哲学者スラヴォイ・ジジェク

 的を得た発言で理解に足る。インタビューの冒頭は、『私たちは残忍な新世界に向かっている』というものだ。確かに、「拷問」は瞬時に世界に公開されるようになった(米国は公式に拷問を合法化)。私達の反応は、徐々に麻痺しつつある世界に突入している。隠されていたものが日常会話化する時代に生きているといえる。その恐ろしさに増々無関心になり、国家権力に対して「非政治化した市民」になっていると言える。
『セックスのファストフード化が加速している』と指摘している、これも頷ける。本来ついて廻る関係性の剰余に対する排除を強めれば当然そのような傾向が強まる。離婚率も高くなり、少子化をさらに加速させることにもなるだろう。彼の指摘はそれぞれに説得力ある批判になっていて実にユーモアがある。私の危惧は、これまでの言葉の哲学がもはや「意味」を反転せざるを得ない状況になってきていることだ。
自由民主主義がよもや「ナショナリズムを装備した独裁国家」、世界的資本主義に移行するとは思っていなかった、グローバル社会を警戒しながら注視していたが認識が甘かったと認めざるを得ない。


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