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【自動車無し生活】高齢ドライバーの気持ち

私は今56歳ですが、周囲に車を手放したことを話すと皆一様に驚かれます。自分の運転が怪しくなったのでと言うと、

「まだそんな歳でもないでしょう?」

と言われます。

一般的に高齢ドライバーとは何歳くらいを基準にしているのでしょうか。

一般的な統計データの区分では65歳以上を高齢ドライバーとしていて、車に貼る「高齢者マーク」は70歳以上の方の努力義務となっているそうです。

その基準を当てはめるとすると、私はその高齢ドライバーの入り口まであと9年ありますし、高齢者マークまでは10年以上あります。先日の人間ドックの結果を見てもあまり悪いところもないし、毎日プールで泳ぐくらいの元気はあります。

ですから、私の場合は事故というきっかけをいい機会だと思っただけで56歳で車生活をやめると決めていたわけではありません。実際今のところ車を手放しただけで、免許も返納してはいません。

しかし今思うことは、このまま自家用車に頼る生活を続けた場合に65歳の私は、70歳の私は、一体どんな身体になっているのかな、ということです。

おそらく年々歩かなくなり、車が無いとどこにも出かけられない、自分で歩くとすぐにくたびれてしまう。そんな自分の姿が容易に想像できます。

問題はそうなってから果たして自家用車の無い生活に移行できるのかです。

ご家族に高齢ドライバーがおられる方はおわかりになると思いますが、高齢ドライバーに車を手放すことや免許の返納を勧めることは、とても難しいです。テレビで高齢者の事故のニュースを見かけるたびに、うちのおじいちゃんもいつか事故を起こすんじゃないかと肝を冷やしているのに、当の本人はまだまだ運転する気満々だったりして困るという声を耳にします。私にも同じような経験があります。

でも、高齢ドライバーのほとんどは、車も免許も手放さないと思います。

当然です。怖いんです。

車を手放すことで、自分の行動範囲が極端に狭まってしまう。家からどこにも出られなくなってしまうのではないか。医者にかかることもできないし、買い物すら満足にできなくなってしまうのではないか。ついにはこのまま家にいたままボケて寝たきりになって死ぬのを待つだけみたいな感じになってしまうのではないか。

この不安感を前にしたら、事故を起こすリスクなんて目に入るわけがないんです。そこを社会全体が理解しないと何も変わらないと思います。

では逆に質問です。高齢者は免許を返納するべきだと思っているそこのあなた、あなたは何歳になったら免許を返しますか?

そんなの、その時になってみないとわからないよ、というのはナシですよ。

みんなわからないんです、そんなの。
強いて挙げるなら、事故った時ということになりますか?
それでは今の高齢ドライバーさんたちと変わらないですよね。

要は準備が必要なんです。

生活から自家用車を切り離す。これは大変な変化です。
何の準備も無しにそんな変化に対応できるわけがありません。

では準備とはなにか。
それは車を使わなくても生活できる状態を整えておく、ということです。

ひとつは体力。
ひとつは知恵。
ひとつは環境。
ひとつは心のあり方。

それぞれの準備には時間がかかります。なぜなら多くに「慣れ」が必要だからです。

そんな思いからこのマガジンのタイトルを「50代から始める自家用車無し生活」とさせていただきました。

私たちは自家用車が無くても死ぬまで生活できるし、自家用車が無ければ生活できない社会であるなら、それは社会が間違っている。

このマガジンはこんなコンセプトで進めていきたいと思います。


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