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離島診療2月〜レントゲンで心臓を評価する3つの方法〜

こんにちは、獣医師の森田です!

コロナウイルスの感染拡大を受けて、
出張のお仕事はしばらくお休みになりそうです。

離島診療ルポの第2回は、若手獣医さんに向けて
「〜レントゲンで心臓を評価する3つの方法〜」
です!

2月に八丈島にお伺いした際の出来事をまとめていきたいと思います。

離島診療と心臓病

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八丈島での診療中、僧帽弁閉鎖不全症を疑うワンちゃんに出会いました。

ここで出張診療ならではのトラブルが

島の病院には超音波画像診断装置がありませんでした。
(現在はポータブルの超音波画像診断装置:SonoSite M-Turbo V を持って出張診療に伺っています)

そこで、当時役立ったレントゲン検査での心臓の評価方法3つほど、
まとめていきたいと思います!

レントゲン検査での心臓評価 その1 「VHS」

言わずと知れた椎体心臓サイズ "VHS(Vertebral Heart Size)"です!

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ほとんどの獣医さんがご存知かと思いますが、
ラテラル像で撮影した心臓の長軸との短軸を測定し、それぞれ第4胸椎から椎骨何個分に相当するかを計測し合計した測定値です。

最近では基準となる値が犬種別に報告されています。
JASMINEどうぶつ循環器センターさん(神奈川県横浜市)のホームページに犬種別のVHS基準値早見表が載っているので僕はそれを参考にしています!

見やすいのでめちゃめちゃオススメです!

レントゲン検査での心臓評価 その2 「CTR」

こちらもまた言わずと知れた心胸郭比 "CTR(Cardio Thoracic Ratio)"です!
CRT(毛細血管再充満時間)とごっちゃになることでも有名ですね

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CTRはVDまたはDV像で心臓の幅(MR+ML)/胸郭の幅(MTD)×100(%)で求めることができます!

犬では個体差が多く明確な基準値が設定されていないため、
僕は同一個体内で経時的に比べて参考にしています。


レントゲン検査での心臓評価 その3 「VLAS」

最近、VHS、CTRと共に参考にしているのが脊椎左房サイズ "VLAS(Vertebral Left Atrial Size)"です!

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胸部をラテラル像で撮影し、心基部幹気管支から後大静脈と左心房の交点までを計測、第4胸椎から椎骨何個分に相当するかを測定した数値です。

VLASが2.3以上で左房拡大の予測因子とされ
また、Epic trialよりVLASが3.0以上でピモベンダン投与の目安とされています。

VHSと同じく、初診時の心臓の評価にも計時的な心臓の評価にも使える優れた指標です!

まとめ


以上、超音波画像診断装置がなくても遠心性心肥大を評価する方法3つでした!

現状に最善を尽くす事を心がけていれば、どこへ行っても診療が出来る
という出来事でした。

VHS、CTR、VLASを是非みなさんも活用してみてください!

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写真:八丈島のシンボル"八丈富士"

それではまた来月!

参考文献
Comparative Study of the Vertebral Heart Scale (VHS) and the Cardiothoracic Ratio (CTR) in Healthy Poodle Breed dogs
「Acta Scientiae Veterinariae, 2016. 44: 1387.」

Diagnostic value of vertebral left atrial size as determined from thoracic radiographs for assessment of left atrial size in dogs with myxomatous mitral valve disease
「Journal of the American Veterinary Medical Association October 15, 2018, Vol. 253, No. 8, Pages 1038-1045」

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