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鰯崎友×born

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鰯崎友の個人note+WEBマガジン bornでの記事、作品をまとめました。
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#エッセイ

プレッシャーを克服する!

唐突ですが、皆さんプレッシャーは得意ですか? 私は苦手です。ときどきバッティングセンターに行くのですが、だれかほかの人に見られながらスイングすると、 凡打ばかり。また、人前でプレゼンをするときも、緊張して言いたいことの半分も言えなかったりします。 世の中を見渡してみると、あんまりいないですね、プレッシャーが大好き、という人。 先日引退を発表したイチロー選手なんてうらやましいですね。大舞台であればあるほど実力を発揮できる、スターです。 しかし、現代に生きている限り、プ

ジャンルというものを乗り越えてやろうと思っている。

趣味でも仕事でも、なにかジャンルというものを乗り越えてやろう、という気持ちがつよい。私は小説を読むのも好きだし、漫画も好きだし、映画も好きだし、コンピューターゲームもアナログゲームも好きだし、絵を描くのも手で描くのもデジタルで描くのも好きだ。食べ歩きも好きだし酒も好きだ。 とはいえ、好みというものはやはりあって、ミステリはあまり読まないし、マーベルヒーローの出てくる映画もつい敬遠してしまう。大トロは食べられないし。しかし、ミステリはあまり読まない、といっても、クイーンはけっ

祖父は主に満州にいた。

私の祖父は隻腕だった。左腕が肩までしかなく、引き絞った巾着袋ように皮膚が折り重なって骨を隠していた。子どもの頃、私はおじいちゃん子で、祖父と将棋をしたり、散歩に出かけたりしていた。 家の近所を流れる川の土手を、ふたりでよく歩いた。祖父は腕のないほうのシャツの袖を、旗のようにひらひら遊ばせていた。戦争で左腕を失くしたのだった。体は丈夫で、器用に自転車にも乗った。 竹を割ったような物言いをする人間で、人から疎まれることもあったが、その半面、友人も多かったようだ。右腕一本で喧

天牛堺書店。さらば。

他の地域の方には馴染みがないだろうが、天牛堺書店は南大阪の人間に愛された書店だった。堺市を中心に十数店舗が展開され、新刊と古本が両方とも買える本屋。古本に関しては4日毎に商品が総入れ替えする、という独特のスタイルで、あちこちの古本屋を歩きまわらずとも多くの古書をチェックできる。 古書収集、暇つぶし、待ち合わせ場所に最適の老舗本屋さんだったわけなのだが、1月28日をもって破産。全店舗が閉店してしまった。非常にショックを受けている。 思えば中学生のころから、最寄りの駅にある天

過去からの使者

おい、お前の心に直接語りかけとるんやけど。 俺はキャベツ太郎や。俺のこと、忘れてないか。こどものころに食べてたんじゃないか。ソース味の、甘辛い、スナック菓子だぞ。食べると歯に青のりがついたままになるんだ。友達に指摘されて恥かいたこと、あるやろ、あんときはすまんかったな。あやまる。 最近俺のこと、食べてないやろ。大人になったから。大人はキャベツ太郎食べへんから。でも、ちょっと待て。酒は飲むようになったか。飲むのか。お前もいっちょまえに酒飲むようになったとはな。丸坊主でゲーム

新潟の改革は実現するか

高校野球がブラック部活動であることはすでに多くの人が知っていると思う。昨年の夏の甲子園も、伝統に則って、40℃に迫る炎天下の野外で開催され、試合中に数多くの選手が熱中症になった。 特に過酷な運動量を余儀なくされるのはチームの主役、エース投手だ。チームが強くて勝ち進めば勝ち進むほど酷使される、という皮肉な境遇が繰り返されており、なかには日常生活に困難を来すような障害を負う例もある。 以前にも書いたが、1990年~2018年までのあいだに夏の甲子園で700球以上投げた投手は1

わたし、誘拐されてます

1月2日の未明、隣で寝ていた妻が、いきなり「わたし、誘拐されてますッ!」と、叫んだ。ものすごいうなされようだったので、肩を揺さぶって目覚めさせる。 聞けば、夢のなかで、謎の組織に拉致され、ヘリコプターに無理やり乗せられたとのこと。それで、どこかに連れ去られる途中、地上に人影が見えたので、助けを求めるべく、「わたし、誘拐されてますッ!」と力いっぱい叫んだのだった。 本人は「怖かったが、スリル満点でなかなか面白かった」と言っているので、よかった。 妻が誘拐されてヘリで運ばれ

三國志…しりそめし頃に…

小学校6年生のとき、クラスにAくん、Hくん、Sくんという3人組がいて、この人達は休み時間もクラスの多数派から外れて、なにやら異質な雰囲気を醸していた。 私はこの3人のことがなぜかとても気になり、ある日、「なにをやっているの?」と勇気を出して尋ねてみた。それが私と三國志が出会うきっかけとなった。そう、彼らは教室の片隅で三國志のマニア話に花を咲かせていたのである。 3人組は休み時間には三國志の話をし、学校が終われば誰かの家に集まってスーパーファミコンの三國志のゲームをして遊ぶ

パンダの名づけ親になるかもしれません!

唐突ですが、私、パンダの名づけ親になるかもしれません!今年8月に和歌山県、白浜のアドベンチャーワールドで産まれた、ジャイアントパンダの赤ちゃん。かわいいですよね~ アドベンチャーワールドは、このパンダの名前を、公募によって決定するとアナウンスしました。私は「恵浜」という名前を考えて応募したのです。それが約2ヶ月前のこと。 そして、先日、寄せられた12万通の応募のなかから、最終の4候補が選ばれたとのことで、公式ページを確認して、仰天。自分の案が残っていたのです。 ここ数年

わからないこと

今住んでいるマンションには、敷地内に公園があって、土日には、子どもたちでいっぱいになる。ブランコ、すべり台やジャングルジム、砂場など、ひととおりの遊具が揃っているし、子どもたちの親御さんにとっては、無料で移動の手間もかからないとあって、人気になるのも当然のなりゆきだ。 私と妻が暮らす部屋にも、子どもたちの賑やかな声が聞こえてくる。ついこの間まで、気候が穏やかなころには、窓を開けていたので、どういう会話をしているのか、部屋のなかにいても分かった。 とくに男の子のグループはや

『ボヘミアン・ラプソディ』天才と呪い

エンドロールがおわって、劇場に明かりが灯った瞬間に、拍手がおこった。誰もがこの映画の余韻に、1秒でもながく浸っていたかったのだと思う。いい年したおじさんやおばさんが、涙でくしゃくしゃになった顔を、少し恥ずかしそうにうつむけながら、ゆっくりと席をたつ。 いや、泣いていたのは彼らだけじゃない。私も泣いていた。妻も泣いていた。クイーンの歌を素敵だとは思っていても、当時の熱狂を知っていたわけではない。でも涙が止まらない。 劇場には、フレディ・マーキュリーがこの世を去った1991年

いろいろやる。と。楽しい。

インターネットになにかをアップしはじめたのは、mixiからだ。いまは見る影もないけど、いちばん勢いのあったころのmixiだから、もう10年以上前だ。そのときはまだ学生だった。超短編小説を、主に書いていた。ぜんぶで200作品くらいのショートショートを書いた。実をいうと、そのときに書いた作品を手直しして、noteにアップしたりもしている。その当時はmixiではショートショートをメインに発表していこうという謎の決意があって、それをできるだけ忠実に守っていた。 そののち、就職をして

毎日更新が結局いちばんラクちんだ

noteの更新頻度、みなさんはどれくらいですか。毎日とか、3日に1回とか、1週間にいちどとか、最適な更新頻度は人によってまちまちだと思います。 私は毎日更新を10ヶ月ほど続けているのですが、ときどき、その日のネタに困ることがあります。そんなときには、ついつい更新の間隔を伸ばしたくなるのです。でも、ちょっと待てよ、と思い直して、毎日更新を継続しています。 なんでかというと、毎日更新が結局いちばんラクだ、と思うからです。素朴に考えると、毎日ネタを出すよりも、2日に1回とか、3

線でマンガを読む『コマツ シンヤ』

うだるような暑さのなか、『線でマンガを読む』を書こうと思って本棚を物色していると、いいものを見つけた。コマツ シンヤの『8月のソーダ水』である。ページをめくると、気温が3℃くらい下がったような気分になる。 『8月のソーダ水』 架空の街、翠曜岬を舞台とした連作短編である。主人公のまわりで起こる、ちょっと不思議な出来事を、海のにおいのする青色をふんだんに散りばめた爽やかな筆致でつづったマンガだ。季節は夏だが、今の日本のようなむっとする熱気ではない。パラソルの下で、うたたねした