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いわきりなおとの国宝漫遊記&トーハク見聞録

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共同通信加盟新聞にて連載中の「いわきりなおとの国宝漫遊記」「トーハク見聞録」の過去記事置き場です。掲載新聞は、秋田魁新報、新潟日報、静岡新報、上毛新聞、神戸新聞、中國新聞、山陰中…
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#日本美術

いわきりなおとのトーハク見聞録「ゆる埴輪   踊る人々」

◎シンプル極めたゆる埴輪  野原古墳出土「踊る人々」  東京国立博物館(トーハク)が所蔵する埴輪「踊る人々」は、1930年に埼玉県熊谷市の野原古墳から、2体一緒に出土しました。6世紀に作られた物で、どちらも下半分が推定復元されています。  当時は小さい方(高さ57・0㌢)が古代の男性の髪形「美豆良(みずら)」が見られるため男性、大きい方(同64・1㌢)は女性と考えられたことから「踊る男女」と名付けられました。 その後研究が進み、女性と考えられていた方が美豆良(みずら)が

いわきりなおとの国宝漫遊記 第14回国宝「舟橋蒔絵硯箱」の巻

◎大芸術家のセンスが結集  舟橋蒔絵硯箱、東京国立博物館蔵    ×   × 桃山~江戸時代初期の大芸術家本阿弥光悦は、書や陶芸、工芸などさまざまな分野で活躍したマルチアーティスト。二十数センチ四方の舟橋蒔絵硯箱には、光悦の技術や、デザインのセンスが結集しています。  最大の特徴は、山型に盛り上がったふたです。よく見るとゆるやかに流れる川の波模様と小舟が描かれてあり、中央の帯を舟橋(舟の上に渡した橋)と見立てていることが分かります。  散らし書きされた文字も目を引きま