見出し画像

「史料」についてーその③ ネットで史料を読む。

※写真は「アジア歴史資料センター」ウェブサイトのトップページ

近年、ネット上でも多くの「史料」が公開されるようになってきました。以前であれば、刊行された史料以外は原本を見るしかなく、地理的・時間的制約でそういった事が不可能な人はおおくいたと思われます。

しかし、現在では多くの公立機関(施設)で貴重な史料の原本がネット上にアップロードされており、ネット環境さえあれば気軽にアクセスする事が可能となっています。

もちろん、近代史の膨大な史料の中でアップされてるものはごくわずかにすぎませんが、知っているのといないのでは何か調べる際に大きな差がでます。部屋で簡単に原本を確認できる史料を、わざわざ国会図書館までいってコピーすることはありません。今回は、そうした史料や文献を無料で閲覧できるホームページをいくつか紹介してゆきたいと思います。


国立国会図書館「デジタルコレクション」

まずはじめに、国立国会図書館の「デジタルコレクション」を紹介します。

国会図書館が所蔵する資料の中で、著作権などの問題がないものを無料公開しています。基本的には古いものが多く、著作権切れのものが公開されています。中には自宅のパソコンでは見られないものもありますが、国会図書館館内限定のもの以外の「図書館送信資料」となっているものは全国の提携図書館で閲覧でき、プリントアウトもできます。図書館に行く手間とプリントアウトの料金はかかりますが、地方の方であれば国会図書館にいくよりずっと手間が省けるでしょう。提携図書館は、デジタルコレクションの提携図書館一覧よりお近くの施設を調べられます。



国立国会図書館「帝国議会会議録検索システム」

こちらも国会図書館提供のサービスですが、帝国議会の会議録を検索できます。活字化された会議録はもちろん、当時の官報の画像も出てきます。


アジア歴史資料センター

国立公文書館が運営する、ネット上の資料館です。このデータベースは国立公文書館はもちろん、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所から史料画像の提供を受けており、これら三つの場所の史料をまとめて閲覧できます。もちろん所蔵する全ての史料を公開しているわけではなく、名前の通り「近現代の我が国とアジア近隣諸国等との関係に関わる歴史資料として重要な我が国の公文書及びその他の記録」(同ウェブサイトより)が対象です。

ネット上で近現代の史料を検索する際は、まず当たるべき場所といえます。


防衛省防衛研究所

「アジア歴史資料センター」にも史料を提供している、防衛省所属の研究所です。省のある市ヶ谷には「史料閲覧室」があり、所定の手続きをとって入館することができます。戊辰戦争から大東亜(太平洋)戦争期までの貴重な史料が数多く所蔵されており、その多くは直接出向いて閲覧する必要があります。

ただし、研究所の前身である防衛研修所が編纂した「戦史叢書」の全巻が無料でネット上に公開されています。叢書は100巻を超える膨大なもので、研究所所蔵の膨大な史料や証言などが用いられ、編纂も元軍人が行っていた、いわば「公式大東亜戦争史」に近いものと言えます(問題がないわけではありません)。そのため、先の大戦について言及するならばほぼ必ずといっていいほど引用される基本的な文献ですが、これほどの量を自宅に揃えるには、相当な手間と資金、そしてスペースが必要となります。しかし、ネット上で公開されることにより、この問題は解決しました。

こちらの「戦史史料・戦史叢書検索」のメニューから戦史叢書の他、「アジア歴史資料センター」で公開されているもの以外の史料を読む事ができます。まだまだ数は少ないですが、逐次アップロードされていくようです。


以上は、私がよく使うネット上の史料閲覧サイトです。これらが全て、というわけではありません。また、利用は必ず格ウェブサイトの規約を守ってください。

ご厚意は猫様のお世話代、資料購入費、生きる糧などに充てさせていただきます。よろしくお願いします。