最軽量シェルターの作り方とレース本番で持って行き忘れたときの対処法

最軽量シェルターの作り方とレース本番で持って行き忘れたときの対処法

 どうも宮西です。またAdvent Calendarの季節がやってきました。この投稿はオリエンティアAdvent Calendarの12月9日の記事として書いています。他の人の記事はこちら

 昨年はOMM JAPANで使える自作軽量シュラフについて書いたらオリエンティア以外の方からも反響があって、なんか知らん人から「作ってみます!」というリプライまでいただきました。オリエンティアAdvent Calendarなので本来はもっとオリエンテーリングっぽいことを書くべきなのでしょうが、OMM関連でインパクトのある内容を書けばロゲイナーやハイカーの人たちもオリエンテーリングに興味を持ってもらえるのではないか...と思っています。

 と、いうことで今回もOMMギアですよ。OMMってなんぞや。。。っていう人は去年の記事とか公式ページとか見てね。

テントって重いですよね

 普通、山岳用テントって1200gくらいの自立式ドーム型ダブルウォールです。 1200gっていうと、荷物の中で1番重いのではないでしょうか(1泊の夏季テント泊登山を想定)。荷物を軽くしたければまずは重いものから、です。

UL系登山してみた

 軽量登山=ウルトラライト (UL)系登山といえば、Locus GearのKhufu CTF3(リンク先はKhufu DCF-Bで、後継モデル)というシェルター(一般的なテントではないのでここではシェルターと呼ぶ)が有名なので、僕も数年前に買ってみました。これはキューベンファイバー(当時はCTF3、今はDCFと呼ばれる)という軽量な素材を使った三角の非自立式モノポールシングルウォールシェルターです。

 床の生地もないし、地面との間に隙間空いてるし、なんかちょっと透けてる。普通なら「こんなテントで寝られるか!」となりそうですが、僕は290g(ポール抜き)という軽さに惹かれました。この重さは通常の自立式テントではあり得ないですからね。ポールを含めても350gに収まってしまいます。

 このシェルターがここまで軽い理由は大きく分けて3つあります。一つ目は、シングルウォールであること。普通は雨除けのフライと内側のインナーテントに分かれていますが、このシェルターは居住性を犠牲にしてフライだけしかありません。

 二つ目は、非自立であること。真ん中に1本のポールを立てて周囲をペグダウンすることで形状を保ち、耐風性を確保します。通常ドーム型テントは2本のしなやかなポールをクロスさせるため、長いポールが必要です。さらにKhufuはポールを曲げないのでカーボンファイバー製のポールを採用できます。

 三つ目は素材が軽いこと。通常用いられる30Dのシルナイロンは50-60g/m^2ですが、このキューベンファイバーは25g/m^2で半分ほどの重さしかありません。

 実際にこのシェルターで北アルプスを縦走しましたが、耐風性・居住性いずれも問題ありませんでした。また2015年のOMM JAPANでも使用し、十分な性能があることを確認しました。

もっとミニマルがいい!

 OMM JAPANでKhufuを使ったとき、「1泊のレースで使うには広すぎるし強度も過剰だ」と感じました。そりゃ北アルプス縦走もできたのですから当たり前ですよね。そこでもっと小さくて軽いシェルターを自作することにしました。

 Khufuの「ピラミッド型非自立式モノポールシングルウォールフロアレスシェルター」というコンセプトは、軽量なシェルターを作るうえで理にかなっていると感じたので自作する際も同じような形状にしようと思いました。

 もう一つ参考にしたシェルターがこちら。363 EquipmentのTARP 57です。このシェルターを見たとき、「57g???頭部だけ覆えればそれでいいのか???」と衝撃を受けました。でももしシュラフが防水であれば、下半身は屋根がなくても問題はありません。つまり昨年のこのシュラフを使えばいいんです。あとこのシェルターが惜しいのは、一人用かつタープ型なのでOMM JAPAN (2016年)のレギュレーションに合わないことですね。

 そこで、目指すは「変態的に軽い上半身だけの二人用ピラミッド型非自立式モノポールシングルウォールフロアレスシェルター」です。

最軽量シェルターを作る

 まず素材はTARP57と同じ、17.3g/m^2のキューベンファイバーです。補強用に34g/m^2のキューベンファイバーとキューベンファイバー用の両面テープも購入しておきました。キューベンファイバーは布のように織られておらず縫製すると縫い目から裂けてしまうので、一般的にくっつける手法がとられます。これらの素材はZpacksのサイトで手に入ります。

 次に大きさ。二人が入れるサイズということで幅は120cmとしました。4つの面が同じ大きさのほうが力学的に強そうだったので奥行きも120cmとしました。高さは90cmとし、ポールの長さは97cm(折りたたむとちょうど50cm×2本)としました。数字だけ見ると広そうに感じますが、ピラミッド型は端のほうとてっぺんのあたりがデッドスペースになってしまうのでこれくらいにしておいたほうがいいと思います。

 出入り口は結構悩んだのですが、強度や重量を考えるとファスナーやベルクロはつけたくなかったので、1つの面を地面から25cmくらい開けておいて上半身を滑り込ませるタイプにしました。(2016年の)OMM JAPANでは4方の覆われた幕体じゃないといけないので、これが無難だと判断しました。

 キューベンファイバーどうしはほとんど両面テープで貼り付けましたが、四隅のペグダウンループを通すための穴のところだけ分厚いほうのキューベンで補強してから縫い付けました。両面テープを貼り付ける面積が確保できないときは縫製するしかないです。

で、完成予想図がこちら(雑)。

実際に使った型紙がこちら。リッジラインはもちろんカテナリー曲線です。

はいできた。

美しい...

なんと84gです。

 OMMで使えるシェルターなら最軽量じゃないでしょうか。ペグとポールもカーボン製の自作で、それぞれ2.5g×4本と38gです。シェルターと合わせると132g。もはや持ってないのと同じ。

 2016年と2017年のOMM JAPANで実際にこの自作シェルターを使いましたが、とくに問題はありませんでした。

やばい、シェルター忘れた。

 2018年のOMM JAPAN、バディは僕よりもずっと走れる半沢選手。ほとんどの共同装備を彼に預けて出走しました。1日目のフィニッシュ後、のんびりと食事を摂りシェルターを張ろうとしたその瞬間

「シェルター忘れた。。。」

あろうことか、僕はシェルターとキューベンの一枚布を間違えてバディに持たせていたのです。このままではシェルターがありません。夜寝られないのはいいのですが、シェルターがなければ装備チェックで失格になってしまいます。まじで半沢ごめん。

 もうあるもので何とかするしかありません。使えそうなのは間違えて持ってきたキューベンのシートと、念のため持ってきたごみ袋とゼロコアガイラインとダクトテープ。あとはポールとペグ、パッキングに使ってたゴム紐です。

 高さを出すと風に煽られてしまうので通常の半分の50cmにし、ペグが4本では足りないので木の枝を拾ってきてペグ替わりにしました。ダクトテープでごみ袋とキューベンシートをつなげ、ゴム紐をガイラインにしてなんとか形に。。。

 とりあえずこれでOKとしましょう。あとは装備チェックを通ればいいだけ。

 このシェルター、なんか話題になっていたらしく参加者や運営者が見物に来ていたり、カメラマンが動画に収めていたりしてました。さらに僕がシェルターを離れている間に安全管理マネージャーの村越さんがこのできそこないシェルターを見に来ていたみたいですが、何もなく去ったそうです。ということは...?

 てか夜寝てるときにライトで照らしながら「ちょwwwまじでwww」とか「これ人???」とか言うのやめてくださいね。目をつむってますが寒いので起きてますしめっちゃまぶしいですからね。すけすけなんで。

 結局1-2時間しか寝れずに朝を迎えましたが無事2日目も完走しました。フィニッシュ後、村越さんからコメントをいただきましたが「(テントは)設営できていれば大丈夫」とのこと。無事装備チェック通過です。やったぜ!

めでたしめでたし



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