください。

マインドセットとして大切なのは、最初から完璧を目指さない事!

絵画に例えれば、初めはラフスケッチで構いません。そこまで正確でなくても構わないので、一応その曲だと認識できるぐらいの感じでメロディーをとり、それに何となくこうかなと思えるハーモニーをつけて弾いてみます。このラフスケッチの目的は、まずは全体をざっくりと把握することです。

ラフスケッチの段階でいちいち音源を確認するようでは効率が悪いです。もう少し馴染みのある曲に変更するか、その曲が自分に馴染むまで聴き込むか、このどちらかをオススメします。

ラフスケッチができたら、そこからは音源を聴きながら、細部を煮詰めていってください。

何度聴いても良くわからない部分は再生速度を遅くしてみると良いでしょう(特殊な機器を使わなくてもYouTubeで設定可能です)。

それでもわからない場合に、ネットや市販の楽譜で答えを確認できる備えがある事は重要です。その音を探すのに苦戦した分だけ、実際の音が分かった時の感動は大きく、そこから得る学びも大きいはず。毎回の耳コピーチャレンジの中で、少しずつ確実に学びを積み重ねて行くこと。これが大事です。

つづいて、③中級程度の音楽理論、④音楽的予測力、⑤音楽の構造把握力と解説していきたいのですが、これ以上書くと1話のボリュームとしては長すぎるので、今日はここで区切ります。

続きはまた次回。お楽しみに!(^^)!



eラーニング+リアルレッスンで効率よく学べる音楽教室

江古田Music School

代表  岩倉 康浩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?