見出し画像

2021年度IVR専門医試験 解答・解説

第20回(2021年度)のIVR専門医試験の解答・解説を作成しました。

問題用紙は日本IVR学会Webサイト(https://www.jsir.or.jp/docter_test/oldtest/)からダウンロードしてください。

1 .
放射線業務従事者における眼の水晶体の等価線量限度はどれか。
a.150 mSv/年
b.500 mSv/年
c.50 mSv/年かつ 100 mSv/ 5 年
d.100 mSv/年かつ 200 mSv/ 5 年
e.100 mSv/年かつ 300 mSv/ 5 年

解答(c)
眼の水晶体の等価線量限度を5年間の平均で20ミリシーベルト/年かついずれの1年においても50ミリシーベルトを超えないこととすることが適当。従来は150 mSv/年であったが2021年にICRPによる勧告を受け電離放射線障害防止規則が改正された。

2.
CT被検者の被ばくの評価に用いられるDLP(dose length product)の単位はど れか。
a.MBq
b.mSv
c.J/kg
d.mGy
e.mGy・cm

解答(e)
DLPは線量とスキャン範囲の積で表す。
DLP[mGy•cm] = CTDIvol (CT dose index) [mGy] × スキャン範囲の長さ [cm]

3 .
COVID-19陽性または疑い患者のIVR時の対応で望ましいのはどれか。3つ選べ。
a.室内を陽圧にする。
b.室内の換気を 1 時間に 3 回行う。
c.術者は患者の退出まで室内に留まる。
d.術後に次亜塩素酸ナトリウムを用いて室内の除染を行う。
e.過酸化水素水プラズマ滅菌器を用いた N95 マスクの再利用は 2 回までとする。

解答(c)(d)(e)
b. COVID-19についての規定は特に見つからなかったが血管造影室はそもそも15回/時間での換気回数を求められている(病院設備設計ガイドライン)
c. 不要な術者の出入りは避けるという意味では○

4 .
中型血管炎に分類されるのはどれか。2 つ選べ。
a.川崎病
b.高安動脈炎
c.巨細胞性動脈炎
d.結節性多発動脈炎
e.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

解答(a) (d)
中型血管炎は川崎病とPNの二つ。
大型血管炎は高安動脈炎と巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)の二つ。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は小血管炎に分類される。

5 .
Osler 病(hereditary hemorrhagic telangiectasia)で正しいのはどれか。3 つ選べ。
a.指定難病の一つである。
b.常染色体優性遺伝である。
c.遺伝子検査は保険適用である。
d.肝動静脈奇形は塞栓術のよい適応である。
e.肺動静脈奇形の治療適応は流入血管径 5 mm以上である。

解答(a) (b) (c)
オスラー病(遺伝性出血性末梢血管拡張症)は、1.鼻出血、2.舌・口腔粘膜・指・鼻の末梢血管拡張、3.内臓病変(胃腸末梢血管拡張、肺、肝、脳、脊髄動静脈奇形)、 4.家族歴(遺伝性)を特徴とする疾患。
a. ○ 指定難病である
b. ○ 常染色体優性遺伝である。
c. ○ 健康保険の対象である。
d. × 肝動静脈奇形はシャント量が多ければ治療適応となることがあるが、多くは無症状である。
e. × 流入動脈径が3mm以上あるいは有症状が治療対象。

ここから先は

11,542字
この記事のみ ¥ 2,000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?