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【FM店主日記Day38】せめて器用貧乏になりたい不器用貧乏ブルース

あれもこれも手を出して落ち着かない奴だときっとたくさんの人に思われている。「器用貧乏」とはあなたのためにあるような言葉だと。

しかし、たしかに貧乏は貧乏かもしれないが、これが全く器用ではないのだからほんとに割に合わない話だ。

昔から指先が、というか全てにおいて不器用で何をやらせても下手くそで呆れ果てた周りの女子たちに助けてもらってなんとか生きている今の僕であり、今までの僕なのだ。なので、正確には不器用貧乏であり、ほとほと救いようのないどうしようもない人間なのだった。子供の頃はそれこそ背も低いし、目も悪いし、かけっこは遅いし、野球のルールは人より詳しかったけど守備も打撃も壊滅的に下手くそで目も当てられない凄惨さだったため、女子たちには人気がなく、かといって男子たちに好かれるわけでもなく、犬や猫にもシカトされる、あるいは蔑まれるようなしょうもない霊長類ヒト化のオスで、日の当たらない道を人目を避けて生きるような少年時代だったのだ。

だが、どんなに不器用でも貧乏でも人生は続いていくわけであり、命ある限り諦めるわけにはいかない。そこでなんとかうまく生きていくために涙を飲んでひたすら誰も見ていないところでこっそり何度も繰り返す、という地味すぎる作業を行うことでなんとか一つずつできるようになってきた。

一つずつ地道に繰り返してきたおかげでなんとか今日も生きていられるわけでそれに対しては感謝しかないのだけど、不器用だったおかげで練習といわれる作業がそんなに苦痛ではなく、色んなものをコツコツと練習したり学習したりしているうちに、ふと見回すと、今ではギターが弾けるし、ピアノも弾けるし、ベースも弾けるし、作詞作曲とかもできるし、オリジナルアルバムもリリースしたし、英語も日本語もなんなら広島弁も喋れるし、将棋もチェスもそれなりにできるし、パソコンだって一丁前に扱えるし、動画編集とかウェブサイト作りとかもある程度できるし、翻訳だって通訳だって仕事としてお金もらってやるし、漫画の企画とか編集とかディレクションとかもやるし、取材して記事を書いたりもできるし、多少なら撮影もできるし、結構本も読むし、調べ物は好きなので結構知らなくてもいいようなどうでもいい豆知識を必要に応じて面白おかしく話せるし、noteの文章だってこの通りスラリンチョと書けてしまう誠に持って稀有な才能を持っているのである。あと、そういえばフェルマータというバーも経営している。

そうはいっても、だからといって不器用貧乏を卒業したわけでは決してなくて三つ子の魂百までというか、このカルマはきっと死ぬまで続くのだ。不器用なりに一つずつコツコツと、今日もこうして文字を書いている。これが全てどこかに積み重なって僕というしょうもない霊長類ヒト化のオスを構築しているのだ。昨日もしょうもなかったけど、今日もしょうもない。明日はきっともっとしょうもないのだけど、それでも人生は続いていくし、生きていかなくてはいけないのだ。

自己肯定は傲慢じゃない。自己肯定は歩き続ける自分への賛歌だ。うまくなんてなくていい。自分の声で歌え。

フェルマータ店主 KAORU

life must go on.

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