小幡 績 の見解は普通

 シュンペーターについて、「経済社会の"変遷"理論」が乏しいことを指摘しているが、正しい指摘だ。小幡氏の現在社会についての認識も真っ当だ。『政治的リーダーシップはポピュリズムに乗っ取られ、正しい理論はわかりやすい議論に書き換えられ、エリート、専門家の議論はSNSによる陰謀論にかき消され、論壇は左右両極に分裂し、まっとうな議論は退屈だと葬り去られた』。「分裂、退屈」の狭間に独裁者が居直り我が世の春を満喫している。「まっとう」さは、あらゆる分野で疎外され、これ以上の疲れる生活には立ち入る余地を許されない社会状況になっている。

力量は増々拡声され、その意味が「まっとう」性を持つという錯誤現象が蔓延しつつある。アイドルが「キックバック」は悪い事ではないとしれっとテレビで発言する時代だ。物事の中味を味わう、それまでのプロセスを省みる思考経路を持たなくなった。

教育よりも経済活動のスピードがそれを妨げている。スピードによる経済社会の変遷を排除したシュンペーターにそれを云々するには時代的に無理があるように思う。


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