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いわきりなおとの国宝漫遊記&トーハク見聞録

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共同通信加盟新聞にて連載中の「いわきりなおとの国宝漫遊記」「トーハク見聞録」の過去記事置き場です。掲載新聞は、秋田魁新報、新潟日報、静岡新報、上毛新聞、神戸新聞、中國新聞、山陰中…
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#エッセイ

いわきりなおとの国宝漫遊記 第14回国宝「舟橋蒔絵硯箱」の巻

◎大芸術家のセンスが結集  舟橋蒔絵硯箱、東京国立博物館蔵    ×   × 桃山~江戸時代初期の大芸術家本阿弥光悦は、書や陶芸、工芸などさまざまな分野で活躍したマルチアーティスト。二十数センチ四方の舟橋蒔絵硯箱には、光悦の技術や、デザインのセンスが結集しています。  最大の特徴は、山型に盛り上がったふたです。よく見るとゆるやかに流れる川の波模様と小舟が描かれてあり、中央の帯を舟橋(舟の上に渡した橋)と見立てていることが分かります。  散らし書きされた文字も目を引きま

いわきりなおとの国宝漫遊記 第9回「円山応挙 雪松図屏風」の巻

◎リアル表現で日本画に革命   円山応挙「雪松図屏風」、北三井家旧蔵  漫画家いわきりなおとさんが、江戸時代中期から後期の絵師円山応挙筆の国宝雪松図屏風(6曲1双、左隻、北三井家旧蔵)を紹介します。   ×   ×  応挙は、同時代の伊藤若冲や曽我蕭白といった「奇想」の画家たちに比べ、真面目な絵を描く画家という印象です。現代の若冲ブームに対し、応挙の人気は地味です。しかし、これは現代人から見た評価で、応挙が生きた時代では評価が逆転します。  応挙が登場する前は、格好良く

いわきりなおとの国宝漫遊記 第5回「国宝火焔型土器」の巻

◎縄文は日本の真の美  火焔型土器  新潟・十日町市博物館蔵 火焔型土器  漫画家いわきりなおとさんが、新潟県の笹山遺跡から出土した国宝・火焔型土器(十日町市博物館所蔵)を紹介します。    ×   ×  縄文時代中期(約4500年前)に作られた火焔型土器は、燃え上がる炎に形が似ていたことから、この名称が生まれました。 東日本の200以上の遺跡で出土していますが、大半は新潟県内に集中しています。  器に焦げがあることから、日々の暮らしの中で食べ物の煮炊きに使っていたことが分