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【FM店主日記Day32】いわき駅前の市川パンが閉店するらしい。

いわき駅前の市川パンが閉店するらしい。

自分はいわきで育っていないので、さほど馴染みはないのだけれど、聞くところによると学校などでお世話になっていた人たちがとても多く、市川パンの閉店は結構な衝撃をもたらしているみたいだ。

パンという商材はなかなか難しい、とは思う。町のパン屋さんはあらゆる原材料の値上がり、賃料の値上がり、人件費の値上がり、しかし上がらない世の中の報酬金額、つまりパンの値上げは難しい、という八方塞がりの状態で戦っている。あんぱんもクリームパンも甘いけど、町のパン屋で悠々自適に暮らせるほど世の中は甘くないってことなのか。

たしかに古いパン屋がそのままの業態でやっていくのは難しいだろう。しかし、どの業種でも50年前と同じことをやっていて大丈夫なところなんてないので、それ自体はそんなに悲観するべきことでもない。ツタヤのDVDレンタルショップなんて一時期日本中どこにでもあったけど、もうDVDなんて借りる人はいないわけだし、CDも聞かないし、ましてやビデオなんてデッキも持ってないわけで。

だけどもパンを食べる人は今もいるのでそういう意味ではむしろ長生きしているビジネスだとも言える。そういう意味では、同じことをやりつつも文脈を変えるやり方、たとえば、この田村くんの捨てないパン屋っていうやり方は一つ大きなヒントになるような気がする。

ちなみに、特に仲が良かったわけではないけれど、田村くんは中学校の時の同級生だ。同じ中学だった亀谷くんが何年か前に教えてくれた。

店が開いてるからそこのパンを買うっていうやり方じゃなくて、店なんてなくてもその人の作ったパンが食べたいから買うっていうやり方。町もそういう意味ではバーチャル化し始めているのだなぁ、とこうして書きながら気がついた。黒電話がコードレスフォンになり、やがて携帯電話になったように、何かをつなぐ線は消えていく、仲介する存在は見えなくなる、でもパンとパンを作る人、そしてそれを食べる人は消えてなくなったりはしない。ご飯を炊くは割と原始的だけれど、パン作りの技術というのは言ってみれば人の叡智の結晶だ。発酵の重要さに気づいた暇人は一体誰だ?そう考えるとパンは永遠だ。パンはすごいぞ。もっとみんなパンを食え。パンパンパンパンパパン。

フェルマータ店主 KAORU

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