ポップスの歌詞がときに未来から過去へ罷り越すこと。
ポップスの歌詞を肴に徒然と書く。
歩いて帰ろう / 斉藤和義
春先という時節柄か、ふと思い出した。菊地成孔氏が斉藤和義氏の「ずっと嘘だった(自身の「ずっと好きだった」のセルフカバーの替え歌。3・11の原発事故を受けて)を発表した際に、既存の「歩いて帰ろう」の方がずっと適切では(大意)と指摘していた。
慧眼。
地方在住の自分にはあの当時の都民の方々を切実さをもって理解はできないが(隣県在住だったのでそれよりもっと非現実と向き合あわざるを得なかった)、そういう視点から再度読み返す/聞き返すと、なるほどしみじみとピッタリだなぁと当時思った。
該当する日記を読もうとしたが、探せなかった。
会ってすぐ全部 / ザ・クロマニヨンズ
ヒロトもマーシーも本当に昔っから言ってること歌ってること、その根っこは変わらないんだなぁと思ったことを。
クロマニヨンズのアルバム「PUNCH」1曲目「会ってすぐ全部」。
2人ってのはヒロトとマーシーなのかなぁ、とかぼんやり思って聞いていたけど、ある一節を聞いて涙が止まらなくなった。
もうビックリした。
ブルースについて歌った曲で先ず思い出すのはブルーハーツ時代の「TRAIN-TRAIN」。そしてパンクロックについてはデビューアルバムのそのものズバリの「パンク・ロック」。
ブルース、パンクロックを巷間言われるジャンルミュージックとしてでなく、どんな風に捉えていたのか。二人の鳴らす音はどこから来てどんなサウンドを目指して鳴らしているのか。
やるせ無い憂鬱と本気の優しさ。これだったんだ。
出会った時にはもう、この二つに関して同じ意見を持ち得ていたとしたら美しすぎる。
真相や自分の推測がどうあれ、あらゆる今まで目にしたインタビューなどの発言がスッとその日飲み込めた。
ずっと同じことをずっと同じ気持ちで歌ってる。マジだった。
Rock'n' Roll is here to stayってことなんだな。
2019年 10月9日リリース
THE BLUE HEARTSは1987年メジャーデビュー
バーモント・キッス / 相対性理論
一昔前でいう所のセカイ系、あるいは現在進行形で社会的・個人的なメッセージをSNSで日々発信されている方々(性別は問わない)。
相対性理論が2009年に発表したアルバム「ハイファイ新書」収録のバーモント・キッスは、今なおその方々に対する浄化乃至レクイエムになり得る。
人はやがてそれぞれの日常に戻る。
私の好きな方の名言で「社会をやれ」というものがある。
それで良いと思う。
少しずつ人は草臥れていく。
それで良いと思う。
他責的に堕ちるのはとても簡単。
それでも良いと思う。思うが。
素敵なもの、素晴らしいものは非日常で降って湧いたようには存在せず、日常の中で自分で作り出す/生み出すもので間違いない。
遂に武道館に立ったロックバンドが歌うように、10代は終わるし生きていれば直ぐ終わる。それで良いじゃないか。それに気づいた人から順にきちんと、ちゃんと幸せを手にできるものなのだろう。
2009年1月7日 リリース
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