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川上澄生作『夏の夜の夢』

 鹿沼市にある川上澄生美術館の友の会だより『朴花居 第29号』(2023年12月発行)に川上澄生の版画作品『夏の夜の夢』(1925年頃)が取り上げられています。タイトルどおりウィリアム・シェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』が題材になっていますが、坪内逍遙のようにmidsummerを「真夏」とは訳さず、本作を影絵として描いたことからも、最終段落の妖精パックの台詞「我らは影の者」(we shadows)を意識しているに違いありません。英語教師であった川上澄生のシェイクスピアに対する深い理解が反映されている作品だと言えるでしょう。そんな川上もまさか宇女高(宇都宮女子高等学校)の教え子の中から『夏の夜の夢』の訳者が現れようとは夢にも思わなかったのではないでしょうか。

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