線でマンガを読む『古屋兎丸×荒俣宏』
古屋兎丸はマンガ家になる前には美術の教師だったそうだ。絵画の正統的な教養を有するその絵は、人体の質感を細やかに描きだす。表情に線を加えることに禁欲的な作家であり、なまめかしい身体を持つが、感情の読み取れない、人形のような、ヒトであってヒトであらざるようなキャラクターを描いてきた。古屋作品には独特の離人感がある。私の好きなのは、荒俣宏とコラボした『裸体の起源』。
「マザーの花がひらく」。トビウオたちが浮足立っている。それは新たな人が誕生することを意味している。このたびは「嘆き